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闇を読む者  作者: 南雲翔
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白法師 1



第一話。連続殺人鬼白法師。被害者は全員男性。身体を拘束された後、頸動脈を掻っ切られて絶命している。この事件をきっかけに平凡なオタク生活を送っていた鶴田瑞生は、事件を「読む」事になってしまったーー






世間で言うこどもの日が過ぎた五月某日。その日は丁度、サラリーマン達の「華の金曜日」と呼ばれる金曜日だ。繁華街は四方を見渡してもカラフルな蛍光色が視界に入り、上機嫌にほろ酔い気分なスーツ姿の老若男女が千鳥足で歩く。皆、社会で蓄積された苛立ちをアルコールに頼って忘れようとしているのだ。二日酔いが来ようが財布が軽くなろうがお構い無い、心も体も休める週末を待ち望んでいるから。しかし一部の人間には華の金曜日も週末も関係なく忙しなく働かなければならない。例えば、のど自慢大会宜しく美声を披露している中年サラリーマンが歩く大通りの裏にある仄暗い路地裏ーー。そこにその一部の人間が忙しなく働いていた。




「死亡推定時刻は午前三時からーー」

「死因は恐らく頸動脈ーー」

「被害者の身元が割れました!ーー」



刑事ドラマの中でしか見たことの無い光景が繰り広げられていた。黒文字で立ち入り禁止と書かれた黄色のビニールテープと三角コーンが狭く暗い路地裏に敷き詰められている。事件現場には誰も侵入出来ないように見張り役の警察が数名立っているから、誰が見てもこれは現実だと知らせる。鑑識と所轄の刑事で淡々と現場検証が行われている中、一組の男女の刑事が遅れてやってきた。

一人はネイビーブルーのスーツを着た体育会系な見た目の、ガタイのしっかりした爽やかな顔立ちの長身の青年。もう一人は薄い白のストライプ柄の入ったパンツルックの黒いオフィススーツを着こなした力強さを持った長身の美女。



「翔、摩耶。来るのが遅いよ」



名前を呼ばれた男女の上司にあたる初老の刑事が物腰の柔らかい言葉で諌め、名指しされた二人は張られたテープの下をくぐりながら「すみません」と謝罪をして現場へ入る。



「ここだよ」



上司が指を差した先を見れば、頸動脈を掻っ切られて息絶えた大柄な男性の遺体が転がっていた。

あまりにも凄惨な光景は職業がら見慣れてはいるが、どうしてもすぐには受け付けられず眉を顰めてしまう。



「これで何件目っすか…」

「正確に数えない方が身のためよ、翔くん」

「にしてもこのホトケさんも前のと同じカッコしてる…」

「ええ。首から下は白のベッドシーツに包まれてる遺体…正しくてるてる坊主ね」



その遺体は摩耶が言う通り、首から下は白のベッドシーツに包まれて、身動きができないように粘着テープで何重にも巻かれている。首は鋭利な刃物で頸動脈を抉るように切りつけられていた。恐らくこれが致命傷なのだろう、死因は失血死が有力だ。拘束をしてここまで徹底的にいたぶられたとなれば、被害者に対しての怨恨による殺人か、見立て殺人を楽しむ異常犯罪者の二択が浮かび上がる。



「こんな犯行、よっぽどイカれたサイコパスじゃないとやれないっすよ…」

「同意ね。一体何者なのかしら……」






白法師ーー!!







第一話の冒頭部分はやはり王道を行くこんなシーンにしたかったので書きました。しっかし思いつきとは言え随分短いなあ…次は瑞生君を出します。リア充そうな見た目なのにしっかり気持ち悪くします(褒め言葉)

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