出会い
いやーもしこの2話目を呼んでくれている人がいたら奇跡ですねww
眼を覚ますと、俺は全く知らないところにいた。
そこは、あれほど俺が嫌がっていた『人間が騒々しく往来している社会』ではなかった。
そこは、誰もいない、何も聞こえない、そして見渡す限り、白いという、恐ろしいほどの『無』の空間だった。
俺は体を起こし、立ちあがった。
そうして周りを見渡してもやはりずっと奥まで何も無かった。
「ここはどこなんだ……天国でもあるまいし、かといって地獄、というわけでもなさそうだし」
しかし、確かに俺は、学校の屋上から飛び降りて先程、死んだはずである。
「……でも、まぁ、いいか、これこそが俺が求めていたものだし」
そうして俺はまた寝転んだ。
「今更ながらよくやったもんだよな……俺も。」
ようやく俺は死ねたのだ。あんな腐った世界とおさらばし、何も考えなくてよい、何もしなくていい、何も見なくてよい、最高の空間を手に入れたのだ。
そうして俺が寝ていると、突然どこからか天女のような美しい声が聞こえてきて、俺は驚き、立ち上がった。
「誰だ!?」
「まだ、あなたは死んではいない。なぜなら、この私が助けたのだから。ほら、眼を覚ますのです」
俺にはその言葉が信じられなかった。
「……はぁ?俺はもう死んでいるんだぞ?大体だな。聞かせてもらうけど逆に俺がまだ生きている、という証拠はあるのかよ?」
「……えぇ。ありますとも。頭の上を触ってごらんなさい。」
そう言われて俺が頭の上を触ってみると、
「…何もねぇぞ」
「そうです。何も無いでしょう。普通ならば、死んだ人間というのはそこに輪があるんですよ。だからあなたは死んでいないのです」
「へぇ。やっぱり皆、死んだら頭の上に輪が……って違う!何で俺が死んでいないんだよ。俺は飛び降りたんだぞ?」
「……だってあなたは私の部下に助けられたんですもの」
……え、ええええええええええええええええ!?な、なんだよ!部下って?
俺がそう驚いていると、
「そろそろあなたの本体も目を覚まします。そして、もし眼を覚ましたら、あなたを助けた私の部下にこれからあなたの身に起きる真実の全貌を聞きなさい……」
そう言って天女の声は完全に消えてしまった。
「お、おい。ちょ、ちょっと、待ってくれ!おい!」
俺がそう言っても、その声はもう二度と返答してはくれなかった。
(……ああ!もう、何なんだよ!俺は死んでいないらしいし、そもそもあれが誰かも分からないしさ! )
そうして俺が肩を落としていると、それは突然起きた。
いきなり俺の目の前がおおよそ筆舌では尽くしがたいような色に発光し始めたのだった。
「うおおおおお!何だ!これ!」
俺はそう叫び、手で眼を覆ったが、ついにその光のまぶしさに耐え切れず、目を閉じたのだった。
もう一度目を空けると俺はまた寝そべっていた。 しかし今回は先程とはちょっと違っていた。
頭の下に何か柔らかいものがあるのだ。
しかもそれでいてほど良い弾力で、すべすべしていて……
って、待てよ。これって本当に地面の感触か?そんな訳無いよな。
じゃあ、何だろうか……
「……ようやく、起きたか」
その凛とした、鈴の音のような美しい声の主は誰だ、と俺は思い、上を見上げた。
「……ごくっ」
俺は息を呑んでしまった。
というのも、俺が見上げたその少女は、人間の域をはるかに超越しうるような美貌の持ち主だったからだ。
「……何を、見ている」
「……な、なんでもねェ」
そう言って俺はその少女の顔から、自分が見とれてしまったという事実を彼女に悟られないように顔をそむけた。
「……?」
それが俺と彼女のファーストコンタクトだった。
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