2話
「こんにちは、アイテムの貯蔵からお金の管理まで、よろず倉庫へようこそ。」
「マキさん!本日はどうされましたか?」
「こんにちは、アルル。」
「今日はお金をおろしに来たんだ…」
この子はアルル、よろず倉庫の管理人だ。
よろず倉庫と言うのはその名の通り色々なものを保管、管理してくれる場所だ。
「なるほど、かしこまりました!いくらほどお引き出されますか?」
「40.000.000G…」
俺はアルルに必要な額を伝えた。
「40.000.000Gですか…!?」
アルルはかなり驚いた表情をしている。
「失礼ですが、マキさん…誰かに騙されたりはしていないでしょうか…」
と、俺に確認を取る。
「それは…」
俺はお金を下ろす経緯についてアルルに伝えた。
「なるほどそういう事でしたか…」
アルルはそういうと顎に手を当てて何かを考えているようだ。
「私も長いことこの仕事をしていますが全ての職業のスキルを習得した人は初めて見ました!」
「っと、話が逸れてしまいそうですね!とりあえず40.000.000Gですね!ご用意しますのでお待ちください!」
そう言うとアルルは後ろの部屋にに入っていった。
そして3分ほど経過した…
「お待たせしました、こちらご希望の額でございます!」
と麻袋をカウンターに置いた。
「1.000.000G金貨が40枚入ってます!」
「お気をつけてお持ち下さい!」
俺は麻袋を受け取り鞄の中に入れる。
「ありがとう、じゃ…また来るよ…」
と言いよろず倉庫を後にしようとした時。
「お待ち下さい、マキさん!」
アルルに呼び止められた。
(この流れはまさか…)
と嫌な予感を胸に足を止める。
「えっ…と…何かある…?」
「マキさん、お金にお困りとの事でしたよね?でしたら後ほどまたお店に来て頂けますか?」
そう言ってアルルは俺に封筒を持たせた。
「これは?」
俺は封筒を指差して質問する。
「はい、もし経営に興味がありましたらその封筒の中の書類に目を通してもらえますか?」
とアルルは言った。
(経営…か…一応商人の職業はマスターしてるけど…)
「では、また後ほどお待ちしてますね!」
「はい、確かに40.000.000G受けとりました。」
アビゲイルはそう言って麻袋を受け取った。
「うん、じゃあまた来るよ…」
俺はそう言って職業案内所を後にした。
(貯金が半分以下になってしまった…まさかジョブマスターにこんな罠があるなんて…)
俺は肩を落としてベンチに腰掛ける。
「これからどうしようか…」
(ジョブマスターになった後、貯金で優雅に暮らす夢が潰えてしまった…)
俺は何気なしにポケットに手を入れた。
「そういえばアルルに手紙貰ったな…」
と封筒を開けて中の書類に目を通す。
「ふむ…どうぐや黒ひげ閉店のお知らせ…か」
このお知らせを機に俺の新しい人生の分岐点になるのだった。