#001 未知の世界まで
とりあえず、チャプター1まで毎日更新予定。その後は不定期。
ここは、地球——
そこに一人の青年が自転車を走らせていた。
彼の名前は宙野健(以下、タケル)。
タケルは20歳の大学生で親二人と妹の4人家族で暮らしている。
タケルには、これといった特徴はなく、特技もない、ごく普通の大学生だ。
自転車で30分程度で学校に通い、授業やサークルに打ち込み、帰宅する。そんなごくありふれた日常を過ごしていた。
ただしかし、ごく普通の生活を心なしかこのままでいいのかときどき考える。お金持ちになること、名誉を得ること、力を得ること、社会の役に立つこと、モテまくること――様々な行動や欲望がよぎるが、よく考えるとそれは取り繕た飾りのようなものでそこまで必要なことではないのでは。もっと根本的な目的があるような、世界にとって、生物にとってあるような……そんなことを考えながらトラックが横切るのを片目に自転車を走らせ、そのまま特に何もないまま時間だけが過ぎていく、そんな日常だった。
——あのような出来事が起こるまでは。
ある休日のことである。タケルは家族との朝ご飯を済ませたあと、何気なく散歩に出かけようとした。
タケルの住む街には山や海があり、施設も最近のものが多い町だ。散歩には最高の場所であろう。
「いい天気だ、今日は海にでも行こうかな」
そう思いながら家を出た数分後、ふと空を見上げると不思議な光が青空に輝いているのが見えた。
タケルは不思議そうに空を見つめていたが、次第にそれは異変だと感じた。
不思議な光が、次第に大きくなり、こちらに向かっていくことに。
焦って逃げるも、光はタケルを巻き込むように突っ込み——
そして、消えた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
光に巻き込まれたタケルはどこかに連れていかれるように、落ちたり、浮いたりとよくわからない現象にただ、悲鳴を上げるしかなかった。
見えたのは、虹色のトンネルのようなもの。感じるのはどこかに連れていかれていること。
わけわからない現象にタケルは次第に意識を失ってしまった。
しばらくしたのか、タケルが目を覚ました。
「ここは...どこだ?」
タケルが起き上がったところは朝焼けがよく見える丘のような場所。
しかし、見覚えのない場所だった。