#006 一難去ってまた一難の具体例
森を脱出し、街へと向かうタケルとポポ。
「いやー、大変な目にあいましたねー やられるかと思いましたよ」
「あぁ、だがもうすぐ町だし、このままいけばなんとかなるだろう」
と、次の瞬間——
ザザッ
突然、目の前に立ちはだかる二体。一方は全身が赤く、筋肉質で大きな斧を持った鬼。もう一方はちょび髭のシルクハットでいかにも悪そうな顔のガンナーのエルフ。
「ストップだ、お前たち」
「痛い目にあいたくなかったら、言うこと聞いてもらうっス」
いかにも、悪役のセリフにタケルとポポはすかさず
「ちょっと待ってくれ、俺たちは何もしてない」
「そうですよ。こんなボロボロなのに」
「ふん、この森から出たということはお前たちがお尋ね者の手下だな。ここで成敗してくれる!」
すると、鬼は斧を地面に勢いよく叩きつけた。勢いよく跳ね上がる地面につられるようにタケルとポポは左右に分かれて回避した。
「ぬわ!?」
「ひゃ!?」
「相棒!そこの白いやつを!」
「了解っス!」
エルフはポポと、鬼はタケルと分断され、一対一になった。
武器持たないポポとタケルは防戦一方、ただ避け続ける状況。
(鬼のことだ、そう簡単には止まらないかもしれないが、やるしかないか……)
このままでは埒があかないと思ったタケルは説得を試みた。
「まってくれ、俺たちはお尋ね者の仲間ではない、ボロボロのまま縄張りを出ると思うか」
すると鬼はピタリと止まり、一時的に思考した。
……
その後
「確かにそうかもしれん、そういえば理由も聞かずに襲っていたな。これでは蛮族だなガハハ!」
「あ、はい……(お前も蛮族のようなもんだろ、鬼だし)」
「おーい、スライド!話を聞くのを忘れておったわ!一時休止じゃ!」
「あ、了解っすー」
無責任な二人に呆れを感じたタケルとポポだったが、ひとまず一安心した。
*
「——というわけです」
「ほほう、それはえらい勘違いをしておったわ。」
どうやらお尋ね者は大鳥のことで、最近森を縄張りにしていたという。鬼のことカオスとエルフことスライドはそのお尋ね者の退治に向かっていた。
「で、そいつは今どこに」
「川の方にでも流れていったかと」
「じゃあ、あっち方面すね」
「がはは、すまんかったのうえらい目に合わせて!しかし武器も持たずに退治するとは勇敢な者だ!主らの名前を聞かせてもらおうか!」
なぜ上から目線なのかを疑問を持ったタケルだが一応自己紹介した
「タケルです」
「ポポです」
「タケルにポポか!よし覚えた!またどこかで会えるといいのう!行くぞ!相棒!」
「了解っす!あっポポといったすか?見事な避けさばきっす!また会えるとうれしいっす〜!」
「あっはい……」
そして、カオスとスライドは遠くへと走り去った。
「……あんまり会いたくないですね、タケルさん」
「そうだな」