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アイドル紹介作品「水城藍理と赤羽花梨」

作者: エクレア

人は誰でも弱い自分がいてそれを何かで隠そうとするものである。またそうする事によって自分を強く魅せたがるのも事実である。


E.T.Oプロアイドルで15歳の赤羽花梨もそんな性格の女の子なのだが彼女の場合は、その何かが「嘘」であるため少々やっかいなのだ。しかし彼女は嘘をつくとすぐ顔に出てしまうためすぐに嘘だとばれてしまうことが度々である。それなのに嘘をついてしまう自分の性格を彼女は嫌に思っているのだが、何か自分の立場が悪くなったりしたり、自分を強く魅せたりするのについ嘘をついてしまうのである。


そんな彼女はある日の夜に一人で夜道を歩いていた。事務所に忘れ物をしたからである。自分の通っている高校の前を通りすぎ、事務所へとやってきて花梨は足を止めた。


「あっちゃー…。やっぱりもう電気ついてないよね…。」


そう花梨は呟いた。しょうがいので事務所をあとにしようと思った時に事務所の二階の部屋で何か光みたいなものが暗闇の中を動いたのを彼女はみた。


「えっ…今、二階の部屋で何か動いたような気が…もしかして誰かいる?」


まさか泥棒…?そう考えて、このまま帰ってしまおうかと花梨は考えたが、忘れ物は大切な財布なのと、もしかしたら、事務所の社長が帰るところかも知れないとも考えて一応事務所に入ってみる事にした。


事務所裏にある関係者用玄関に行き、玄関扉をゆっくり引いてみると鍵はあいていて扉は開いた。


(なんで開いちゃうかなー…。)


正直、花梨は心の中でそう思った。玄関の中へと入り靴を脱いで、右手にライト機能ONにした携帯電話を持って進む事にした。


(なんかホラーゲームの主人公になったみたい…。なりたくはないけど……。)


そう思いながら入ってすぐにある階段をゆっくり登って二階へとやってきた。


(光が見えた部屋は確か会議室のはず。)


そう考えて廊下を進んでいると休憩室前あたりに来たときにいきなりズルッと足が滑って花梨はおもいっきり転んだ。


「いったー…。いきなりなんなのよ…。」


膝をなぜながら床を照してみると、床に少し黒い液体が溢れていた。液体に触れてみるとベタベタした。


「これは…コーラ?いったい誰よこんなところにコーラ溢したのは……ってあの子しかいないか。」


はぁ…とため息をついて花梨は立ち上がり再び会議室へと向かった。そして会議室の扉の前についた花梨は、神様どうか私の見間違いあるいは社長でありますようにと胸の前で十字を切り、一気に会議室の扉を開いて、「だ、誰かいるの?社長?」と思いっきり花梨は叫んだ。


「社長ならお帰りになりましたよ。」


そう返事を返されて花梨は悲鳴をあげそうになったが、なんとかたえた。


「だ、誰?」


「私です。」


「わ…私じゃわかなんないわよ!!」


花梨は半分パニックになりながらそう言って、電気のスイッチに手が触れたので電気をつけた。部屋が明るくなると会議室の隅っこで女の子が椅子に座っていた。


「あ…藍理?」


そこに座っていたのは、最近E.T.Oプロと花梨のクラスに新しく入ってきた水城藍理だった。彼女は才色兼備の女の子で学校の成績も事務所でのレッスンもパーフェクトだが、無表情で口数も少ないので学校ではあまり喋りかける人はいなかった。


「こんばんは花梨。こんな時間に事務所に来るなんてどうかしたのですか。」


「えっ…いや私は財……えっと!自主レッスンをやりに来たのよ。でも、真っ暗だから帰ろうかなーと思ったのだけどそうしたらこの部屋で光みたいなのが見えたから何かな~と思って来てみたのよ。あ…藍理も自主レッスンやりに来たの?あ!まさか何か忘れ物をして取りにきたとか?」


(また咄嗟にどうでもいい嘘ついちゃた…忘れ物をとりに来たのは私だよー。)


「いいえ違います。バッテリーの充電をしようと会議室を訪れました。」

そう藍理は淡々と答えた。


「バッテリーの充電って携帯の?携帯の充電器を忘れたから取りにきたって事?」


「いいえ。そうではなく…あぁ、そういえば先ほどレッスン場で財布を見つけたのですがどなたかのかご存知ないですか。」


そう言って藍理はポケットから苺柄の財布を取り出した。


「あ!それ私の財布!!レッスン場に忘れ………ていたようね気づかなかったわ。ありがとう藍理。」


「どう致しまして。」花梨は藍理から財布を受けとるとバックに入れた。


(あって良かった~。)


と心の中で安堵をした。するとさっきまでは気付かなかったが、なにか変なにおいがするのを花梨は感じた。


「あれ…なんかこの部屋オイルみたいな臭いがしない藍理?」


「先ほど私が使ったのでそのせいだと思います。」


その言葉に花梨は驚いて聞いた。


「えっ、何のために室内でオイル使ったの?下手したら燃えちゃって大火事になるよ?それに社長にバレたら怒られちゃうって!」


「社長からの許可は頂いています。それに毎晩オイルを塗らないと動きが悪くなってしまいますし、最悪の場合錆びてしまいますので必要なのです。」


「へ、へぇ…でも自転車とかにオイルさすなら明るい時に外でやった方がいいと思うよ。」


「残念ですが、その意見は周囲から変に思われてしまうので却下です。」


藍理は冷静な口調で花梨にそう言った。


「あはは…却下なんだ…。」


(事務所で夜にオイル使ってる方が変な気がするけど…。)


そう思いながら花梨は藍理を見てある事に気付いた。


「どうかしましたか。」


「え?いや別に何でもないよ。あ、もうこんな時間なんだ私そろそろ家に帰るね。」


「わかりました。道中お気をつけてお帰りくださいね。」


「うん。藍理も早く帰った方がいいよ。それじゃおやすみ藍理。」


「おやすみなさい花梨。」


そして花梨は会議室を出て玄関を通り外へと向かった。向かってる途中に花梨はずっとある事を考えていた。


(さっき藍理が座ってた座布団みたいなまるいやつからコードが出ていてコンセントへと繋がっていた…。そして藍理は会議室でバッテリーの充電をやりにとオイルを使ったと言っていた…まさか藍理って……。)


花梨は事務所の正面に出るともう一度会議室の窓を見てみた。すでに会議室の電気は消えていた。


「まさか…ね…。」


E.T.Oプロの事務所の一階の奥には倉庫がある。その扉を開けて中に入る女の子の姿があった。そして女の子は倉庫の中に置いてあるボロボロの黒い二人掛けソファーに座りうつむいた。


「全機能停止。シャットダウンシマス。Good night……。」


END


これで紹介小説はお終いです。皆様に各キャラクターが、わかっていただき、気に入って下さったら嬉しいです。

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