19森の外
「マリー様、何してるんですか?」
私は何かを見ているマリー様に声をかける。
「ああ、ソフィリア。本よ。本を読んでいるの。」
「うわあ、何ですかこれ、青い!」
私は驚いて目を見開く。
そこには写真のようなものがあった。その写真は真っ青で、ところどころ白かった。
「これは空。白いのは雲よ。」
「こんなの見たことないですよ~。」
「ええ。この森は暗いからね。」
マリー様が悲しそうに言った。
そこへ、ニスがやってくる。
「二人で何なさってるんですか?」
「本の写真を見ているの。」
私とマリー様はニスを手招きする。
「これ、何ですかね。見たことある気がするけど。」
マリー様はニスに説明する。
「二人とも、これを見てみたくない?」
マリー様が問いかける。
「うーん、行ってみたいけど…私たちここにいないと生きていけないしな~。」
私が言った。
「私はここで暮らすのが生きがいみたいなものなので。まあ、会いたい人ならいますが。」
ニスが言った。
「誰?彼氏?」
「違うって、ソフィリア。」
私たちのやり取りを見てマリー様がほほ笑む。
「ここで働くのがいいなんて、変わってるわね~。こんな森の中で。」
「そんなこと言いながら喜んでるのが丸見えです。」
ニスが言う。
「あら、そう。まあここにいるのが幸せならいちいち行く意味はないわねー。ま、行きたいっていうなら考えないこともないわよ。」
マリー様がいたずらっぽく笑う。
「そしてねー、この他にも外にはいろんなものがあってね…。」
マリー様はまた写真を指す。
森の外のことを学ぶのはなかなか面白かった。




