馬鹿共の物語
俺こと皆川 剣斗は
今念願のアニメの大型イベント会場に来ていた。
俺の出身は田舎の方で最寄にその手のイベントを
開けるような会場が無かった為、アニメのイベントは愚か
カードゲームの大会や小規模なアニメの展覧会すら
開かれたことのないような場所だった。
そんな中でも俺はアニメの世界にのめりこんでいた。
きっかけは友人から借りたロボット物のアニメで
逆境にぶつかりながらも奮闘する主人公たちの姿をみて
熱い物を感じて気が付いたら他の作品を見始めて
気が付いたら自分の人生にはなくてはならないものに
なっていた。
しかし、最近まで学生をしていた俺は
財力が乏しく交通費だけで財布の中が空洞になってしまう
ような状況だった。今は運よく黒くない県内の一般企業に就職して
財力に余裕ができ、晴れて念願のアニメのイベントに
来ている訳だ。
周りを見ると人、人、人と今まで少人数の中で暮らしてきた
俺からすると普段なら一気に人酔いしてしまいそうな光景だが、
念願のイベントということでアドレナリンが出ているのか
体調はすこぶる良かった。
いよいよ行動に移そうとした所でそれ(・・)は起こった
初めはノイズのような物が聞こえてきた為、
何かしらのイベントの案内放送が始まるのかと
思ったがどんどんノイズがひどくなっていく。
近くにいたスタッフの人が狼狽しているところを
見るとどうやらこれ(・・)は予想外の出来事のようだ。
突然ノイズが止んだと思ったら声が聞こえてきた。
「やあ地球上に住む生物の諸君
いきなりの事で混乱していると思うが君たちの
質問等は一切受け付けないのでそこは理解してね。」
それはどこか興奮をしたような、
例えるなら親に初めて買ってもらったオモチャで
これから存分に遊ぼうとしている子供のような物だった。
「あ、自己紹介がまだだったね。
僕は君達で言うところの神様ってやつだよ。
それでね、この世界とは別の神の友人が自分の世界の
生物が大量に繁殖しまくってしまったって困ってたいうから
その世界の住人が対処できるくらいまで生物を
こちらの世界で受け持つことになったんだよ。」
説明は突拍子もなく到底信じることができないものだった。
しかし、現在周りが突然の出来事にパニックになり
騒いでいる中何の不具合もなく聞き取ることができている。
察するにこれはあなたの脳に直接語りかけています的な
何かであろう。そして、そんな芸当ができるのは
人の輪を超えた者達でしかなしえない事であろう。
「今まで戦闘したことが無い一般人の俺らが、
その生物たちに対抗できるわけがないって考えの
人が多いけど、そこは安心してほしい。
確かにあちらの世界の生物には君達で言うところの
魔力的なもので加工されていない武器は基本的に
効かないようになっているけど、そこは僕が
あちらの世界の神に交渉したから。」
魔力的な加工をされていない、
すなわち銃などの現代兵器が通用しないと
言われ正直絶望を感じたけれど
さすがわこの世界の神と言ってるだけあって
何か対策をしてくれていたようだ。
「さすがにあちらの世界の生物を弱体化は
させることは出来なかったよ、ていうかそれが
出来ればこっちの世界に送る必要ないしね。
というわけで君たち自身を強化することに
なったから。具体的にいうと君たちにスキルという
ものを一人一人に与えることになったよ。
それらをうまく使えば難なくこの事態を打開することが
出来るからね。自分にどんな力が宿ったかどれくらい
成長したかは念じれば出てくるからね。」
俺はすぐに念じて自分の状態を確認した。
皆川 剣斗(20歳)Lv1
スキル
剣創造Lv1…何もないところから剣を作り出す
スキルレベルに応じて剣の質が上がる
投擲Lv1…物を投擲する際に補正がかかる
スキルレベルに応じて補正の精度が上がる
「自分の能力を見てくれたかな、
一応誰でも戦うことができるくらいの能力を
付与したはずだよ。これ以上はこちらから
することは出来ないしするつもりもないから。
じゃあこれから訪れる今まで非現実的だった
現実を思いっきり楽しんでくれたまえ。」
そう一方的に言い切ると声は聞こえなくなっ...
「あ、言い忘れてたけど向こうの世界生物が
来るまでに後五分もないから。
じゃ今度こそばいばーい。」
...今度こそ完全に聞こえなくなった。
そう思った今までで一番のパニックが起こった。
なんせ今いる会場の外を見ると駐車場の真ん中に魔法陣のような物が
出現して今もなお何やら起動している最中のようだ。
すなわちこのすぐそばに今から魔物が出てくるということだ。
それも元々戦い慣れていた異世界の人間でも対処ができなくなるほどの
強敵もしくは量の生物が目と鼻の先に現れようとしているのだ
パニックにならないはずがない。
皆我先にとイベント会場に立てこもるために
建物に入っていく中俺はその場にただただ立っていた。
「あんたそんなとこに突っ立てないで一緒に避難しよう。
国の救助が来るまで会場に立てこもるんだ!」
呆然と突っ立っている俺の事を心配して
指揮ほどのスタッフの人が話しかけてきてくれた。
しかし、俺はその言葉には耳を傾けなかった。
いや傾けられなかった。
決して足がすくんで動けない訳でもましてや恐怖の末
立ったまま気絶している訳ではない。
それどころか心は体は今最高潮に昂っていた。
「こんな状況でも他人である俺の事を心配してくれて
感謝する。しかし、恐らく世界中でここと同じような
ことが起ころうとしている。そんな状況でここに救助が
来ることがあるのだろうか。」
「来る! 来るに決まっている!
自衛隊は警察はこういう非常事態の為にいるんだ!
助けに来ないはずがない!」
スタッフは変な事を言い出す俺を見捨てずに
ギリギリまで会場へと連れて行こうとしている。
本当にお人よしな人だ。
「確かに助けは来ると思う。
けど、こんな食料もまともにない自分の命を守るのだって
困難なこの状況で人がこんなに沢山いて統率がまともに
とれなさそうなここに真っ先にやってくるだろうか?」
「そ、それは...」
そうこう話している内に魔法陣らしき物から
大きな力のようなものが流れ出してきた。
「ッ!! 今はそんな問答している場合じゃない!
逃げるんだ!」
「スタッフさん俺の事はいいから先に逃げてくれ
俺は確かめたいことを確認したらそれ次第で行動する。」
「何を言って...ッ!?」
スタッフさんの言葉を遮るように魔法陣が輝きだした。
一際大きな光を放ち目の前が真っ白になったが
不思議なことにすぐに視界がクリアになった。
そして先程の魔法陣があった場所には
数百は超えていそうな奇妙な姿をした生物がいた。
体長は成人男性の腰ぐらいの高さで肌は緑色
頭には小さいながら角が見られることからあれは...
「ゴ、ゴブリン...!?」
そう今やアニメを見ている者なら一度は
聞いたことがありそうな異世界の有名モンスター
ゴブリン、わずかながら知性を持ちアニメなどでは
集団で行動してあるアニメでは冒険者をことごとく
返り討ちにしたりと決して楽観視できるようなモンスターでは
無いのである。
「しかもなんて数だあんな数がここに押し寄せてきたら
一日だって持つわけがない。」
スタッフの青年は膝から地面に崩れ落ち絶望の
表情を浮かべていた。
「...あんたの言った通りだ。
もしもこんな状況が世界各地で起きているなら
こんな所に助けが来るはずがない。
俺たちはここで終わりなんだ...。」
しかし、そんな悲痛な言葉を聞いても全く
リアクションをしない俺を不思議に思ったのか。
青年は顔をあげた。
俺の顔を見た青年は今度は今までとは違う
困惑しながらも驚きを隠せないそんな表情をしていた。
それはそうだろう。
こんな碌に喧嘩は愚か運動もしていなさそうな
奴らが集まったこの場の絶望的な状況で
それでもなお、ニヤけ笑っている俺の顔を見たら
そんな顔もするだろう。
俺は無造作に手を今だこちらを警戒しているゴブリンども
の方に突き出した。そしてスキルの使用するとその突き出した
掌にどこからともなく片手剣が出現した。
青年はその光景に再度驚愕するが俺はかまわず第二のスキルを
使ってその片手剣を投擲した。
剣はお世辞にも鋭いと言った勢いでは無かったが
結果見事笑っている俺に驚愕し放心して気づくのに遅れた
ゴブリンの脳天に突き刺さりそのまま倒れそして塵になり消えた。
その直後頭の中にファンファーレが聞こえ
さらに先程の神様とは違う謎の声が聞こえてきた。
{レベルが上がりました}
{地球上で初めてモンスターを一撃で討伐されました}
{上記の結果から新しいスキルが付与されます}
俺はすぐさま自分のステータスを確認する。
皆川 剣斗Lv2
スキル
剣創造Lv2
投擲Lv2
new加速Lv2…何かしらの行動を超す際にそれを加速させる
スキルレベルに応じて加速度が上がる
レベルが上がりスキルのレベルも上がっていた。
さらに新しいスキルの加速もレベルが上がっていることから
どうやら自分のレベルと比例してスキルレベルも上がっていくようだ。
確認を終えてゴブリン達に目を向けると
明らかに狼狽していた。
恐らく周りの人間は恐れ逃げ惑っているのに
なぜ俺だけが恐怖せずそれも先制攻撃をしてきたのか。
もう訳が分からないと言った顔をしていた。
それは青年も会場に逃げ込んでこちらの様子を
即席のバリケードの中から窺っていた人たちも同じで
ゴブリンを何気なしに殺した俺の行動に唖然としていた。
気が付けば周りは静かになっていて聞こえるのは
ほんの小さな衣擦れや物が何かにあたる音だった。
そんな沈黙を破ったのは以外にも青年だった。
「あ、あんた何者なんだい。
なんでこんな状況で真っ先に攻勢に出ることが出来るんだ。」
そのどこのアニメ漫画などでよく敵もしくは味方から
言われるようなセリフを聞かれるなんて思わなかったが
俺はそのまま流れで返した。
「俺は通りすがりのオタクだよ。
真っ先に攻勢に出たのだってさっき理由は言ったじゃないか
この先の行動を決めるための確認をするって。」
「た、確かにそうだが...。
ちなみに何をするのか決まったのか?」
「ああ、決まった俺は今からあそこにいる
ゴブリン達を殲滅しに行く。」
割と大きな声で言ってた為ゴブリン達にも
聞こえていたのか警戒を強める気配を感じた。
「ッ!? 無茶だそんなこと!
あれだけの数を一人で相手にすることなんて
出来るわけがない。」
青年はこれまでで一番と言っていいほど叫んだ。
「誰も一人で行くなんて言ってないさ、まあ見てろ。」
俺はそういうとゴブリンから目をそらさずに
後ろで様子を窺っているバリケードの中にいる
人たちに向けて叫んだ。
「バリケードの中にいる人たちに提案する!
俺は今から目の前のゴブリン達に向かって特攻する!
しかし、俺一人では絶対にこいつらを倒しきれない
だから、皆にも手伝ってほしい。」
俺の言葉に大なり小なり反応が受け取れる。
「今見せたように俺たちが持つスキルを使えば
奴らを倒すことができる!
そして本体のレベルが上がればスキルのレベルも
上がっていくようだ!
今この世の中はここと同じような状況だろう。
あなた達はいずれ家族もしくは友・恋人の元へ
行こうとするだろう。
だがそんな時戦う力のない自分が行ったときに
何ができる? 答えは何もだ何も出来ずに今のように
見ている事しかできない!
前を見ろ周りを見ろ今この状況はなんだ! 敵の数はどうだ!
自分達は一体どれだけ人数が集まっている!
先程の頭に語りかけてきた言葉が本当なら神様はこれ以上
何もしてくれないんだぞ!
神様に助けを求めても何もしてくれないんだ!」
俺はそこで一度言葉を切った。
ゴブリンが4体ほど痺れを切らして突撃してきたからだ
俺は両手に剣を出現させてそれを
そいつらに向かって投擲する。
今度は一本は外れて一本は一体に当たったが
倒すまでにはいかなかったが突撃のスピードは落とせた。
俺は剣を投げると同時に加速を使い走りだし
剣が仲間に当たり完全に注意が俺から逸れた残り三体を
追加で出した二本の剣を両手で一本ずつ装備して
今度は剣を振るう速度に加速を乗せてすかさず二体を
切り伏せた。残った無傷のゴブリンは切り伏せられたと
先程まで離れた場所にいた俺がもうすぐ近くにいるのに
驚いて反応が遅れていた。
俺はその隙を見逃さずその一体も袈裟がけに切り捨てた。
最初の投擲で剣が当たって倒れていたゴブリンに近づき
頭に剣を刺してとどめをさした。
{レベルが上がりました}
ファンファーレが再度聞こえてレベルの上昇が確認できた。
先頭が終わりゴブリン達も俺が油断できない
相手だということを理解したのか今度こそ
完全警戒をして迂闊に動こうとしようとしなかった。
俺はこれ幸いと思うと同時に今度こそ一人では
無理だと思い演説を再開する。
「俺は今の戦闘でまた一つレベルが上がったぞ!
スキルは今見たように強力だ!
この力を育てることが出来れば今後必ず役に立つ!
今は目の前のモンスターの多さから絶望しているようだけど
相手からしてもかなりの人数がいる俺達は脅威なんだ!
だから人数が一つに集まっていて比較的安全に倒せる
今が絶好のチャンスなんだ! だから一緒に戦ってくれ!」
俺はそう言い放つ。
しかし、彼らはどよめくだけで動こうとしない。
考えろ考えるんだなぜ俺は真っ先に
命の危険を冒してまで戦おうと思った。
なぜこんな大量の化け物を前にしても怖気づに
いられる。今まで喧嘩だってしてこなかったのに。
俺がこんなに突き動かされているものはなんだ。
感情が高ぶっているのはなぜだ?
...俺は楽しんでいるのか?
ゴブリンが出た時、倒したとき。
それよりもっと前自称神からの声を聞いたときから、
この今の状況を楽しんでいた。
なら周りは?
周りの人たちは今どう思っている?
そんなの見ればわかる怯えて恐怖している。
ならなぜ恐怖している?
相手はゴブリン殺気バリバリで今にも襲いかかってきそうな
奴らにビビるのは当然だ。
そんな奴らに何を言えば奮起する?
何を言えば...
ああ、なんだ簡単じゃないか俺は何を真面目に
説得しようとしてるんだ。
そんな素直な説得でここ(・・)にいる奴らが
奮起するやつなんか少ないに決まっているじゃないか。
なら...
「ああ、分かったもういい。
あんたら、いやテメーらがその気ならもう好きに
やらせてもらう。」
「な、何を?」
その質問は誰が言ったかは分からない。
だけど今は無視だ。
「けどテメーらはオタクの風上にも置けねえ
馬鹿ばかりだな!!」
「...はあ?」
「だってそうだろうよ!
こんな絶好の場面なのに誰ひとりとして
前線に出て戦おうとしないなんて
オタクじゃないだろそんなの!」
「こいつ遂に頭がいかれたのか?」
随分と失礼な事を言うがまさにその通り
こんな状況今までの脳みその思考回路でいるなんて
無理に決まってるだろだって...
「ああそうだ狂ってるよバー〇ーカー状態だよ!
だってなー、今まで行きたいと願っていた
異世界が向こうからやってきてくれて
俺TUEEEEEEする為の下準備に必要な経験値が
目の前に大勢やってきたんだぞ!
これがテンション上がんなくてなんだってンだよ!」
「は?」
「今までアニメや漫画を見てきたお前らはこんな
状況待ち望んで無かったのか?
目の前の敵、怯える人々、そんな中やってくる
主人公。そう、主人公だよ!
ここにいる誰もが主人公にあこがれたはずだ!
だからお前らはここにいる!
だから俺はここに立っている!
このアニメイベントの会場に!」
「...」
「それがいざその時が来たならば揃いも揃って
バリケードの中に隠れて身を潜めやがって、
お前らは所詮ネットの中でしか粋がることの
出来ない口先だけ野郎か!
そんな奴に限って普段俺TUEEEEE主人公を
悪く言ったりしてるんだろうよ。」
「.....テメェ、おちょくるのも大概にしろよ。」
きた!
「はあ? おちょくるも何も事実だろ?
現に今言ったテメェもバリケードの中にいるじゃねえか?」
「ザケンな! こちとら今準備をしていただけだ!
ああいいぜ今からそっちに行ってやる!
それでテメェが倒す余裕を与えないくらい俺が
そこにいるゴブリン共を根絶やしにしてやる!」
一人の馬鹿がバリケードの中から
飛び出してきた。ちらりと見ると手には槍を持っていた。
きっと俺と同じようなスキルなのだろう。
そして一人に火が付くとその火は周囲にも伝染していく。
「ああ!? フザケンナ!
それは俺のセリフだ! 散々言ってくれやがって
俺は今自分のスキルを確認していただけなんだよ!
それを横からごちゃごちゃと今から目にもの見せて
お前なんて目じゃねぇってとこ思い知らせてやる!!」
「そうだ第一こんなおいしい状況なんだ。
お前に言われなくても動いていたんだよ。
こっちはどうやって他を出し抜こうかと
考えていたとこだったのに無駄になったじゃねえか!
俺の考えていた数分間を返しやがれ!」
などなど中にいた馬鹿共が次から次へとやってきた。
皆それぞれの武装をしていて、
ある物は鉄パイプを握っているがその鉄パイプには
不思議な模様が付いていて一目見ただけでヤバいと
思われるもので、あるものは自身の体に黒い炎の
ような物を纏わせていた。
そして約百人の馬鹿どもが出そろった。
全員が明らかに俺の事を睨みつけているが
俺を攻撃しては来ない、まるで俺が何かいうのを
待っているかの様だった。
まあ、おそらく舐めた口きいた事への謝罪の言葉だろうけど
俺はあえてそれを口にしない。
「ハッ! ここまで言われないと行動に移せないやつらの
くせに中々強そうなスキル持ってんじゃねえか?」
「うるせえ! この餓鬼覚えてろよ!
あとでぜってえこの俺が説教してやる!」
「ハッ! その餓鬼に発破掛けられて
のこのこ出てきたのは誰でしょうかね~?」
「ああ? テメェごちゃごちゃ言わず
さっさと行動しやがれ!
こっちは口車に乗って行動してやろうって
言ってるんだならそれ相応の労いの言葉の
一つや二つ言いやがれ!」
俺は一度ゴブリンから目を離す。
今は周りにこれだけの人がいるので不意打ちは
そのほかの警戒をする必要が無い。
それに今から労いの言葉を言うんだ
その相手に向き合わなくてどうする。
「労いの言葉なんてねえよ!
テメェらがオタクの風上にも置けない行動を
していたからただ思ったことを言ってた
だけだ! だから最後に聞かせてもらう
ここまで来てビビられても困るからな!」
そこで一度大きく空気を吸い込み...
「テメェらはなんだーーーーー!!!!!」
「「「「俺らはオタクだーーーーーー!!!!」」」」
「オタクとはなんだーーーーーー!!!」
「「「「どんな事にも恐れない訓練されたばかだーーーー!!」」」」
「では目の前のあいつらはなんだーーーー!!!」
「「「「美少女(美女)に仇なす我らオタクの
永遠の敵だーーーーーーー!!!!」」」」
「ならばどうする!!!!」
「「「「その存在を持って我らの俺TUEEEEEの為
礎になってもらううううううう!!!」」」」
そこでゴブリンに再度向き直る
いよいよというとこで青年が声を掛けてきた
「行くのかい?」
「ああ、行かせてもらう。
俺は初めからそのつもりだし誰であろうと
俺の邪魔はさせない。
それが俺であっても。」
「なんだ気づいていたのかい?」
確信を持ったのはさっきだ。
目の前で座り込んでいる人がいるのに
バリケードから出てくる奴らは誰も気に留めようと
していない、まるでそこには誰もいないかのように。
すると青年の姿が見覚えのあるものに
変わっていくそれは毎朝鏡で見ていて誰よりも
見慣れている....俺の姿に。
「何の目的かは知らないがそんな
言葉で今更止められるわけねえだろ。」
「うーん、実際そんな優しい物じゃないんだけど
本来はもっと心に不安感を植え付けるものなんだけど
君には一切効かないし。」
「当たり前だろ何度も言うがこんな状況で
ビビッてる方が時間の無駄でもったいないだろう?」
「はは、君は本当におかしな人だねえ?」
「憧れに手が届く場所に来たんだ、
一分一秒も無駄にしたくねぇ。」
「ふふ、そうだねじゃあさっさと終わらせようか。」
「ああ。」
そういうと俺の姿をした何かは俺に吸い込まれていった。
そして再度謎の声が聞こえてきた。
{神の試練を突破しました
これにより特殊スキルが贈呈されます}
{特殊スキル、英雄を手に入れました}
英雄Lv3…身体能力・成長速度が大幅に上がる
スキルレベルに応じて上昇値が上がる
はは、さすがは神の試練とやらを突破した
ご褒美スキルまだ確認してないが体の奥底から
感じるこの力の感覚、間違いなくチートスキルだわ。
さっそく英雄のスキルを使う
すると体が光り気が付くと鎧をまとっていた。
鎧と言ってもフルプレートでなく
急所を隠すような機動性を重視したものである。
周りはまだそんなの隠してやがったかと
呆れたような表情をしていたが
俺の鎧の着装が戦闘開始の寸前だと察し構えを取る
ゴブリン共も戦闘態勢を取る
そして...
「行くぞ馬鹿ども!!
俺たちが今日から主人公だ!!!!」
「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」
これは今まで人生を楽しみ切れていなかった
馬鹿共が変わってしまった世界で
誰よりも努力しいつしか馬鹿という
言葉を英雄と変えてしまうそんなお話である。