2.あっちゃー乙女ゲームだコレ
エリーカ・フローレンス、前世で妹がやっていた乙女ゲーム「星降る約束の地で」のヒロインの名前だと気が付いた。
焦げ茶髪のストレート、目鼻立ちは5歳にしてはしっかりしており、色白。
二次元的にはどこにでもいるタイプの女の子だと思うが、太らなければ確実に美少女になるはず。
前世の私は、初めての会社の飲み会でヘロヘロになり、帰りの途中で道路を爆走していた車に接触して死んで、この乙女ゲームの世界に転生したらしい。
妹がやっていた、この「ホシフル」と略されていた乙女ゲームは、聖属性魔法に目覚めた平民だったヒロインが男爵家に拾われて、ブロッサム王国の魔法学校に入り、イケメンたちと共に冒険をしながら、約束の地と呼ばれる聖域を、魔王に魂を売った宰相を打ち倒して、浄化する物語だったはず。
RPG要素があり、イケメンたちとパーティーを組んでダンジョンを攻略してレベル上げをしたりする。
妹はRPGが苦手で、レベル上げやダンジョン探索が苦痛らしく、代わりに私がダンジョン攻略などをやっていた。
ボス前などではイベントスチルがあるので、個別にセーブデータを分けるよう言われ、中々大変だった。
メインがRPG部分でないため、ゲームバランスが壊れており、ヒロインだけに経験値を振り分けてレベルを爆上げすることができる。
レベルアップ時にスキルポイントを割り振るため、攻撃力に極振りすると、初期装備のナイフでラスボスを倒せるまでになる、という程度のRPG要素だったはずだ。
メインは、メンヘラ気味なイケメンたちの心を支えることで、親密度が一定を超えると、イケメンから告白される。
一緒にラスボスを倒すと、その功績をもって王子様とも結婚エンドを迎えられる。
なお、王子の婚約者的な悪役令嬢はいない。ライバルキャラの公爵令嬢はいる。
問題は、私はRPG部分しかやっていないので、登場キャラは憶えているが、シナリオを知らないこと。
もう一つ、メンヘラ男子が嫌いなことだ。
クソ雑魚メンタルな男どもを支えるとか私にはできない。
下手するとグーで殴る。
何より、折角魔法のある世界で、身体強化や回復魔法が使える聖属性魔法の保有者になったのだから、やりたいようにやらせていただき、ボスはきっちり倒せばよいのではないか?と思うわけである。
ゲームシステム上、攻略した男子と一緒に倒せばハッピーエンドだが、ヒロイン単体で倒してもノーマルエンドは迎えられるのだから、何の問題もない。
そこで私は考えた。
これ、自分で好きなようにしたほうが楽しい人生が送れるのでは?と。
折角転生して、魔法のある世界に来ることができたのだから、私の儚く子供っぽい夢をかなえられるはずだ。
子供のころから見ていて、今も好きな女児向けアニメシリーズ。
それまでの女児向けアニメと違い、変身するヒロインたちは肉弾戦で敵を弱らせ、魔法でとどめを刺す。
私は、シリーズによって同人誌も作っていたし、コスプレもしていた。
たしか、私の聖属性魔法は身体強化や各種防御、回復なんかに振り切れていて、実は攻撃魔法は一つしかない。
その代わり、身体強化などで無類の物理攻撃力と、物理耐性と魔法耐性を得られる。
つまり、変身ヒロインができる。
私の目標は決まった。