表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生の結界師  作者: A
第一章
9/21

第八話 四神獣 東

 ディル達が次に向かうのは、“東岩の神獣”ココリリスが住む岩山、ココスである。


「よし、もう着いたぞ」


「やっぱり速くないか?」


 国を跨ぐ程の距離を一瞬で移動するのは、やはり奇妙に思えてしまう。


「ココリリス、いるか?」


 そうアルフェールが呼ぶと、岩山の頂上にあった大きな岩が動き出した。


「む? 誰かと思えばアル坊ではないか。ワシに何か用か?」


 その正体は、巨大な岩を背負っている鶏のような鳥であった。そしてディルは、このことについて思うところがあるようだ。


(アルといい、フォルテシアさんといい、なんで鳥類ばかりなんだ!? この流れで行くとまさか南の神獣も?)


「つい百年前保護した奴に挨拶させに来た」


「ディルです。よろしくお願いします」


「お前、初対面の相手にはその言葉遣いなのか?」


 初対面の人には、無礼がないように敬語を心掛ける癖がまた出てしまっていた。


「ほっほっほっ、それが礼儀と言うものじゃ。アル坊には礼儀が無いからな」


「確かに!」


 今までの生活で、アルフェールがディルに礼儀を払っていることが無いことに気づかされ、思わず同意してしまった。


「……」


 アルフェールは図星を突かれ、黙り込んだ。


「さて、ディルや、ワシのところへ来た理由はなんぞえ?」


 ディルの目的はアルフェール以外の友達を作るためである。しかし、ここで友達になってくださいと言うのは気が引ける。


「えっと…… アルの友達と聞いてどんな感じなのか知りたくて……」


「ほう、ワシのことを知りたいのじゃな? よかろう」


 ココリリスは、自分のことを自慢げに話始めた。


「ワシはこう見えて四神獣最高齢じゃ」


「……」


 ディルにとってそれは予想できたことである。実際、言葉遣いと多いシワ、長い髭のような物ですぐに予想出来るのだ。


「何じゃ? もう知っているみたいな顔しおって」


 勿論、そんなことを知る由もないココリリスは、ディルがただ澄ました顔をしているように見えている。


「むう…… ならば…… ワシは四神獣最高の硬さを持っておる…… これでどうじゃ!」


「……」


 これもまた、岩を纏っている分そうだろうなと予想出来たため反応しなかった。それを見て、ココリリスは悔しそうにした。


「な、何じゃ! これまた知っているという顔しおって! ぐぬぬ…… ワシは生きる図書館と言われてる。知識量はこの世で一番じゃぞ!」


「……」


 年寄りは経験豊富だと相場が決まっているため、これにも反応しなかった。


「ひどい!! 老人、それに女性には優しくするもんじゃぞ!」


「え?? 女性!!??」


 ディルにとってこのことは衝撃的だったので、ついデリカシーも無く驚いてしまった。これを聞いてココリリスは子供のように拗ねた。


「ふん! もういいもん! 見た目が全て物語っているとか、女っぽく見えないとか、そう言われても全然いいんだもん!」


「精神年齢子供か!」


 ディルは初対面にも関わらず、声を荒げてツッコミをしてしまった。


「まあ、ココリリスはこういう奴だ」


 長年付き合っているアルフェールは、ココリリスの性格はよく知っている。苦労してきたようだ。


 すると、ココリリスはディルの持っていた、フォルテシアから貰った証を見ると目の色を変え、落ち着いた。


「むっ、それはフォル嬢の証ではないか。奴に認められるということはそれなりに戦えるのか」


「えっ、いやこれは」


 ディルが違うと否定しようとするとココリリスはそれを遮った。


「ワシと戦え! 力を証明せよ! 手加減は無しじゃぞ」


「いや戦うつもりは……」


 挨拶に来ただけで戦うことなど予想できるはずも無い。それに、神獣相手には勝負にならないので、出来るなら戦いたくないのがディルの本音だ。


「二言は無いぞ! こい!」


 ここでアルフェールが、半ば色々諦めているディルに囁いた。


「……私怨が混ざってるように思えるが……ディル、大丈夫か? 今のお前では手も足も出ないぞ?」


「……当たって砕けろの精神で行ってみる」


「見た目の割になかなか肝が据わっているでないか。面白い」


 ココリリスはにまりと笑っている。


「我は審判をやる」


(正直怖いけど、やるしかないか)


 ディルはココリリスに向かい、構えた。


「始め!」


 この掛け声を合図に、ディルとココリリスの戦いが始まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ