the begining part2
長いですね。
俺がそう言うと、ダミアは無表情のまま、首肯して、こう言った。
「……簡単なこと。……この地に残る地縛霊を、私と一緒に成仏させて欲しい」
「……は!?」
俺はダミアの言うことが突飛すぎて、それ以上何かを言うことは出来なかった。だって、天使と一緒に霊を成仏させるんだぞ? 普通の人間ならば、悪い冗談だと思って笑い飛ばすか、病院を薦めるかのどちらかだ。
しかし、俺はすぐに落ち着きを取り戻した。というのも、これまでのダミアの話や、死んだはずの自分が生きているという奇怪な事実を突きつけられていたため耐性がついてしまったのだ。そして、ダミアに対して、冷静に答えた。
「それはすぐ終わるのか?」
すると、ダミアは、俺がそう答えたのが余程意外だったのか一瞬だけポカン、とした顔をしてすぐにいつもの無表情に戻って、こう言った。
「……あなたが、こうも早く提案に食いついてくるとは思っていなかった。……それで、質問に答えるとするなら、多分早く終わる、とだけ言える」
「……多分?」
「……そう、多分。maybe。oftenよりは頻度が少なくて大体50%くらい」
「いや、英語の勉強はいいから! そんなことより、どうして多分、なのかを教えてくれ」
俺がそうダミアにたずねると、ダミアは体をもじもじさせて言った。
「……全く、……せっかち」
「やかましいわ!何、もう、エッチみたいな、ノリで言ってんだよ!」
全く何なんだよ、こいつは! ノリが全くつかめない。というか、こいつ本当に天使なんだよな!?
そこらへんのしがないお笑い芸人とかじゃないんだよな!?
すると、今度はダミアはまじめな顔(無表情がどことなくさらに引き締まったような顔)に、なって俺に言った。
「……もうこの地域以外の地縛霊は、あらかた成仏させた。……で、残っているのはここだけ」
「じゃ、俺いらねぇじゃん。……よし、それだったらお前が俺を助けたのは無かったことにしよう!そうしたら、もう一度俺は屋上から飛び降りてくるから。それで全部終わり! 万事解決! わかったらそこをどけ」
俺がそう言ってダミアをどかそうとすると、ダミアは俺の首根っこを本当にここで死んでしまうのではないか、というぐらいの力で、掴んでこう言った。
「……正座」
「……はい」
俺は、そうして冷たい地面に正座した。
「……で、話を続ける。……最後にここに残った地縛霊は、天国政府霊魂鎮圧庁が危険度S級と認定したもの。……というのも、その5人は皆この世に未練があるまま自殺してしまった者たちでその未練の強さは地縛霊を50人束ねても足りないくらいだった。もちろん5人とも生霊になることを望み、すぐに人間界へと降り立った。……それで私たちは簡単なものから先に手をつけて、難しいものを後回しにした。だからここに来るのが遅すぎた。……そのせいで皆この地に愛着を持ちすぎていて、もう私たちの力では成仏させることはできない。……だから人間であり、彼らと同じで自殺したあなたに協力を求めた」
ダミアがそこまで言ったところで、俺はふとある疑問が、頭の中に発生した。
「ちょっと、待てよ。とりあえず一つ質問があるんだが、お前ら天使たちは今までその地縛霊をどうやって成仏させてきたんだ?」
俺がそう気付き、口に出すと、ダミアは、無表情のまま俺を指差して、
「……いい質問ですね~」
「それ、もしかして、天界で流行ってたりするの? 」
「……いや、ここに来た、生前、テレビで社会情勢を皆に教えていた霊魂と仲良くなって、その霊魂の口癖だった」
「あっ、そう……」
「……で、話を続ける。先ほどの質問だけど、私たちがしたことは一つ。その地縛霊たちと擬似的な恋人となって、彼らを満足させること」
そう言ってダミアは心なしか、その小さい胸を張った。
「……いいのか、それで!? だって、3年間も与えられて満足しなかったやつらだろ?
それなのに、お前らと付き合うふりをするだけで成仏出来るのかよ……」
「……まだ地縛霊になってからそこまでたっていない場合は、自分の意思も定まっていないから、すぐにそういうことをすれば成仏なんて簡単。でもこの地域はもうそれでは対応が出来なくなっている 彼らはこのままだと人間に危害を加えかねない。 だから、あなたに助けを求めている」
そう言ったダミアの顔はどこか重みがあって、俺はそんなダミアをほぐしてやりたくてこう聞いた。
「……じゃあ、いっそ、そんなやつら、放っておいたら?それでお前は天界に帰る。俺はこのまま自殺して天国に行く。ほら、これで、何の問題も無いじゃないか」
「…………」
ダミアは、初めてその無表情を崩し、心底驚いた顔をして、それから俺を軽蔑のまなざしで見てきた。
「何だよ?何か問題があるか?」
俺はそう自信満々に聞く。別にこの世界の人間がどうなろうが、俺の知った所ではない。それどころか増えすぎなんだから少しぐらい減ってもいいと思った。
「……あなたには、大事な人、という者はいないの」
そうダミアが俺に冷たい声で聞いてきた。
「……大事な、人間、ねぇ。この世界の人間は全て消えてもらってもかまわないが一人残っていてもよいとしたら、俺の幼馴染ぐらいか……」
「……オサナナジミ?それが何なのかは、私には分かりかねるけど、それでも、あなたにはそういう人がいるのね。……じゃあ、もし、その人が地縛霊に捕食されたとして、あなたは、平静を保っていられる? 」
「な!?」
俺はその衝撃の事実に言葉を失った。
どうでしょうか?まだ、日常パートに入るには少し時間がかかりますがなにとぞご容赦を。