#013 やっぱり何かあると思ってた
剣の元までたどり着いたタケルとポポ。
「よし、抜いてみるか……」
「ドキドキ……」
とタケルが期待を胸に剣を手にかけた。その時――
「そこまでよ!」
「何!?」
タケルが声のするほうへ向くと杖を向けたカナの姿があった。
「金目的で剣を盗もうとする盗賊野郎め!覚悟しなさい!」
「おい!どういうことだ!」「えぇ!?」
「どうもこうもない!剣目的の人は皆金目的だった!これ以上被害を生み出さないためにもここで止める!」
「それ屁理屈ですよ!?ってもうなんかしてる!!?」
「ポポ!落ち着け。ここは一旦――」
とカナが魔法を唱えようとした瞬間。上から二つの陰が降ってきた。
「どすこーい!!」
「ぬお!?」「うわっ!?」
「がはは!!何やらもめごとが起きとるようだからきてやったわ!」
「さすがカオスさん!ナイスタイミングっす!」
影の正体はタケルとポポが前にあった鬼とエルフの二人であった。しかし降ってきた反動でタケルが剣を引き抜いてしまった。
「びっくりした反動で剣が抜けた……」
「むっ!誰かと思えば前のタケルではないか!」
「それよりも剣が……」
「ちょっと!私を置いて何してるのよ」
「お嬢ちゃん荒事はいけないっすよ」
「そっそうだーです」
なかなかカオスな状態でタケルが剣のことで大声を上げようとした瞬間――
『グォォォーーー!!!』
「「「「「ひゃあ!??」」」」」
タケルの背後に大きな魔物が気勢を上げて現れた。その気迫にタケルがうっかり剣を大きな魔物に宝利投げてしまった。
「あっやべ」
放り投げた剣がそのまま大きな魔物にあたり。そして――
周囲は光に包まれた。
*
「ぐっ……んん……」
日光に当たる感覚に気づいたタケルがゆっくりと起き上がる。剣の引き抜いた場所があることから先ほどと同じところにいるが。その先に壁が崩壊した跡があったため。日光が当たっていた。壁の先には荒野が広がり、その先に城が立っていた。
タケルは他の4人を起き上がらせ、今回の件も含めた状況を互いに整理しあった。
カナはあの剣には前から金目的でくる盗賊を追い払っていたのは本当のことで今回の二人もきっとそうだろうとひっそりと先回りしていたらしい。結局は勘違いだったことで収束し、タケルが剣を使うことを了承した。なお、剣の詳細については何も知らず、村人も気味悪がられて使わないらしい。
一方、鬼とエルフ――カオスとスライドと名乗る二人は上からの命令でタケルたちの依頼の手助けのために村に行き、タケルたちの接触及び協力をしていたらしい。ただ、本来の目的はここでは秘密としている。
「――と、とにかくいままでなんやかんやあったが、この5人であそこの城に行くでいいな」
「はい、依頼からあそこの城に魔王がいるで間違いないです」
「勘違いしてごめん。でも剣のことはくれぐれも気を付けてつかってね!?」
「がはは!!俺がいれば魔王でもなんでもかかってこい!」
「目的も忘れないでくれっすよ……」
「大丈夫かこれで……頼もしいのかそうでないのか……」
と不安と目的をそれぞれ抱え、城の方角へと向かった。