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未確認星騒動記  作者: Karza
チャプター1 ~初めての大仕事に魔王討伐を依頼されました~
18/48

#018 事件解決も未だ……

 青空の城、魔王も元に戻った。城の破損も大きかったが、依頼は無事成功できたと安堵するタケル。恐る恐るも魔王に声をかけてみる。


「ま、魔王さん……でしょうか」


「む、そなたが我を元に戻してくれたのかな?」


「はい、魔王様。メイドであるわたくしがこちらタケル様達にて元に戻している様子を拝見いたしました」


「うむ。そうだったのか、永い夢を見ていたようだ」


 どうやら何者かによって結晶を作り出す装置を送ってきたようで、それが原因となっていたらしい。詳しい容姿は黒いフードを被っていただけで、これ以上の特徴はなかった。


「それにしてもすごい惨状であるな……我の暴走は甚大な被害をもたらしてしまったか。これは速やかに復旧作業を行なわければ」


「そ、そうですね……よろしければ私たちもお手伝いを……」


 と、タケルは手伝おうと口にしたが、魔王は途中で断りを入れた。


「いや、大丈夫だ。依頼をこなしたうえでさらに世話をかけるわけにはいかない。それに家来や下部たちも全員無事で人数は十分だからな」


「そうですか、では私たちはこれで……あ、そういえば一つ聞いてもよろしいでしょうか」


「うむ。一つとは言わず、なんでも申せ」


 タケルは元の地球の帰り方を探している。もしかしたら方法があるのかもしれないと希望をもって魔王に聞いてみた。


「地球って知っていますか?」


「うーむ。確かに聞いたことがある。ただ、おとぎ話でしかなく、実在するかは不明とされているらしい。もしかして、地球について関係が?」


「そうですか……いえ、何でもないです……」


「我に隠し事は通用せんぞ。もしやお主、地球からきたのだな?」


「あ、はい……そうです」


 魔王の鋭い指摘についうっかり答えてしまったタケル。ただその反応はタケルが思ったよりよいものだった。


「そうだな……もしかすると中央の星、セントラルに情報があるかもしれぬ。機会があれば行ってみればよいだろう」


「あ、ありがとうございます!」


 *


 魔王とタケルの会話が済み、城を出たタケル一行。するとカオスがタケルに声をかける。


「タケル!すまんがここで用があるのでお別れじゃわい!」


「なにかあるのか」


「これは秘密事項なので話せないっす!」


「そうか。じゃあお別れだな」


「がはは!いい冒険と経験が得られたわい!またどこかであうだろうな!」


(やっぱり会いたくない……)


 タケルは次はないでほしいと願いつつ。カオスとスライドに別れを告げ、城からカナのいる村へ出発した。


 *


 無事荒野と森を抜け、村の岐路についた頃。タケルは剣のことをみて考えた。


「これ……確かに威力は凄いよ……けど……」


「けど強すぎて制御ができないですね……」


「特訓したらいいんじゃない?」


 カナの提案にしばらく考えこむタケル。確かにこれならどんなに強い敵でも倒せるかもしれない。だが、二次被害が大きいと最終手段にとっておくのが得策ではないだろうかと。そう考えたタケルは剣を消した。


「やっぱりこれはしばらく封印だな。いつでも出し入れできるし、どうもいい使い方が思いつかん」


「そう。まぁ好きに使ったらいいと思うわ……あ、村が見えたわ!迎えもきてくれているわ!」


 村に着くとタケルは村長に依頼の達成を報告した。魔王は悪だくみではなく暴走であったため、討伐の必要性はなかった。それを聞いた村長はあぁ、昔のように戻ったのかと心の底から安堵した様子だった。

 当然、宴も行われた。人々は飲めや騒げやの大盛況であり、よほど魔物の脅威が去ったのが嬉しい様子。

 ポポは子供たちと楽しく遊んでいた一方、タケルとカナは少し離れた場所で会話をしていた。


「それにしても、よくあの時外に出れたな。魔物も結構強そうだったし」


「ずっと家にいたままじゃあなまっちゃうわ。それに、あの剣のこと悪用して欲しくなかったし。まぁ、あなたに持っててくれたほうが安全かもね」


「で、これからどうすんだ?剣のことならもう済んだし」


「そうね……私、魔法が得意なの。魔王をおびき寄せるのに火の魔法使ってたし、ほかにも魔法の勉強をしていきたいわ。それで魔法使いになっていつか自分だけのものすごい魔法を生み出してみたいわ」


「そうか……まぁ、がんばれよ」


「……えぇ」


 カナはどこかもの寂しい様子でうなずいた。


 *


 宴から一夜明け、村から出発することになったタケルとポポ。


「では、また」


「この度は本当にありがとうございました。また何かありましたら是非村にお越しください」


「――まって!」


 カナがタケルたちを引き留める。


「私もタケルたちと行く!魔王の件を通じて思ったの、タケルたちならいろいろな経験を通じて魔法の研究が進めるかもしれない!」


「いやでも急にそんな……」


「安心してくだされ、わしも許可をしたし、あなた様の大家さんにも一言入れておきましたので」


「あ、そうなんだ……じゃあよろしく頼むよ」


「えぇ。よろしくね」


「にぎやかになりましたですねー」


 こうしてカナはタケルたちとともに村を旅立った。これから魔法の研究のために依頼の手伝いをしてくれるとのことであった。


 帰り道、タケルたちは様々な話をした。魔法の話、地球の話、この世界のことについて――

 まだまだ、未知が多い中。諦めずに地球に帰る方法を探していこうと前向きになるタケル、自分が何者なのか、そして故郷を探すポポ。自分だけの魔法を創作しようと奮闘するカナ。


 三人の冒険は今に始まったばかりである。



 *


「ふむ……計画は失敗でしたか。しかし、まだまだ方法はある……」


「……早く見つけないと……カオス、スライド……何か手掛かりを掴んでくれるといいんだが……」


 様々な思惑が世界に飛び交う。果たしてこの世界は一体――


 ~チャプター1 終~


毎日更新ここまで、これからは不定期になります。

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