#012 少女を救出したが、同行するらしい
森の中まで走りこんできたタケル一行。
魔物の追ってくる気配はなく、ひとまず安心するタケル。しかし、ポポはかなりご立腹の様子。カナも困惑している状況にあった。
「タケルさん……なにしたかわかってますね?」
「あ……まぁなんとかなったしよかったよかった」
「何がよかったですか?出られなかったらどうするんですか!?幸い魔物がすぐに吐き出してくれたので何とかなりましたが、もう少し大事に扱ってほしいです!」
「うっ……反省してます」
と一通りポポの説教が終わったところでカナが声をかける。
「あのぅ……」
「「あっ……」」
「た、助けてくれてありがとう。改めて、カナよ。その、剣の案内をしたくて先回りしたらうっかり魔物につかまっていて……」
「それならもっと強い男でも連れてけばいいのでは」
「む、村の人たちはあの剣のことはあまり関わりたくないのよ。まぁ私は魔法使いだし、この辺の森は知ってるから力になりたいの。一緒についていきたいの」
「まぁ、そこまで言うならわかった。無理はするなよ」
「無理をさせる人が何言ってるのか」
タケルの説得力のなさにポポの突っ込みが入り、多少苦笑するカナ。
「とりあえず、奥に行きましょ、昼時だしそこに川があるの。そこで昼食をとりましょ」
*
川のそばに来たタケル一行。カナの提案通り昼食を行った。
「どう?いい景色でしょ」
「確かに、川沿いに沿って日光が注いでいて気持ちいい」
「風も心地いいですね」
「そう。ここは憩いの場所にしてる生き物が多くいるの。個々の森は危険な生き物はあまりいないから絶好のピクニックになるわ」
「あれ、でもあの魔物は一体何だったんですかね……」
「見た感じ今回の一件にかかわっているかもね。植物系の生き物は光合成ぐらいで普通は人を食べないわ」
「なるほど、少し急がないとこの森の生態系も危ういのか」
「そうね……!!? 隠れて!」
カナが素早く岩陰に隠れる。後につれて慌ててタケルとポポがついていく。
(昼食はきちんと完食および後片付けしました。)
「さっきの魔物か……!」
「あまり相手にしたくないですね……」
「こっちよ!気づかれないようにいきましょ」
*
「かなり奥まで進んだな……」
「さっきの魔物以外にも殺気立っている生き物もいくつかいましたね……」
「見て!あそこ!」
カナの指す暗闇の先にひっそりとささる剣がたたずんでいる。
「あれか。行くぞポポ!カナ!」
「了解です!」
タケルとポポはそのまま剣のもとへ向かった。