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21/25

21温かい

母達は、何を思って私を育てたのだろう。

全ては、お金。

私は育てるには、足りなかった。

お母さん達は捨てたくて捨てたんじゃない。でも、

今も昔も、一緒に暮らしたいとは思えない。


私は赤子の頃に捨てられたから、家がどんな感じだったかは覚えていない。そして私の家は、貧乏くさい家だった。

とても小さくて、汚れている。不格好な字で、ランサーと書かれた表札は傾いている。

ドアを叩くかどうか迷ったが、突然家から女の人が出てきたので慌てて隠れた。

痩せていて、ふらふらとおぼつかない足取りで歩いている。きっと私の母さんだろう。

買い物に行くのか、袋を持って歩いている。

「やっぱり。」

予感は当たっていた。お金がないから、私を育てることができなかった。

里帰り、何もすることはなかった。 ずっとベンチに座って、 黙っていた。

その時、母さんが歩いて帰ってきた。袋に色々なものが入っている。安物ばかり。

抱きしめられるって、どんな感じなんだろう。ぬくもりってなんだろう。

お母さんって、あったかいのかな。

私は駆け出す。冬なのに寒そうな服を着て、よたよた歩いている女の人に向かって。

「母さん!」

寒そうな服を着ているのに、痩せているのに、母さんはあったかい。

「私ね、私ね、ソフィリア!覚えてる?」

「…生きて…いたの?」

母さんも、抱きしめ返す。

私は事情を説明した。母さんも、じぶんのことをたくさん話してくれた。

父さんは夜遅くまで働いているそうだ。 あまり会っていないようで、母さんは時々寂しい顔をちらつかせる。

長いこと話していた。

「じゃあ私帰るね。」

「帰っちゃうの?」

「うん。」

私を引き止めようとする母さんを止める。

「だよね。今も昔も、家は貧乏だからね。苦しい思いをさせちゃうよね。ごめんね、ごめんね。」

「いいのよ母さん。」

「…愛してるわ。ソフィリア。」

「私も。」

一緒に暮らしたいとは思わなかった。思っても一緒に暮らすことはできない。悲しい運命。

一度会えたのが奇跡だった。

奇跡は2度起こるのだろうか?

奇跡はいいことだけじゃない。悪い事の奇跡もある。

奇跡が起こって欲しいのか欲しくないのか、自分でも分からなかった。

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