忍者屋敷??
5話です。長いこと待たせてしまって申し訳ないです。半分くらい完成しているので、少しずつ投稿していきます。もしつっかえたら毎週から隔週になる可能性もありますその辺はご容赦ください。小説を書く気持ちが落ちた訳ではありません。ところで1話から4話までいろいろな人が出てきましたが、今回は過去に登場した人物にフォーカスする場面が登場します。突然ANOTHER STORYと言う表示が出たらそこからは別の人物の話に飛ぶという現象が起こります。その理由は話を見ていく内に分かるかもしれません。
そして、話が進むごとにアリサはいろいろな特技や技術を手に入れています。1話では万物調査という相手のスキルを見る力。2話ではお笑いのセンス、3話では呪文という存在を知り、4話ではその世界のみではあるけれど呪文を駆使して戦うことも覚え、その結果万物調査を遠くの相手に触れずに使用できる技術を身に付けたり、1話で登場した斉藤隆之の出生の秘密を知ることとなりました。当然5話でも何か手に入れます。そしてその手に入れたものすべてを使用して最後の話でまとめる予定です。何話になるか未定ですが、現在11話までのプロットは出来ているのですが、それを書く時間がないという現実……時間が欲しいです……
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古い言い伝えがある。
その昔、毒を自在に操る一族がいた。あらゆる毒で人を殺め、あらゆる毒で病を治す力を持っていたが、その強大な力は人々から恐れられ、死してなお、毒を用い彷徨っていた。それは、
「瘴影丸」(しょうえいまる)
と呼ばれた。それはいつしか姿を消し、伝説の中にだけに生きる存在となった。
しかし、真田の忍びの間では、その伝説は決して過去のものではなかった。
数十年ぶりに、その瘴影丸が再び現れたという噂が、屋敷の奥で囁かれ始めたのだ。それは、姿をくらまし、音もなく忍び寄る。毒は、致死量寸前を見極め、確実に仕留めるという。なんだかよく分からないが一つだけ確実に言えることがある。それは……瘴影丸はモケポンのタイプで言えば
『ゴースト/どく』
であり
とくせいは
『ふゆう』
なんじゃないか? すなわち、
『じめん』
が効かない。
『あく』
や
『エスパー』
のわざで戦うしかないのか? ということだ。
話がそれてしまったが、そんな不穏な噂が広がる中、その屋敷への招待がアリサに届く……
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私はアリサ。この前は本当に大変な目に遭っちゃって……思い出すのも辛いけれど、まさかの地獄に飛ばされちゃったの。でも、自分の力を信じて見事、現世、いえ、上界に戻ることができたわ。ちょっと寄り道してから、やっとお家に帰れたのよ。
え? どんな寄り道かって? ええとね、とってもいい寄り道よ! 詳しくは4話の最後辺りを見ればいいよ♡
でね? いいことをした後は気持ちがいいものね。で、ようやくお家でまったりしているの。やっと夏休みが来たって感じね。
ーーーーーーーーーーーーー鏑木家 アリサの部屋ーーーーーーーーーーーーーー
ごろごろ ごろごろりーん
地獄から帰還して2日が過ぎた。今は7月31日。夏休みも残り1ヶ月となる。激しい戦いの疲れを癒すため、昨日の朝から今日の夕方まで、アリサは部屋で仰向けになり、ゴロゴロしながら心の師匠である松谷修造のTwitter(現X)を見ている。鼻歌を歌っているのは、彼女が歌が大好きな証拠だ。しかし、この鼻歌の歌詞は、もしも以前のエピソードを読んだ人がいれば、思わずニヤリとしてしまう内容だろう。
「言われた♪ 言われた♪ 言われたーからやーった♪ 言われた♪ 言われた♪ 言われたーから言われた×2♪」
ふむ、この歌は……地獄で響いた時にはあれほど怯えていたのに、何度か聞いているうちに気に入ってしまったのだろうか。人生、何が起こるか分からないものだ。
「机の♪ 上が♪ 片付いてないって言われた♪……ん? え? え?」
すると、アリサは異変に気づいた。
「あれ? なにこれ?」
一件のダイレクトメールがアリサのTwitterに届いていたのだ。その送信者の名には見覚えがある。その人物は、ホテル
『イーグルスノー』
で起こった野菜毒物混入事件の被害者である│真田行照代」からであった。
「あれええ! あのおばさん、勝手に私のアカウントをフォローしてあるじゃん! いつの間に? てか生きてたんだw」
アリサは相変わらず失礼なことを言うものだ。彼女はまだ30歳。おばさんと言うにはまだ早……いのか? まあ、早いとしておこう。
そして彼女を覚えているだろうか? いや、さすがにこの物語を第1話から読んでくれている素晴らしい読者の皆さんでも、覚えている方は少ないかもしれない。なにせ第1話を初投稿したのは2020年なのだから。5年も前のことを思い出せる人は少ないだろう。だから、ここでしっかりと解説しよう。
事件が終わった翌朝、照代は救急車で病院に行く準備をしていた。その際、アリサを発見し、ホテルの入り口で別れの挨拶をしている最中に、照代はアリサの携帯電話をほんの少しの間借りたのだ。そして何やらいじってから救急車に乗り込んだ。まさにその時、照代はアリサのアカウントを使って、手動で自分のアカウントをフォローしていたのだ。そう、満面の笑みの照代の画像がトップにある彼女のアカウント。しかも実名でSNSに参戦するなんて、世間知らずなのか、それとも恐れ知らずなのか。アリサは、照代によって自分のアカウントがフォローされていた事実に、ずっと気づかずにいたのだ。
しかし、毒を受けていた時は瀕死の状態で顔色が真っ青だった照代だが、Twitterの画像は30歳とは思えない若々しさで、全く印象が違っていた。新進気鋭の新聞記者の気迫が伝わってくる。だが、彼女は新聞記者だったがゆえに命を狙われ、毒殺されかけたのだ。何でもかんでもツイートしてしまう癖が災いしたのだろう。ちなみに、ダイレクトメールはフォローしないと送れないため、連絡手段の確保として咄嗟に思いついたのだろう。
「で、ダイレクトメールで連絡? まったく、そんなことしなくても連絡先くらい交換してあげたのに……なんでそんなサプライズを? で、何を送ってきたのよ? え……!? ながああああああい」
そう言いながら、アリサはありえない長さのダイレクトメールに目を通す。因みにダイレクトメッセージは10000文字まで送れるらしいな。だがそんなに書く事はあまりないだろう。
「何々?」
『拝啓
7月も終わりを迎え、8月の猛烈な熱気を感じる今日この頃。アリサ様は如何お過ごしでしょうか? 私は病院で集中治療を受け、体内の毒は全て取り除き、無事退院することができました。そして、名新聞記者の職を惜しまれつつ退職し、実家に戻ることとなったのです。送別会ではたくさんの後輩たちの涙の別れを経て、その余韻の中、今この手紙をしたためています。
私、真田行照代、色々あって結婚することになってしまいました。さぞ驚かれていることでしょう。と言っても、相手はまだ決まってはいないのです。どういうことかと申し上げますと、自分の屋敷、にいる4人の忍術の先生の中から選ぶみたいな流れになってしまって……そう、全員独身で、父さんはその中から選んだらどうかって話になってしまいまして……確かにずっと一緒にいる人たちだから、全員信頼はできる人たちなのです。それは私も十分分かっていることです。それでも乗り気じゃなかったのです。乗り気でなく、どちらかというと嫌だった。自由に恋愛もしてみたいし……4人の中から選ぶというのは考えられなかったのです。ですが、その話を聞いた後、出会いを求めて屋敷から外に出ようとした時に、背筋が凍りつく感覚が……そうです、私、いつの間にか、外に出ることができなくなってしまったのです。
アリサ様もご存じと思われますが一度命を狙われて毒殺されかけたことを思い出しまして……周りの人が全員殺人犯に見えるようになってしまったのです……誰かにまた狙われてしまうかも? と、言う気持ちに……私、これからカフェやバーで素敵な出会いを経験することなく死んでしまうの? と悲観してしまったのです。靴を履いて扉を開けようとするとそこで足も手も動かない……どうやっても外に出られないのです。
もう、少ない選択肢ではあるけれど、その4人の中から身を固めてもいいのではないか? という気持ちも少しだけ湧いてきました。……ですが……本当にそれでいいのかどうかがどうしても分からないのです。30年生きてきて一番悩みました。それでも答えが全く分からないのです。まるで深い霧の中、目的地に辿り着けず、彷徨い続ける魅力的な美少女のごとく……かつては名新聞記者と崇められ、そして恐れられた、この真実のみを届ける最強の情報提供者の私でさえですよ?
だからアリサ様、一生のお願いです! 迷える美子羊を助けて下さいませんか? どうすればいいのか、私の屋敷に来て教えてほしいのです。もちろんお礼は致します。まだ夏休みですよね? あなた様はそこまで忙しい生物だとはどうしても思えないのです。推測で申し訳ございませんが、現在のあなた様のなさっている行動は、
【ごろごろ ごろごろりーん】
と自室で横回転運動をしつつ、松谷修造のTwitterを見て鼻歌を歌っていらっしゃるくらいだと思うのです。もちろん的中している可能性なんてせいぜい5割程度。ですので、間違っている可能性もあります。そうだとしたら申し訳ありません。ですが、ホテルであなた様が見せたあの華麗な推理を見た経験から、この問題を解決できる人物はあなた様以外に考えられません。この名新聞記者の直感が間違えるはずがありません。私、他に頼れる方が誰もいないのです。だから、人助けだと思って、いらしてくださいませんか? アリサ様の天使と妖精のごちゃまぜされたような可愛いお顔も拝見させていただきたいですし……お願いします。一人では何もできない情けない美少女と笑ってくれても構いません。ですから……よろしくお願い致します!
敬具』
「かあ、え? 何で私の現在の行動を的中させているの? 隠しカメラどこー? 油断も隙も無いわね。この電話が怪しいな。ぶんかいぶんかいっと」
アリサは自分の携帯電話を置き、ぶんかいぶんかい、と呟きながら家の電話を分解し始める。
「あら? 盗聴器しか出てこなかったわ? おっかしいわねえ……」
そこをサラッと流すのか……もっと気にしないといけないんじゃないか? そして何故アリサは盗聴器が分かるのか? 更には何故刑事の家に電話が盗聴されているのか? これを仕掛けた者は相当な腕の持ち主ではないだろうか。今までずっと盗聴されていたということになる。
「でも回りくどく書いているけれど、結局他人の見合いの付き添いをしろってことでしょ? 何でそんなことなんかしなきゃいけないのよ!! 私の人生、そんなもののために消費する物じゃないのよ! 馬鹿なのかしら? 言っていること小学生並みじゃない。しかも30歳で美少女やら迷える美子羊って言っているよ、この人……え? 忍術の先生? あんたの実家、何の仕事しているのよ! 忍者の学校? 一体何を教えるのよ!! 変な仕事! そんなのね、現代の流れから逆行しているのよ。一瞬で消滅するような仕事をするんじゃない!」
ぶつぶつ文句を言っていると、部屋のドアが開き、ママが顔を出した。
「あら、アリサ、一体何を怒っているの? 小学生のお友達から連絡でもあったの?」
「違うよ。それより酷いわよ……30歳で小学生みたいなことを書いてくる戯け者が……ママ、見てよこれ」
半ば呆れ顔で携帯を渡すアリサ。アリサ? 待って? まずその手紙よりも盗聴器のことを報告した方がいいんじゃないか?
「ん? これって? あの照代さんから?」
「そうなのよ。この手紙よ。全く……子供じゃあるまいし、自分でやれっての」
ママはしばらくメールの内容を読み、一言。
「……アリサ、行きなさい」
「え? なんで? 嫌よ、電車代だってだいぶかかるよ? 可愛い一人娘なのに、一人旅させるの?」
「可愛い娘だからこそよ! 照代さんも可愛いって書いてくれてたでしょ? 天使と妖精をごちゃまぜにされたお顔っていうの、秀逸な表現よねえ」
「それは私も思ったけど。でもどうせ社交辞令よ」
「でも私の娘を褒めてもらっちゃって、気分がいいの! こんな素敵な人は何としても助けてあげたいと思っちゃったのね」
「単純ねえ」
「私も行ってあげたいけど仕事がたまっているし……アリサどうせ暇でしょ? ずっとゴロゴロしているだけなら行ってあげなさいよ、お友達でしょ? あんたはすごく賢いからいいアドバイスができると思う。その報酬としてお小遣いもあげるから」
「お小遣い? いくら?」
「1万でどう?」
「ふーん、もう一声!」
「12000は?」
「まあ、それくらいなら行ってもいいかも……一回り以上も年上の友達って、まあ精神年齢は私の方がちょい上ってことは覆せない事実だけど。でも私、宿題まだ全然やってないんだよー? ボケ人間コンテストに出たり、市田さんの屋敷で殺されて、地獄に落ちてすぐに戻って来て、一つの工場を壊滅させたりして疲れてるのよ?」
そうなのだ。彼女は5日間の間に4つもの事件に出くわし、それをほとんど彼女の力で解決してきたのだ。本当に運が悪い幼女である。
「またこの子は……ああ言えばこう言う。こう言えばああ言う。地獄に落ちた後、なんで工場を壊滅させる必要があったのよ!」
「そ、それは許せなくて……このままにしておいたら全世界に不幸が訪れると思って」
「そうでしょ? あんたが勝手に思い込みでやって疲れただけなんでしょ? でもその会社、あんたが壊滅させた後もニュースにも出ていなかったわよ? 本当に悪いことをしていたならニュースくらい流れると思わないかしら?」
「それはそうだけど……その内部事情を聞けば誰だって許せなくなるんだよ? この女神精霊大仏神聖妖精警視総監幼女社長の私ですら怒っちゃったんだよ?」
「まあまあ、それにまだ夏休みは始まったばかりよ。どうせ家でゴロゴロしているだけでしょ? 朝からずっとじゃない? そんな怠け者だったっけ、あんた?」
「確かにそうね……自慢の素早さもこの怠惰な生活のお陰で一般人レベルまで低下しかねないし……」
「でしょ? こういうのを無視せずに、貴重な人生経験として考えられなければ駄目よ? それに、ゴロゴロしてばっかりだと太っちゃうしね。夏休み明けにチビデブアリサってあだ名が付いちゃわないように気をつけてね」
「うー、小さいは余計よ! でも太るのは嫌だし、まあいいか、まだちょうど1ヶ月あるし。うーん、でもなんか嫌な予感がするのよねえ……」
「考えすぎよ」
結局、盗聴器の件はアリサの心の中にだけ収まる形となってしまった。本当にこのままで大丈夫なのだろうか? だが、この何気ないアリサの一言は的中することになる。何せこの物語のタイトル……おっと、口が滑りそうになった。
「始発に乗るため早起きしないとね。もう寝た方がいいわ」
「じゃあちょっと早いけどこれから寝るよ」
「うん、おやすみ」
♪てーれーれーれーれってってーん♪
え? これはなんだですって? 分かりません。ですがもしこの響きに聞き覚えがあり、新しい情報があるのならご提供願います。
ーーーーーーーーー旅立ちの朝ーーーーーーーーー
「ふあああああ。良く寝たあ」
ちゅんちゅん、雀が│囀っている。旅立ちの朝。一人旅は初めてだ。口ではそう言っているが、実はあまり眠れていない。
「全く、私もお人好しよねえ。一度偶然会っただけの30の大人の泣き言を聞き入れて、わざわざ家まで行くなんてねえ。見合いくらい一人でできるようにならなきゃ駄目よね。体はおばさんなのに、心はアリサよりも幼いみたいね。仕方ない、あの手紙も書くのに相当苦労したと思うし、今回だけは手助けしてやるかー。あっ、その前に、さてと、不死鳥クラブの撥水ベレー帽をかぶってと……」
日焼け防止の帽子をかぶり、夏の日差し対策をして出発。駅まではママの車で送ってもらう。
「じゃあ気をつけて、行ってらっしゃい」
「はいっ」
「何か起きたら電話しなさい。駆けつけるからね」
「うん。じゃあ行ってくる!」
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毎週水曜日に投稿するように努力はします。




