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少年レイくんのエレナ先生救出作戦

作者: ぐるぐる



 「こんにちは、レイくん…」


 「…エレナ先生…?」


 エレナ先生はぼくの憧れの女性だ。優しくて、強くて、勇気があって、背が高くて、長い金髪が綺麗で、なんというかこう…ええいもういいや!


 かつて、ぼくがまだ小さい頃、このトファス村が魔物の集団に襲われた。その時颯爽と現れたのがエレナ先生だった。元王国騎士だという彼女は瞬く間に魔物達を蹴散らし、村の英雄となった。ぼくにとって、エレナ先生はまさに憧れのヒーローだ。その後も彼女は村に住み続け、今は学校の先生としてぼくら村の子供達に勉強やちょっとした剣術などを教えている。そんなエレナ先生が家を訪ねてきて、しかもぼくに用があると言うのだから、もうぼくのハートはドキドキだ。



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 「どうしたの?レイくん…なんだか元気なさそうだけど…」


 「べ、別に…」


 ぼくはがっかりした。要は、ぼくの『はじめてのおつかい』の単なる付き添いだったのだ。可愛い子には旅をさせよの理屈で、両親がぼくに村の外の森にある薬草を採ってくるように言ってきた。しかしぼく一人だと心配ということで、エレナ先生もついてくることになったという。確かにぼくは怖がりでまだ村の外にも出たことがないが、なめてもらっちゃあ困る。まぁエレナ先生と二人きりなのは正直嬉しいけどっ。


 「父さんも母さんも、ぼくを子供扱いして…」


草むらを歩く中、ぼくはつい口に出てしまった。


 「あら、レイくんもそういうこと言うんだ」


 「はい…でも、確かにぼくは怖がりで、いざという時の勇気が出なくて、男として…だめだと思うんです!このままじゃ…」


このままじゃ、エレナ先生にふさわしい男になれない。


 「そんなことないよ?レイくんって優しくて頭が良くて…私、そのままのレイくんが好きよ?」


す…すすす、好き!?いやいや、そういう意味ではないから!落ち着くんだ!なんとかぼくは爆発四散しそうになる身体を抑えた。ただ、この時、エレナ先生がどこか切ない表情をしていたのが少し気になった。


 「レイ君、顔赤いけど大丈夫?緊張してるの?村の外ではもう何年も魔物の目撃はないから大丈夫だと思うけど、もし何かあったら私が守ってあげるからね!」


エレナ先生は髪を束ねて鎧を着ていた。愛用の剣を装着していて、普段の教師の姿から一転、かっこいい女騎士になっていた。思わず見とれていると、石につまづいてこけてしまった。くそっ…。


 目的の森にはすんなり着いたし、両親に言われていた薬草もバッチリ採れた。あとは帰るだけだ。

なーんだ、簡単じゃん。夜ご飯なにかなー。


 「よくやったわねレイ君!すごいよ!」


エレナ先生が肩をポンとしてくれた。絶頂するほど嬉しかったが、やはりどこか自分が情けない。なにかエレナ先生にかっこいいところを見せたい…そう考えていたら、森の向こうからガサゴソと大きな音がした。


 「ひゃっ!!」


 「レイ君!」


エレナ先生はとっさにぼくを引き寄せた。ドキッとしたと同時に、あんな変な悲鳴を上げたことが恥ずかしい。すると、目の前の草むらからリスのような生き物が現れた。しかし、リスにしては見た感じ約40㎝とあまりにも大きいし、色も黒くて目つきもどこかおかしい。唯一のリスっぽさといえば、口に『なにか』を頬張っているところぐらいだ。目の前のリスもどきはじっとぼくとエレナ先生を見ている。


 「エレナ先生…なんですか、あれ…?」


 「大丈夫よレイ君、私のそばにいて…」


その時、ふと後ろから気配を感じた。振り返ると、あのリスもどきがもう一匹、しかもニヤリとした目つきでこちらを見ていた。


 「せんせ…」


ぼくが言い終わらないうちに、背後のリスもどきは口に頬張っていたものを勢いよく吐き出してきた。それが爆弾だと分かった時には爆発音と煙が噴きあがり、ぼくは意識を失った。



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          [________J  

          

       /おっ!やっと目が覚めたねぇ!\


目が覚めると、眼前いっぱいに↑の顔が広がり、ぼくは飛び起きた。その拍子に↑の顔におでこがぶつかる。


 「いたたた!もう、ひどいじゃないですかキミ~!せっかくボムリス達に連れていかれてるところを助けてあげたのに~!」


 「だ…だだだ、誰!?ボムリス!?助けた!?ところでエレナ先生は!?」


 「こんにちは少年くん!ボクはポッパー!魔物の中でもいちばんの魔法使いでーす!」


確かにとんがり帽子や豪華なローブを身に着けていて、魔法使いみたいな恰好だ。しかし、丸っこいにっこりマークみたいな顔と、せいぜい大型のぬいぐるみほどのちっこい見た目では、いまいち迫力に欠ける。


 「ま…魔物!?こんな適当なキャラデザが!?うわああああ!助けてえええ!!」


 「失礼な!まぁとりあえず落ち着いて~~~~!!」


ぼくはいったん落ち着いて、ポッパーとやらの話を聞いた。どうやらぼくらを襲ったあのリスもどき達はボムリスという名前の魔物で、最近この森に住みつくようになったらしい。ボムリス達は気を失ったぼくをどこかに運んでいき、偶然森を散歩していたポッパーがそれを見つけて彼らを追い払い、この川辺で傷ついたぼくの手当てをしていたという。確かに、爆弾が直撃したのに今のぼくはとても元気だ。


 「まぁ本来ボムリス達が吐き出す爆弾はそこまでの殺傷能力はないんですけどね~」


 「そうなんだ…ありがとうポッパーさん…」


 「そんなぁ照れるじゃないですかぁ~『ポッパー』でいいですよ~!ところでキミの名は?」


 「ぼくはレイ、薬草を採りにエレナ先生とこの森に…( ゜д゜)ハッ!エレナ先生は!?」


周りを見渡しても、エレナ先生がいない!まさかボムリス達に!先生えええええええ!!


 「エレナ先生?(・・?ボクが目撃したのはキミだけでしたケド…」


 「もう一人いたの!エレナ先生っていうすっごく美人でかっこよくて時々抜けてるところも魅力的で…!!」


 「わ…わかったわかった!おそらく、その先生は地下に連れ去らたかもしれないですね…ボムリスは人間の女性を連れ去って、彼らの王に捧げる習性がありますからね~」


 「な…なんだって!?」


 「そしてそれ以外の人間は彼らが掘った穴に埋められて森の肥料にされるのです!おそらくキミもその穴に連れていかれる最中だったと思いますね~…いや~実に環境に優しい魔物です!」


 「感心してる場合か!早くエレナ先生を助けないと!!」


 「それなら彼らがつくる地下トンネルを探しましょう!まだこの森に来たばかりだからそんなに整備されていないはず!」



 ポッパーが言った通り、ボムリス達の地下トンネルへの入り口はすにぐ見つかった。それにしても、村の近くにこんな魔物の巣ができていたなんて…。


 「さぁ入りますよ!そうそう、見つかると面倒だからこうしましょう!」


ポッパーは自分の身長よりも長い杖を取り出した。いったいどこに持っていたんだ…。


 「ボクの魔法をご覧あれ!いでよ!エアーカーテン!」


ポッパーが自分の目の前で杖を大きく一振りすると、シャッという音とともになんと彼の姿が見えなくなった!


 「えっ!?なにこれ!ポッパー!?どこにいるの!?」


 「ふっふっふ…目の前ですよ♪このエアーカーテンは自分の姿を消せるのです!」


今度はいきなりポッパーのちっこい顔だけが現れた。確かに言われてみればカーテンからぴろっと顔を出しているようにも見える。


 「今度はレイ君も一緒に…いでよエアーカーテン!ちょっとロングサイズ!」


 「…ポッパーが見える!これでぼくも透明になったの?」


 「そうでーす!でもボクたちは同じエアーカーテンにくるまってるから、離れ離れになったらだめですよ~!さぁ入りましょう!」



トンネルの中はひんやりとしていた。ぼくらはできるだけ足音を立てずに長い一本道を歩いていく。そばにはボムリスたちが口にくわえる爆弾がいくつも落ちていた。途中でボムリス達と何度かすれちがったが、彼らはなぜかひどく慌てふためいているようだった。


 「なにがあったんだろう…」


 「さあ…そうそう、この廊下、途中でいくつか分かれ道がありますけど、王の間は一本道の廊下をずっと真っ直ぐいったところにあります!これはボムリスの巣の基本構造なのです!」


 「なるほど…ところでどうしてそんなにボムリスに詳しいの…?」


 「えへへ…ボクは魔物のことならなんでも知ってますよ~?特にボクよりも身長が小さいボムリスなんかはねぇ!馬鹿にする要素を探すためにめちゃくちゃ勉強してますから!ふはははは!!」


 「しーっ!声が大きい!」


 「はっはっは~!!ボクも身長が低い魔物と言われてますけど、下には下がいるもんですからね~!わ~っはっはっはっは~ざまーみろー!」


こいつ、見た目に合わずそうとう陰険だ…。ていうか、そんな大声で笑ったら…。 


 「フシューッ!!フシューーーッ!」


ボムリスたちが唸り声を上げてこっちを凝視していた。


 「あ、バレちゃいましたね…」


 「もーーーっ!」


 「こうなってはエアーカーテンも意味はない!一直線に走るのみです~!!」


 「わっ、おいてかないで~!!」


ポッパーが先に走り出したおかげでエアーカーテンが外れ、ぼくたちの姿があらわになった。ボムリスたちは一層血相を変えて追いかけてくる。すると、彼らは廊下に落ちている爆弾を口に含み、勢いよく吐き出してきた。あれに当たったら終わりだ。背後から飛んでくる爆弾をかわしつつ、ぼくらは前へ前へと走り続けた。まさかこんな目に遭うとは…。元々ぼくは勉強だけが取り柄のやつだった。運動神経はないし、気も弱いし…。だが、今はそんなこといってられない。いくら普段の自分がダメダメでも、行動する権利は皆平等にあるのだから!ぼくは無我夢中で走ったが、とうとうばててしまった。後ろからは何匹ものボムリスたちが追ってくる。ポッパーは…なんかどっか行っちゃったし!

まずい、次の手を考えないと…。必死に思考を巡らせていると、そばにある分かれ道からズズゥンと轟音が響いた。ボムリスたちはぎょっとして音の方向に走っていった。


 「これは…向こうでなにかあったようですね…」


 「ふわっ!?ポッパー!?いつの間に!?」


 「とにかく助かりましたね!さぁ行きましょー!」


 「………うん」


ぼくはポッパーをじとっとした目で見た。



 ついにぼくらは廊下の一番奥の部屋までたどり着いた。大広間といった感じで、中央には木を彫ってつくられた大きな祭壇のようなものが置かれている。そしてその傍には巨大なボムリスが立っていた。白く長い髭をもち、王冠をかぶっている。再びエアーカーテンで身を包んだぼくらはそっと大広間の中を壁伝いに移動する。


 「あれがボムリスたちの王、キングボムリスです…」


 「ほんとだ…大きい…」


 「気に入らないですよね…!キングになったらいきなりめっちゃ身長高くなるなんて…!」


そんなの知ったこっちゃないが、確かにキングボムリスの身長は見た感じ2メートルを超えていた。トンネル内の幅が大きいのはこいつのせいだろう。キングボムリスは祭壇を見つめ、なにやらイライラした様子だ。


 「ねぇ、エレナ先生がいないんだけど…」


 「おかしいですねぇ…本来ならこの祭壇に寝かされてキングボムリスに食べられてるハズ…」


 「さらっと怖いこと言わないでよ!とにかく、この部屋をもう少し調べないと…」


ぼくらは慎重に壁を伝って大広間の奥の壁まで到達した。やはりエレナ先生はどこにもいない。ぼくはパニックになった。


 「そんな…エレナ先生!」


 「お、落ち着くのです!ボムリスの消化は時間がかかるから、ワンチャンあいつのお腹の中でドロドロになってるだけかも…」


 「うわああああんっ!!!」


 「ちょっと!そんな大きな声出さないで!」


お前のせいだ!なにがワンチャンだよ!…って、キングボムリスがこっちを睨みつけている!?


 「ギギギ…ギィーーーッ!!」


キングボムリスは凄まじい叫び声を上げた。その勢いでぼくらは吹っ飛び、エアーカーテンも吹き飛ばされてしまう。


 「み…見つかった!こうなりゃやるっきゃないですね!」



 キングボムリスが再び叫び声を上げると、大広間の入り口からボムリスたちが、なにやら大きな木の実を運んできた。キングボムリスはその木の実をガツガツと齧っていく。


 「あの青い実は…あいつの素早さがアップしちゃいます!」


 「なんだって!?そういえば、こっちの攻撃手段は!?」


せっかくエレナ先生に剣術を教えてもらってるのに。なにか硬い棒のようなものでもあればいいんだけど…。


 「ふふふ!レイくん!ボクは最強の魔法使いなんですよ!?なめてもらっちゃあ困ります!」


ポッパーはまたどこからともなく杖を出し、なにやら呪文を唱えると、杖の先端が赤く光った。次の瞬間、杖から小さな赤い流星が飛び出し、キングボムリスに襲い掛かる。しかし、青い実を食べて素早さがアップしたキングボムリスにさっとかわされてしまう。地面に落ちた赤い流星はぼうっと燃え上がり、しばらくして消えていった。


 「くっそー…『ファイアコメット』は本来もっと燃えるのに…ボムリスの巣の土って、彼らが吐く爆弾に耐えられるように品種改良されてるんですよね…」


 「い…今の…かっこいい!」


 「でしょー!これぞ炎属性の基本魔法・『ファイアコメット』でーす!」


 「すごい!すごいよポッパー!ぼくこんなかっこいい魔法初めて見た!」


 「えへへ~なんだか照れますね~」


なにゴチャゴチャやってんだ!とでも言うかのように、怒りのキングボムリスがこっちに飛び掛かってきた。ぼくらは慌てて左右に分かれて奴の突進を避ける。だが、これでポッパーと離れてしまった。しかも、キングボムリスはぼくに狙いを定めたらしく、ぼくの方に向き直って睨みつけてきた。

キングボムリスが声を上げると、今度は赤い実を持ったボムリスたちが駆け寄り、キングボムリスがそれを齧る。


 「まずい!その赤い実は攻撃力がアップしちゃいます!レイくん!逃げて!」


攻撃力アップしたキングボムリスのパンチを、かろうじて避ける。見渡すと、部屋の入り口付近に様々な木の実を持ったボムリスたちが並んでいる。順番に木の実をキングボムリスに食べさせ、色んなパワーアップをさせるつもりなのだ。また、木の実を持たない爆弾を口に含んだボムリスたちがキングの援護に駆けつける。なんとかポッパーと合流したいが、奴らに目の前を遮られてしまう。ボムリスたちはポッパーにも襲い掛かった。


 「おっと!危ないじゃないですかぁ!このチビモンスターが!くらえ!『ファイアコメット』3連発!」


…とりあえず向こうは心配なさそうだ。後ろから再び赤い実を食べたキングボムリスが迫ってくる。ぼくは恐怖で地面にへたり込んでしまった。こわい。だれかたすけて…。エレナ先生…。

 そうだ、エレナ先生。彼女を助けられるのはぼくしかいないんだ。ぼくがここでくじけているわけにはいかない。ぼくは立ち上がった。そしてある作戦が浮かんだ。どうにかしてポッパーのところに行かないと…。迷っている時間はなかった。ぼくは目の前のボムリスたちを思いっきりジャンプで飛び越した。彼らの一斉射撃がギリギリぼくの身体をかすりながらも、なんとかポッパーと合流した。


 「おお!今のジャンプ見事でしたよ!」


 「ギギーーー!!!」


キングボムリスがひときわ大きな叫び声を上げると、ボムリスたちが黒い実を運んできた。実…?いや、違う。爆弾だ。キングサイズの、特大爆弾だ。キングボムリスはそれを口に含み、ぼくらに狙いを定める。


 「わわわ…どうしましょうアレ…」


 「ねぇポッパー!さっきここの地面は炎を遮るって言ってたけど…あれならよく燃えるんじゃない?」


ぼくは中央にある大きな祭壇を指さした。木でできているあれなら燃え上がって彼らを怯ませることができるかもしれない。


 「なるほど!よーし…『ファイアコメット』!」


ポッパーの杖から赤い流星がほとばしり、祭壇に直撃する。すぐさまゴオオッと祭壇が炎上し、巨大な炎が沸き起こる。ボムリスたちは明らかに戸惑い、混乱した。キングボムリスも同様だ。煙に視界を奪われたキングボムリスはその場でキョロキョロしている。


 「ふへへ…身長が高いから煙に巻き込まれやすいんですよ!ざまぁみろです!」


 「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」


一緒に杖を持ったぼくらはキングボムリスの真下にいた。彼が気づいてももう遅い。ぼくらは一気に飛び上がり、杖をキングボムリスの口に突っ込む。


 「「ファイア~コメット!!」」


赤い流星が、キングボムリスの口内の爆弾に直撃する。たちまち大爆発が巻き起こった。



----------------------------------------------------------------------------------



 「『ブルースクリュー』!」


ポッパーの杖から水流が飛び出し、炎を消した。やった。キングボムリスをやっつけたのだ。ボムリスたちも地面にばたばたと倒れている。あとはエレナ先生を探すだけ…だ…?


 「ギ…ギギィーーーーー!!!」


 「みゃぎゃーーーーっ!?なんでー!?」


口の中で爆弾が爆発したのに!キングボムリスはまだ倒れていなかった。爆発の衝撃で後ろの壁に吹っ飛んで負傷したぼくらにはもう戦う力は残されていない。すると、


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!レイくーーーーーーーーーーーん!!!!」


すごい形相でエレナ先生が駆けつけてきて、一瞬でキングボムリスを倒してしまった。


 「エ…エレナ先生!?うわっぷ…!」


エレナ先生はぼくを力いっぱい抱き締め、頬ずりしてきた。


 「い…いたたたた!体が!」


 「あっ!ごめんレイくん!大丈夫!?こんなに傷だらけになっちゃって…怖かったよね…!本当に、ごめんねえええええ!!」


エレナ先生は泣きそうな顔でまたぼくを抱き締めてきた。だから痛いです先生!いや、死ぬほど嬉しいんですけど!なんならこのまま死んでも…。


 「おやおや、ずいぶん青春してますねぇ!」


 「!!レイくん!この魔物は…!?」



 一通りポッパーについての説明は終わった。


 「そうですか…レイくんを色々助けてくれてありがとうございます、ポッパーさん…」


 「いいってことですよも~!それにしても、今までどこにいたんです?」


 「聞いてよ!わたし、地下で運ばれてる途中に目を覚ましたんだけど、道に迷っちゃって、だんだん怖くなってきちゃって、レイくんもいないしでパニックになっちゃって…夢中で暴れまわってたの…!」


 「それでボムリスたちは慌ててたのか…」


 「そんな迷うほど複雑じゃないと思うんですがね…」


 「ほら、だって、わたし、方向音痴だから…あはは…」


エレナ先生は恥ずかしそうに笑う。かわいい。ぼくがエレナ先生に見惚れていると、彼女の背後に大きな影が迫った。キングボムリスだ。まだやられてなかったのだ。


 「危ない!エレナ先生!!」


ぼくはとっさに身を起こしてキングボムリスに手を伸ばした。

 

 すると、次の瞬間、ぼくの両手が突然光り輝き、キングボムリスを一撃で吹っ飛ばした。ほんの一瞬の出来事だった。



  <おわり>

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