#011 とりあえず、村に行きました。
夜、村で宴が行われた。依頼を出してから数ヶ月どこからも受けてもらえなかったため、苦しい生活を送っていたからだ。
お姉さんから飲み物をもらうタケル。宴はこの世界に初めてだったからかなれない様子。一方、ポポは獣人や子供と遊びまわっていた。
しばらく宴を楽しんでいたタケルに村長が話しかけられる。
「どうです、楽しんでおられますか」
「あ、はい」
「それはよかった。あと、ここでうちの姉妹を紹介したいのですが、よいですか」
「?はい大丈夫です」
まぁ村長の家族なら知っていてもいいかとタケルは村長の姉妹を紹介してもらった。
一番の姉がエイ、金色の髪をなびかせるお姉さん気質25歳。真ん中がヒラ、大人しめのオレンジ色髪無口気味22歳。末っ子がカナ、ピンク色の好奇心旺盛な魔法使い18歳。いずれも容姿が整っており、礼儀正しい。
タケルは三姉妹の容姿に少し動揺したが、平静を装って挨拶し。こちらの自己紹介も何事もなく進んだ。
その後の宴も続き、夜が更け寝静まる村――
「……何とかしなくちゃ」
この声以外自然の音が聞こえるだけの夜だった。
*
翌日
「では、いってきます」「魔王の件、任せてくださいです!」
「はい。くれぐれもお気を付けて」
タケル一行は村を出発した。
*
森の入り口手前、このまま突入できるかと思った一行。しかし、大きな植物の魔物が行く手を阻んでいた。その存在にいち早く気づき、木の陰に隠れる。
「タケルさん、化け物がいますね……」
「しかし、何とかしないと先に進めないな……」
「そこの人―!!助けてくださーーい!!」
魔物の伸ばすツタの先に女の人が捕まっていた。タケルは木の陰からその人を見ると見覚えがあるとわかった。
「あれ、カナさん……?出発した時にはいたはずだが?」
「とにかく助けるしかないですよタケルさん!」
「んー。ポポ。お前を投げてひるんだ隙に助ける」
「あ、囮になるのですね……」
と悩んでいるポポを容赦なく魔物に投げつけるタケル。そしてポポはあっけなく魔物に食われた。
その後、ポポが暴れ始めたからなのか魔物は苦しみだし、カナを手放し、それをすかさずタケルが受け止める。ポポも魔物の体内から脱出できた。
「よーし作戦成功だ。そのまま森に突っ込むぞ!」
「あーもう!!あとで話あるです!!」