7話
「繁華街の道具屋まで来たけど…どれもそこそこ良い値段するなぁ…」
俺は冒険雑貨のコーナーで立ち止まり、商品を吟味していた。
(通常のポーションですら1本あたり1.000G…マジックポーションに至っては1本あたり2.500Gかぁ…)
「うーん…どうしたものか…」
と俺が考え事をしていると
「いらっしゃいませ、ポーションをお買い求めですか?」
背後から急に声をかけられた。
「わっ!びっ…くりしたぁ…」
振り返るとそこには長い赤髪の女性が立っていた。
「驚かせてしもうて、すみません…」
「ずっと悩んでいるみたいやったんで…」
と女性は頭を下げる。
「い、いえ!こちらこそお邪魔してしまってすみません!」
「ポーションって結構するんですね…」
俺はそういって軽く笑う。
「あはは…すみません…やっぱり高いですよね…」
女性は困った表情を見せる。
「あぁ、すみません!うちはこの店のオーナー、カンナです。」
「俺はタマキです、なんか訳ありみたいですけど…」
「はい…実は得意先の商人が居ったんですが突然値段を跳ね上げて…」
「っとすみません…お客様にこんな事言っても仕方ないですよね!ポーションは正規の値段の200Gで構いませんよ。」
カンナはそう言ってニコリと笑った。
「ふむ…その商人の話、詳しく聞かせてもらえますか?」
「えっ?別に…構いませんけど…」
「なるほど…それで要求通りの金額を払わないとアイテムを買わせないと言われたんですね…」
「はい…その金額を払ってしまうとうちらの生活はおろかお客様にお出しする商品すら出せなくなってしまいます…」
とカンナは項垂れている。
「実は俺、ここから少し離れた場所で道具屋を開くんです。」
「最初は偵察のつもりで来たんですが…正直このまま知らん顔じゃ後悔すると思います。」
「だからその問題、俺がなんとかしますよ!」
俺はそう言って立ち上がった。
「はぁ…道具屋ですか…ならなんでそこまで…」
カンナが言葉を言い切る前に
「だから代わりに、この問題が解決出来たら俺に経営を教えて貰えませんか?」
と言った。
「それは別に構いませんけど…タマキさんは商人の職業にはついてはるんですよね?」
カンナはそう返した。
「あはは…それはそうなんですがちゃんとした商売を始めたのはこれが初めてで…」
と俺が言うとカンナは
「ふぅ…ん」
と俺を見定めるように見つめた。
「えっ…と…どうでしょうか…?」
俺は恐る恐るカンナを見る。
「わかりました、この件タマキさんにお任せします、よろしくお願いしますね!」
そう言ってカンナは俺の両手を取った。
「は、はい!必ずなんとかしてみます!」
俺は自分の胸を叩き誠意を示した。
思えばこの時の行動が俺の商人人生の始まりだったのかもしれない。