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乙女ゲームのヒロインに転生したようですが、私は変身ヒロインになります。メンヘラ男子はお呼びじゃありません。  作者: シャチ
1.幼少期編

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閑話:変な男爵令嬢と友達になった公爵令嬢の話

最近友達になった男爵令嬢がいる。

名前をエリーカ・フローレンス。

フローランス家系の血筋で、騎士団で頭角を現した次男が独自に爵位をもらった分家の娘だ。


初めて会ったのは、フローランス家のお茶会では呼ばれた時。

最近までただ、平民との子だと聞いてる彼女が、光の戦士様が来るとのことで、親類だからと伯爵家の、しかも公爵家まで参加するお茶会に出てくるなど、なめていると思っていた。

ちゃんと躾てやらなくてはと…


お茶会に行くと、ヴィルヴェルベント伯爵家令嬢のセラーナ様と席についているのが見えた。

一発脅してやろうと、声をかける。

「なんで、このお茶会に男爵家の人間がいるのかしら?」

ちょっと高圧的に見える態度で、声をかけてみると、すっと立ち上がり見事なカーテシーをお返しされた。

本当に同じ歳なのだろうか?

私ですらまだちょっとぶれることがあるのに、一切ぶれない。

一緒にいるセラーナ様の騎士礼と合わさると、とても見事だった。

「ふん、挨拶だけは一人前ですのね。まぁいいわ。あー早く光の戦士様に会いたい」

私は下手に自分で墓穴を掘らない様に退散する。

今回のお茶会参加は、単なる社交ではない、最近巷で噂になっている光の戦士様に会えると聞いたからだ。

身分から、そう簡単に街に出るわけにいかない私が、伝え聞いた話では、聖属性魔法を巧みに使う無敵の女の子だと言う。

魔物におびえることもなく、素手で戦うという彼女に私は憧れを感じたのだ。


事は昨年、領地で大規模なスタンピードが起こった時。

私は父や兄と共に戦線に立ったが、味方への防御力強化や、魔法無効化魔法をいくらかつかっただけで、戦いそのものの役に立ったとは言いにくかった。

兄からは「さすがノエールだ」と褒められたが、私が何をやったというのか。

少しは民の治療も手伝ったが、魔物を倒したのはうちの騎士団と父と兄だけ、私はずっと、後ろで守られるだけの存在だった。

女では戦えないというわけではない。

私の母は大魔法使いと呼ばれる火属性と風属性の二重属性魔法使い。

妊娠していなければ、間違いなく前線に立っていたはずだ。

私だけが役に立てない。

そう思っていた私にとって光の戦士は希望になった。

こっそり部屋にぬいぐるみを置いてある。

中々かわいい子なのだろうとぬいぐるみを見る限り思う。


そして、その直後に私は度肝を抜かれたわけだ。

さっき煽った男爵令嬢が、何か叫ぶと光の戦士の服装に変わったのだ。

確かに髪色は一致している。

さっきも聖属性魔法使いで騎士のセラーナ様と一緒にいた。

「お待ちなさい!!」

私は思わず声を上げて、彼女に近づく。

男爵令嬢ごときが、私より聖属性魔法を巧みに使い、魔物をなぎ倒しているだなんて認められない!

もっと高貴な方なのだと思っていた。

協会所属の巫女とかそういった方だと思っていたのだ。

「あ、あなたが光の戦士だと、どうやって信じろというのです!!たかだか男爵令嬢ごときが!」

エリーカ男爵令嬢はポカーンとしている。

「えーと、ブロッサム公爵令嬢様。発言をよろしいでしょうか?」

私は許可を出した。

一応貴族教育はちゃんと受けているようだ。

私に向かって勝手に口を利くことをしなかった。

「私と手合わせ願えませんか?」

「は???」

今この女は何と言った?

公爵令嬢の私と手合わせ???

仮に彼女が本物の光の戦士様だった場合、私など敵うわけがない。

「じゃあ、行きますよ、防御魔法張ってくださいね」

人が答える前にポンポンと話を進める男爵令嬢に慌てる。

よく見れば無詠唱で拳の前にまばゆい防御障壁を張っているのがわかる。

間違いない、彼女が光の戦士だ。

私なんて無詠唱で防御障壁なんて使えない。

「聖なる光よ、我らを守りたまえ…光の壁デフェンジョン!!」

私は慌てて防御障壁を展開する。

彼女はそれを待ってくれているうえに、先ほどより拳前の障壁強度を下げたようだ。

さっきより光が緩くなる。

と、次の瞬間ガラスが割れるような音が響いた。

私が展開した防御障壁は跡形もなく砕け散っていた。

ありえない、というより聖属性魔法ってこんな使い方があるの?


「あ、あなた…いま本気じゃなかったわね?」

「ご明察です。今は45%ほどの力で殴らせていただきました」

「そこまで落としたの…というより物理防壁で物理防壁打ち砕けるのね…」

「聖属性魔法は、使い方によっては無類の攻撃力を誇るのです。そこにいるセラーナ先生と一緒に検証した結果です」

「なるほど…あなた、私にも魔法を教えなさい!」

「もちろんですブロッサム公爵令嬢」

恥も外聞もなかった。

私は彼女に聖属性魔法を教わる。

今いる家庭教師ではあてにならない。

私は守るより攻めるのが好き。

彼女の技を身に着けて、公爵領の領民を私が守って見せる。


エリーカは私の意志を尊重してくれて、聖属性魔法の使い方を教えてくれた。

他にも光の戦士の物語の絵本を読ませてもらった。

弱き者を助け、悪を討つ。

私の理想とする女の子たちが、たくさん出てきた。

友情が、志が強さを生む。

それから聖属性魔法と共に、光の戦士にものめり込んだ私は、気が付けばエリーカと一緒に光の戦士をやることになった。

彼女もまんざらでもないらしい。

ちょっと喧嘩もしたけれど、彼女はまっすぐで、とても芯が強い子だ。

気が付けば、私が一番の友だと思える子はエリーカだけになっていた。

そして、明日エリーカと共にブロッサム領へ行く。

スタンピードは収まったが、まだまだ魔物の出没が相次いでいる。

エリーカはなにか心当たりがあるらしく、一緒に解決しようといってくれた。

やっと私も、公爵令嬢として役に立てる時が来たと胸が高鳴った。


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