#010 なんでいきなり魔王を倒せっていうんですかね?
「魔王?」
「そうじゃ。まずは地図にある村に行き、村長から詳細を聞いてくれ。以上。GO」
「まてまてまて!無理があるだろ!丸腰の一般人が強大な魔王を討伐なんて無理にもほどがあるわ!」
「そう慌てなさんな。なんとかなる」
「なんとかなる気がしないですよ!」
と、タケルとポポは当然の猛反発。しかし、大家はできるの一点張り。そして
「できなければ交渉決裂でここから出て行ってもらうぞい」
「くっ……」
「いまから住む場所なんてほかに見当たらないが、大丈夫かのう?心配じゃのう?」
「……わかった。やってやる」
「タケルさん!?やるんですか!?」
「あぁ。ほかに方法はない。それに故郷に帰る方法も魔王ならわかるかもしれない」
「う~ん。仕方ないですか。やるしかないですね」
「よし、じゃあさっさと行くがよい」
と大家に流されたタケルとポポはそのまま村へと向かった。
*
村に向かう道中、依頼の内容を確認するタケル。
「まず、魔王の場所だが、村の北に森があり、森の向こうに荒野が広がっていて、その先らへんに城があるらしい。最近の状況だと城の上空に黒い雲が広がっていてその影響からか村の周りにも魔物がうろついているらしい。今回の依頼は魔王の城に行き、原因調査と解決。場合により討伐というのが大まかな内容だと」
「で、詳しくは村長に聞くということですね」
「そういうことだ。まったく、いきなり魔王だなんて何考えてるんだあの大家」
「やはり、今まで辞めた者たちがたくさんいた理由はこれだったんですね……」
「まぁ、この世界が何なのかなにもわからんから何事もやるしかない」
「ですね……」
ポポはできる気がしない様子を浮かべる。タケルも強がりを見せるも半分やけくそ気味であった。
*
村に到着したタケルとポポ。そこには村人たちが出迎えていた。村人のほかにも住人や小人と獣人もいた。
「ようこそ、小さな村リットル。私が村長です。魔王の件はあなた様でしょうか」
「「はい」」
「おぉ、依頼の件ありがとうございます。向こうに暗い雲が見えましょう。あそこの下に魔王の城がございます。しかし、何もなしに突入するのは少々無謀なので森にある剣があるので取ってから向かわれたほうがよろしいかと」
「そんな簡単にとってもいいのでしょうか」
「大丈夫です」
ポカーンとする二人。そのまま村長が口を開く。
「まぁ、長旅ですし今日はここで休まれては?翌日向かわれたほうが賢明ですじゃ」
「あ、はい。ありがとうございます」「ありがとうございますです」