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目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています。  作者: 月影みるく


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第37話 王立魔法学院入学の日

 王立魔法学院――入学式当日。


 王都の中心にそびえる、白亜の校舎。

 その正門前には、朝早くから多くの馬車が集まっていた。


 貴族の家紋が刻まれたもの。

 王族専用のもの。

 そして、名門と呼ばれる家々の馬車。


 その中で――

 ひときわ静かに止まった一台があった。


 ノクティス公爵家の馬車。


 扉が、ゆっくりと開く。


 最初に地面へ降り立ったのは、護衛。

 続いて、私の前に差し出される手。


「……大丈夫か?」


 ユリウスお兄様の声。


「うん」


 私はその手を取り、馬車から降りた。


 ――その瞬間。


 空気が、変わった。


「……え」


「今の子……」


「ちょ、かわいくない?」


 ざわ、と音が広がる。


 視線が、集まる。

 一斉に、私へ。


(……え、なに)


 制服に身を包んだ生徒たちが、次々とこちらを見る。

 最初は一人、二人。

 気づけば、ほとんど全員。


「誰あの子?」

「新入生だよね……?」

「かわいすぎない……?」


(……聞こえてます)


 思わず、姿勢を正してしまう。


 レオンハルト王子が、私の隣に並んだ。


「……予想はしてたけど」


 小さく、ため息。


「想像以上だね」


 ユリウスお兄様は、すでに周囲を睨んでいる。


「……見るな」


(お兄様、それ逆効果です)


 それでも、視線は止まらない。


「銀髪……?」

「目、綺麗……」

「人形みたい……」


 ひそひそ声が、次々と耳に届く。


 私は、小さく息を吸った。


(……ここが、学院)


 これから通う場所。

 守られるだけではいられない場所。


 ――でも。


「かわいい……」

「誰かの妹?」

「いや、貴族服の刺繍……公爵家じゃない?」


 視線は好奇心と憧れが混じったものばかりで、

 少なくとも、敵意は感じなかった。


 そのとき。


「――あれが、噂の」


 低い声が、どこかから聞こえる。


「魔術大会の、一般の部優勝者」

「光と……闇、だろ?」


 空気が、また少し変わる。


(……もう、知られてる)


 私は無意識に、胸元へ手を当てた。


 すると。


「行こう、ルクシア」


 レオンハルトが、そっと声をかける。


「入学式に遅れる」


「……うん」


 歩き出した瞬間。


 ざわめきが、一段と大きくなった。


「名前は……?」

「どこの家?」

「近づいていいのかな……」


 背中に刺さる視線を感じながら、

 私は、学院の門をくぐる。


 白い石畳。

 高く掲げられた王国旗。


 ここが、

 私の新しい世界。


 ルクシア・ノクティス。


 光と闇を宿す者として。

 そして――


 あまりにも注目されすぎる新入生として。


 王立魔法学院での日々は、

 こうして、静かに――

 いや、派手に幕を開けた。


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