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目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています。  作者: 月影みるく


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第15話 魔法の練習

医師の診察から数日が経った。


 私は無事に回復し、ベッドから起き上がれるようになったけれど――

 周囲の様子は、以前とは明らかに違っていた。


(……視線、増えてない?)


 部屋の隅には、常に誰かがいる。


 兄――ユリウス。

 レオンハルト王子。

 エリオス、セレス、カイ、ノア。


 まるで交代制かのように、誰かしらが私のそばを離れなかった。


「今日は魔法の練習だな」


 父の声に、空気が少し引き締まる。


「無理は絶対にさせませんからね」


 母は念を押すように言い、私の頭をそっと撫でた。


(……大ごとだ)


 練習場所は、屋敷の中庭。

 万が一に備え、魔力を抑える結界が張られている。


「ルクシア、少しだけでいい。光を出そうとしなくていいからな」


「できるところまででいいんだよ」


 ユリウスとレオンハルト王子が、ほぼ同時に声をかけてくる。


(……近い)


 二人とも、しゃがみこんで私と目線を合わせていた。


「体調が悪くなったらすぐ言うんだぞ」

「少しでも変だと思ったらやめようね」


 後ろでは、友人たちもそわそわしている。


「……なんか、俺まで緊張してきた」

「大丈夫かな」

「何かあったらすぐ支えるよ」


(……そこまで?)


 私は小さく息を吸い、手を前に伸ばした。


(出す、というより……流す感じ)


 胸の奥を意識すると、淡い温かさが指先へと集まる。


 ――ぽう。


 小さな光が、ふわりと浮かんだ。


「……出た」


「すごい……」


 ざわ、と空気が揺れる。


 けれど、今回は前のような苦しさはない。


(……大丈夫、かも)


「ルクシア、無理してない?」


 レオンハルト王子が、すぐに顔を覗き込む。


「……だいじょうぶ」


 そう答えると、全員がほっと息をついた。


「よかった……」

「本当によかった」


 光はすぐに消えたけれど、体は安定している。


 父が静かに頷いた。


「今後は、短時間で少しずつだな」


「付き添いは必須ですね」


(……付きっきり確定)


 私は内心でそう思いながら、みんなを見回した。


 不安そうで。

 でも、優しくて。


(……守られすぎでは?)


 そう思った瞬間。


「今日はここまでだ」


 即座に練習終了の声がかかる。


「え、もう?」

「十分だろ」

「無理させないって決めたし」


(……私、なにもしてない気がする)


 それでも。


 光を扱う一歩を踏み出せたこと。

 それを、こんなにも多くの人が見守ってくれていること。


 胸の奥が、また少し温かくなった。


 ――魔法の練習は、

 どうやら一人ではできないらしい。


 少なくとも、

 この人たちがいる限りは。

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