17話
「はぁ…酷い目にあった…身体がバキバキだ…」
俺はくしゃくしゃになった髪を手で梳かし、満足そうに眠る二人を尻目にベッドルームを後にした。
「あれ…なんか良い匂いする…」
俺はMPポーション製作の為に朝早くから自室へと向かった。
「あっ…タマキ〜…おはよう〜…」
「えっ!モモ!こんな時間に起きてるなんて珍しいね!」
「うん…昨日チュチュと約束したからねぇ〜…」
「まさか…チュチュが人化出来るようになってるなんて…びっくりしたよ〜…」
「あはは、そうだね!俺もびっくりしたよ!」
「ん…タマキも食べる…?」
モモは器に入ったシチューを俺に向けた。
「あぁ、ありがとう!いただくよ。」
「ん…」
「って事で、モモには裏庭で果実と薬草などの植物を栽培、管理して欲しいんだ。」
俺はこれまでの経緯とこれからの目標、やって欲しい仕事の依頼をした。
「ん…わかった、まかせて〜…」
モモには園芸師の適正があり、俺の園芸師のスキルも全て使える。
「でも…ここの土壌はあんまりよくないね…」
と、モモは頭を悩ませていた。
「そうなのか…」
(後でやろうと思って俺は直接見てなかったからなぁ…)
「タマキ…キキ…呼べる?」
「あぁ〜…呼べるけど…」
サルのペット、キキ。
(正直あんまり得意じゃないんだよなぁ…)
「まぁ、モモが居るし大丈夫か…」
スキル[ゲージ]発動。
「キキ〜?来れる〜?」
檻に向かって話しかけるが、反応がない。
「キキ〜?モモも呼んでるんだけど…」
続けて話しかけると檻は光って弾けた。
「おい!汚ねぇぞ!モモの名前出すなんてよ!」
金髪で短髪、背中に虎と龍の絵が描かれたジャージを来たヤンキー女が現れた。
「ごめんごめん…でも本当で…」
「うん…キキ、手伝って…」
「ひぇ!モモ…姉ちゃん!わかった!わかったからちょっと待って!」
キキは俺の襟首を掴んで引っ張った。
「…おい!いきなり呼び出してなんなんだよ!俺は殴られるのは勘弁だぞ!」
「…大丈夫だって!今回は畑仕事だけだから!」
モモの耳に入らないようにコソコソと話す。
「ん…何の話〜…?」
「いやいや!なんでもないよ、モモ姉ちゃん!久々だなって話してただけだよ!な!」
と、キキは俺の肩に腕を回す。
「そ、そうそう!」
俺の右肩を握るキキの力が強くなり、ミシミシと音がなる。
(エドの時もそうだけどキキも同じで強面の人は得意じゃないんだよ…)
「ん…そっか…まぁ、とりあえず…キキもこれ食べな〜」
「あ!シ、シチューかぁ!俺シチュー好きなんだよ!あはは!」
「食べたら、手伝ってね…」
キキはシチューに手をつける前に俺に耳うちで
「…おい、コレ毒とか入ってねぇよな?」
と確認をして来た。
(モモはめっちゃいい子なのに何でみんなこんな怖がるんだろ…)
キキはから笑いをしながら食事を済ませ、引き摺られるような型でモモに裏庭に連れて行かれた。