6/6
第六話 どんぐりコロコロ(3)
遠火でじっくり熱を受けた串の切り身は、少し皮側に反り返って、黄金色に変わって、出来上がりを教えてくれる。
待ち遠しいはずのその時間も、先程見た『平成』以外の年号によって、世界観の根本を考えるのに持っていかれた。
「この世界には佐須くん達以外にも人間がいて、新聞を作れるだけの文明がある。 と、いうのだろうか・・・」
「あんさん、焼肉焼いて、炭ばっかりつくるタイプとちゃうか~(怒)。せっかくの獲物が、どんどん焦がれるで~。」もらった半身を起用に細く割いて、温まった栗石の上で軽く乾かし、また不思議な空間収納に収めていく佐須くんが、見かねて注意してくる。
「佐須くん、この新聞(の燃え残り)は、何処の村?町?から持ってきたか分かるかい?僕らが居た日本の新聞じゃあ無いんだけれど・・・?」
かまどを指?指して、「此の事かい? ・・・此処にはにんげんの町なんかないし、私ら一族は火は起こさんから、流人の作ったもんでしょね。たまにありますよ。」
なんか大事なことを、サラッと言われた。どう見てもこのかまど、最近作ったやつだ。人が、近くにいるのか???