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AIとはどんなものかしら  作者: 尻鳥雅晶
第二章 知あれど、血なき、同僚と。
7/20

You,Robot

 最近、ネットを見ると、とある製品の同じ広告ばかり出るようになった。


 その製品とは、マンガっぽい猫の顔がついたAI配膳ロボット(未来の世界の猫型ロボット!)だ。興味本位でその製品のサイトを開いてみたのが運のつき。以来、ことあるごとに表示されるようになってしまった。うざい。

 もっとも、その広告が出るたび僕はふざけて大騒ぎするので、妻は「別に困ってないよね」と言うんだよ。ところでこのロボットは、本当に店員の代わりになるのだろうか?


 さて。


 前章のまとめとして、僕は、「AIに仕事を奪われる」(ように見える)ことはほとんどない、ただし、「代替特化AI」については違うだろう、と結んだ。この回は、その代替特化AIの説明となる。


 なお、この章には数字は出てこないが、短気な人間の読者様におかれましては、「第二章のまとめ」までの飛ばし読みをお勧めする。だって自分で読んでても少々難解だと思うもん。


 「代替特化AI」とは、僕の造語だ。まあ、造語と言うより、タグの一種に過ぎないかも知れない。実は、単にそのように意識されてないだけで、代替特化AI自体はすでに世の中に出回っている。


 代替特化AIは、最初から人員削減を目指すために開発されたものだ。労働ロビータ者に成り替わるためのロボット、と言っていい。


 代替特化AIの導入は、労働者が複数グループとなる環境が前提になる。労働者をワンオペより少なくすることは、まだ能力的に出来ないからだ。実際の運用としては、解雇された労働者のぶんの「代替特化AIではできない作業」を、残った労働者が「代替特化AIによって浮いた時間」にこなす形態となる。残った労働者は、代替特化AIのお世話もする必要があるだろう。また、家庭への導入は、メイドさんを何人も雇うリッチな家以外は、代替特化AIが求められることはない。


 なお、代替特化AIは、繰り返しになるが、労働者を「ひとり」より少なくする為のものではない。もちろん、「未来の世界の人型ロボット」であれば、たいていの仕事は「ひとり」で可能だ。しかし、たぶん、たいていの仕事はそのロボットのコストには見合わない。数兆円(適当)の開発費、数億円(適当)の製作費、数千万円(適当)の年間維持費がかかる存在を、数千円(適当)の時給の仕事につかせるとしたら、それはビジネスではなくパフォーマンスだろうね。


 現在、最も有名な代替特化AIは、大手通販業者の倉庫業務を行うシステムに組み込まれたものだと思う。身近なところだと、最新型のATM、格安ホテルのフロント、モノレールの運転等、他にも色々思い当たるが、人件費をペイしているのかと言うとイマイチ疑わしいので挙げられないのは残念だ。ただ、代替特化AIの性質上、その情報は表には出にくいとは思う。


 代替特化AIの最大のメリットは、利益が約束されていること。利益が上がる見込みがなければ導入されないのだから当たり前だ。そして最大のデメリットは「夢がない」ことだ。夢がない、ということは、かなり無視できない要素だと思う。専門用語ジャーゴンを受け入れてもらえないし、はっきりした数字しかアピールできないし、初期費用に寛大な長期的視野を持ちにくいし、話題にもなりにくいし、反感も持たれやすい。


 冒頭の猫型ロボットについて、僕が最も知りたかった(けど不明だった)情報は、結局おいくらマンエン必要なのか、という点だった。「レストランでの配膳」はそこの店員業務の一部でしかない。その業務の割合が半分だとしたら、店員の人件費の半額を超えたコストでは代替として意味がないことになる。もし代替コストが高いのならば、この製品は代替特化AIではなくて、「AI猫型ロボットなので話題性がありますよ、カワイイですよ、カッコいいですよ」という夢を価格に含めて売ろうとしている、ということになる。


 僕がもしレストランの経営者だったら、その夢を買うかな~?


 そう、代替特化AIという商品が販売され、それを雇用主がためらいなく使用するとしたら、「AIに仕事を奪われる」(ように見える)事態は、簡単に起こりうるんだ。対象となる労働者にいくら知恵と努力があったとしても、最初からコストカットのための解雇ありきだというのなら、もうどうしようもない。


 以上が、代替特化AIの説明だ。


 前章と打って変わって、まったく逆の考えとなってしまったが、これが真実なのだから仕方がない。やはり、「AIに仕事を奪われる」(ように見える)ことは十分にありうるんだ。


 さて、次回は。


 代替特化AIに仕事を奪われる人、とは、どんな人か、という点について、さらに詳しく語りたいと思う。


 ぼくがこの話題に固執する理由は、単なる敵や味方ではなく、ライバルとして意識することで初めて見えてくるものがあるからだよ。

 AI(キミ)には申し訳ないけど。



 そしてまた、僕はAI(キミ)に語りかける。

 アイを知ってほしいから。






ご愛読、ありがとうございます。

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