#002 未知の出会い~白いいきもの~
「一体ここはどこなんだ?」
全く見覚えのない景色に二度同じことを問いかける。
「とりあえず、周りをみてみるか」
身の回りの景色に気を取られながらも散策するタケル、しばらく歩いていると……
「ん?なんだ、この白い石」
タケルは明らかに不自然な石に手を取って確認する。
「一見何もなさそうだが、こうゆう時裏には虫とかがいるんだよな」
と恐る恐る裏を確認すると、石にはあるはずのない顔のようなものが描かれていた。
「顔……? いや、たまにいたずらで描かれたものだろう」
その時、石の顔に描かれている目がゆっくりと開き、呟く
「んぁ……?」
「うぁ!?」
突然の出来事に思わず手放すタケル、同時に石が驚き
「ぬわ!なんですかあなたは!?」
「あっ、いや申し訳ない... うっかり石かと思ったんだ」
「僕は石じゃありません!僕はポポで……?」
「……?」
「あれ?思い出せない……」
「まさか、名前以外何も思い出せないのか?」
「どうやらそうみたいです……」
ポポとタケルは同時にうなだれ、沈黙する。互いに困惑しながらも微かな希望を信じていた。
が、儚く崩れるように——
「うーんと……あっ。 とにかく、向こうの街に一緒に行こう。 ここで立ち往生だとよくない」
タケルは、辺りを見回し、見つけた街に指を差した。
「ですね、一緒に行きましょうか」
「あぁ、俺はタケル。ソラノタケルだ。よろしく、ポポ」
「こちらこそよろしくです、タケル」
二人は共に頷き、向こうの街に向かって爽やかな朝風にのるように勢いよく丘を駆け下りた。