物の価値はとても大事
「し、しばらくお待ちくだしゃい!」
どうりでおかしいと思った。しかし何なんだこれは…
この金はもしかしたら売れば儲かったりするのだろうか…
「何か大きな声が聞こえましたけど...なにかありましたか?」
急ぎ足でグランデとタイニーが戻ってきた。
「いや、それが...」
と口を開こうとした時、店員が戻ってきて言った。
「このお札、一枚でどうでしょうか!」
…?
思わず咄嗟に「どう言うことですか?」
と聞こうとしたのだが、店員からの返事は喋るより早く、
「このお札は今の値段だと数倍の価値どころか、数十、数百倍の価値があります!勿論このお札で服一枚なんてことはありません!このお店の最高値のあちらも差し上げますのでどうか!」
正直なんでも良くなってきた。
その『あちら』というのも気にならなかったので、軽く「ああ、じゃあそれで…」と言った。
そこにアルマが。
「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待ってください!あなた何したんですか!?」
これは話しておくべきか...
「いや、実はさ...」
と、とりあえず今起こったことを話した。
「そんなことがあったのか。」
「それで、そのもらった『あちら』ってのはなんなんですか?」
そうだった。何なんだろうか。
「それは勿論あちらの装備ですよ!」
店員がこう言うのだからさぞすごいのだろう。
さて、どんなものか...
店員の指先を追う。
といってもまあ、すごく強いものでもないと思うし、気楽にもらおうか。
えっと?
「すいません店員さん。あちらにはあの禍々しいやつしかないですよ?」
なんだろ、すーごい嫌な予感がする。
「はい!あちらがあなたにお渡しする当店最高値のもの、『冥闇』です!」
...
まあそうなる気はしてた。
するとウィンドウに「ピロン」と通知が来た。
?なんだ?
【装備品を入手しました。『ローブ』】
【レアリティ:青】
あぁ、さっき買ったやつか。
【装備品を入手しました。『冥闇』】
【レアリティ:紫】
これがさっきの...
なるほど、装備品にもレアリティがあるわけか。
どうやらこれは、
白、緑、青、紫、金の順で良くなるらしい。
【装備しますか?】
【ローブ】
おぉ、このまま装備できるのか。そりゃいい。
「装備する」
【ローブ】
【装備しました】
「あ!ローブを装備したんですね!」
どうやらあっちも気づいたらしい。
「どうだ、着心地は」
「なんか、動きやすくなった気がするな。」
てか、気がするというか、本当に動きやすい...?
なんとなく、ウィンドウを表示してみた。
【ローブ】
そうだ。説明を見てなかった。
一度見るか。
【説明】
【古くから伝わる伝統的な方法で作られたローブ。】
【速さが1.2倍】
【魔法の威力が2倍】
これは強いんじゃないか?
俺の爆発は魔法の部類だろうし、これがさらに強くなるとすると序盤にしては良いだろう。
「ほんとに動きやすくなったっぽいわ。」
そうだ、ついでにもらった方も見ておこうか。
【説明】
【かつて人々の生気を抜き、死の大地としたとされる魔王軍の装備のレプリカ。】
【能力 不明】
【装備条件を満たしていません】
なるほど。しかしレプリカなのに装備条件があるのか。よくわからないな。
まあけど、ひとまずこのローブがあれば大丈夫だろう。
さて、あと2日か。
あと2日、俺には何ができる?
わからない。けど、せめて言葉は伝えるべきだよな。
「お仲間さん、無事だと良いな。」
「ですね」
「だな」
よし、この2日間俺にできることを精一杯やろう。
なんせこれは、「異世界」だからな!
...ほんとに異世界だよな?