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はじまりの自殺

いや、みなさん。今日ログインしたばかりの新米です。wwこれからどうぞよろしくおねがいいたします

派手になるよう修正しました

 「あぁ~、日本のどこかでぇ~、チャーチャーチャー、死にたい」

 そう口ずさんでいると、すぐ横を通りかかった年配の男が俺をなんだかやばいものを見る目で見てきた。

 「はあっ。最後に俺の生きている姿を見たのはおじさんでした、ってね」

 そう言って、ため息をついてからまた12月の寒空の中を俺は歩き出した。 ふらふらとした足取りで自分の通っている学校にたどり着き、そのまま階段をただ上を目指してあがり続けた。俺は、ダン、ダン、ダンと誰もいない校舎に響くような大きな音を立てて階段を上がっていくうちについに終点へとたどり着いた。そこは風が容赦なく吹き荒れる屋上だった。  ……と、突然だが、ここで自己紹介をさせてもらいたい。まず最初に言うが、俺こと竜山樹(たつやまいつき)はこの世界が嫌で嫌で仕方がない。   というのも、俺という人間が、社会という不可視のものに拘束され、人間という、建前と本音を使い分ける得体の知れない生き物とともに過ごさなくてはいけないという事実が、我慢がならないのだ。   思えば、小学5年生のころ、俺は俗に言ういじめというものを見てしまったことがあった。  どうしてそんなことになったのか理由は知らない。   

 もしかしたら仲間同士でのすれ違いかもしれないし。容姿に関して生理的な問題や性格が合わないとか、そういうことかもしれない。  ただそのころの俺がそれを見て、思ったのは人間という生き物はくだらないなぁ、ということだけだった。

 普通の人間だったら、小学5年生でそれはどうなんだ、と思うかもしれない。   でも、俺は昔から特殊な人間だったのだ。それこそもう笑っちゃうくらいに。 そして俺はそんな小学5年生のころから高2の今日までの6年間。  この世界で生きるという、苦痛に耐え続け、そして今、限界を迎えた。  だから俺は今、死のう、と思っている。 いや、今と言っては語弊があるな。 正しく言えば、高1のころからそれは思っていた。

 実際、俺の手首には中3、高1のころに良くやったリストカットの跡がたくさんついているし、俺の首には、首をつって死のうとしたためについた縄の跡が無数にある。

 でも今まで、俺がどんなに、そうやってこの世界に別れを告げようとしても途中で邪魔が入ったりして、結局はいつも未遂で終わっていた。  

 そうして両親はそんな俺の不安定な精神状態を心配し、何でも欲しいといった物を俺に買い与え、不用意に俺に同情をしようとして、俺を少しでも変えようとしていた。  しかし俺からすれば、それもまた人間の枠から外れられない醜悪な行為にしか見えず、自分の両親までも、ここまで落ちぶれているのか、思うと、さらに俺を自殺へと加速させた。  

 もう耐えられない。1分でも早くこの空気を吸うことを拒絶したい。 そこで俺は考えることをやめ、死ぬ前に最後の確認をした。

 「ええっと……両親への遺書は書いた……でその文面は……よし、完璧。皆に迷惑がかからない、当たり障りの無い文章だ」 

 それから俺は遺書を折りたたんで地面に置いた。それから俺は屋上のフェンスによじのぼり、ついに一歩歩けばすぐにでも死ぬことが出来る足場へと降り立った。  

 12月の寒空の下、眼下に広がる、クリスマスのイルミネーションは、まるで今から死ぬ俺に対しての天からの祝福のように思えた。でも風だけは冷たかった。 風はそこからさらにうなり声を上げて、俺の体にたたきつけてきた。   

 その途端、急に俺は、そこまで余裕だったにもかかわらず、今から本当に死ぬのだ、と思い、不思議と足がすくんでしまった。   

 数秒後には下の地面とぶつかり、俺の体は一瞬で粉々になる、そう考えるだけで吐き気も催してきた。  俺がすぐにその吐き気をこらえると今度は頭の中に今日までこんな自分の世話を焼いてくれた一人の少女が出てきて胸が締め付けられた。 しかし俺とて今回ばかりはここで引くわけには行かなかった。

今度こそ死んでやる!、俺はそれだけを考え、他の事を全て頭の中から捨てた。

 すると鉛のように重かった足も途端に羽毛のように軽くなった。 

 「 アイキャンフライ!アイキャンフライ! ……って、飛んじゃダメだよな、俺は死ななきゃいけないんだから」 

 それから俺は目をつぶって一呼吸ついた。 そうしてただ何も考えずに、その足を空へと向けた。

 それが全ての始まりだった。

いかがでしたでしょうか?

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