#014 なんやかんやありましたが、魔王城が見えてきました
荒れ狂う空に待ち受ける魔王。
それを打ち倒すべく5人の勇者たちが立ち上がった。
様々な困難を乗り越え、ついに魔王の住む城が見えてきた。
ついに世界を救う冒険が佳境を迎える――
と書いたが、実際より壮大にしたほうが物語の感じがするあらすじであった。
*
「というわけで、荒野を超えたいわけだが」
「途方もないですね。カナさん方法ありませんか」
「まさか森の向こうに荒野があったなんて、地図しか見たことないからよくわからないわ」
「走っていけばよいだろう!」
「あそこに何かいるっすよ」
とカオスの提案を通り越してスライドの指す方向を向く残り三人。指さす方向にはダチョウのような生き物が大勢いた。
とりあえず、行く当てもないタケル一行はダチョウ?の群れに向かった。
*
「乗れそうですねー」
『ぐえー!』
「魔王の城まで行くんすか?」
『ぐえー!』
「連れてってほしいなー」
『ぐえー!ぐえー!』
「よし、いくか!」
『ぐえ~?』
「なんで俺だけノリ悪いの?」
なぜか乗ってくれなく、落ち込むタケルだった。少し休憩した後、タケル一行はダチョウ?とともに魔王の城まで向かうことになった。
*
砂漠の中をかける最中。ダチョウ?の足さばきが軽やかなのか砂が巻き起こらず、快適な走行をこなしていく。少し退屈そうなポポを片目にタケルは少し考える。
(このままいけば魔王と対面か。できればあまり倒したくないんだよな。原因が空に浮かんでる黒い雲っぽい可能性も無くはないが、果たしてそうなのだろうか……)
その時
「何かやばそうなものが見えるっす!」
スライドが謎の物体に気づいた。かなり大きい。かなり遠いが、それでも今見える城と同じ程度の大きさだ。近づくと大変なことになるのは明確だ。そして大変な余地は現実となりつつある。
「こっちに近づいてないですか?」
「まじか!?」
「何とかならないの!?てかさっきの剣はどこやったの!?」
カナの言葉でタケルははっとする。剣が見当たらないのだ。
「あれ!?嘘だろ!?そういえば持ってる感覚がなかった!」
「どうするんですか!!?唯一の手段がないじゃないですか!」
「このカオスが奴ぶったおせばよいのだろう?」
「どっちにしろ近づくから無理っすよ!」
カオスの無茶ぶりを制止するスライド。タケルは剣をなくし、カナとポポは困惑する。万事休すかと感じたタケルはやけくそで叫んだ。
「うおぉぉ!剣もどってこぉい!」
するとタケルの手元にあの剣が現れた。
「あ、戻った」
「戻ったんですか!?」
ポポの突っ込みをよそに剣が戻ったことに唖然とするタケル。少し考えたのち目を見開いた。
「よし!あの剣を例のあいつに投げるぞ!」
「使い方間違ってませんか!?」