#016 魔王城に入ります!
魔王の城まで来たタケル一行。
意を決してタケルが扉の前へと進む。そこには二体の番兵が立ちはだかった。
「そこのお前たち。何のようだ」
「そちらの異変で周囲が困っている。よければ解決の力になりたいが」
魔王討伐とはいえ、それは最悪のケースによる。できれば避けたいとタケルは考えていた。
「なるほど。しかし、ここは危険だ。お引き取り願いたい」
「なにかあったんすか?」
「魔王ジグルド様が暴走しておられる。幹部どのが魔王を抑えておられるが、いつまでもつか……」
「原因はあの雲だよね?何か払う方法はあるの?」
カナの質問に番兵は答えた。
「ある実験のために使おうとしていた装置があった。だが、装置の暴走により雲が発生。あとはご承知の通りだ。今は装置の破壊に成功したが、あとは雲を払う方法があればよいのだが……」
「なら、タケルの持ってる剣を使えばいいだろう?あの爆風ならうまくいくかもしれぬ」
「……それしか方法がないな。番兵さん。試させてくれないか。俺たちを信じてくれ」
「解決方法があるのならたとえ可能性が0でも信じよう。頼んだぞ」
「ありがとう。よし、いくぞ!」
タケル一行は扉の向こうへ進んだ。まずは城のできるだけ上に登ると決めた。
*
城に入った途端、不気味な空気が辺りを漂っていた。恐らく魔王の対応にあたっているのか入り口付近には誰もいなかった。
「とりあえず魔王のいるところに向かいたいが……どこに行けばいいんだ?」
するとどこからの扉が爆発するように吹き飛び、タケルたちの目の前を横切って行った。
驚きと同時に尻餅をついてしまったタケルだったが、それと同時にメイド格好の女性が煙を払いながら現れた。
「どうしたんですか!?」
まっさきにポポが駆け寄っていく。
「げほっ……きゃ客人ですか…ここは危険ですのですぐ避難を……」
「大丈夫。ここは任せて早く避難を……」
ととポポが丸い体を使ってメイドを起こそうとすると
ドカーン!!//
反対側から黒い魔物が爆風と共に姿を現した。
「ヤバい!逃げろ!」
タケルの掛け声と同時に扉の奥に駆け込んだ。
その先は入り組んだ通路、階段。とにかく階段を見つけては駆け上がって奔走する。
「何処まで続いてんだぁこれ!?」
「気味悪い奴がいるし道悪いしもういゃあ!」
「あっみなさま!あそこまで行けば魔王様の部屋です!」
駆け込むように扉をぶち開け、何とか到着した。だがそんな息をつかせる間もなく漂う壮絶なオーラが目の前の面影にーー
「あぁ魔王様、何というお姿に……」
メイドの悲しみ、魔王の暴走を止めんとす家来、状況が今回の顕末を物語っていた。