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いなりの背中を流すだけ

「お、やっとじゃなあ。待ちくたびれぞ」


 シャワーチェアに腰掛けながら、シャワーを浴びて髪を濡らすいなりが、風呂場に入った俺に気付いてニヤリと笑った。


 だが、俺はニヤリと笑う余裕もなく、ぎこちない表情で扉を閉める。


 視線は濡れた髪とバスタオルが身体に張り付き、ボディラインをくっきりと強調させているいなりに釘付けだ。


「……尋、ちょっと視線が。その、流石に妾も恥ずかしい」


「あ、す、すまん!」


「いや、いいんじゃよ? ……その、はしたないかもしれないけど、尋にそういう邪な目で見てもらえるのはやぶさかではないからのう」


「なんか改めて言われるとめっちゃ恥ずかしいんだけど。そんなに邪な目で見てるかな?」


「うむ。限りなく雄の目じゃな」


 限りなくドエロい変態チックな目線とは言わず、限りなく雄の目といってソフトに表現してくれるいなり。


 まあ、見たら雄にもなる。それ程までに魅力的なんだから。


 恥ずかしさを通り越して開き直りつつある自分の心情。


 どうせバレてるならちゃんと見てやれとばかりにジロジロと見る。


 湯気の立つ浴室内のせいだろう。ぼやけた視界がより色っぽさを演出してる気がする。


 シャワーの雨がいなりに降り注ぎ、水滴がいなりの身体を伝っていく様子をしげしげと眺めた。


「尋、見すぎじゃ! 確かに誘ったのは妾じゃけど、ここまでは予想してなかったのじゃ」


「ちなみに、どんな予想してたんだ?」


「その、尋が恥ずかしがる姿って可愛いと思うからいっぱい恥ずかしがらせようと思ってたのじゃ。ただ照れるかなと思ってただけなのに。今は妾が恥ずかしい……」


「いなり大好き星人を甘く見た結果だな」


「偉そうに言うことじゃないのじゃ。嬉しいけども! 全く、このままじゃと風呂に入る前にのぼせるから背中を流すのじゃ。あ、尻尾も頼むぞ」


 いなりはシャワーチェアごとくるりと背を向けバスタオルを外すと、ポンと尻尾を出した。


 いなりのうなじから肩甲骨、腰、お尻の上の尻尾と視線を落としていく。


 洗っていいんだよね? お金取られないよね?


 頭の思考が謎の不安に駆られつつ、タオルにボディソープをつけて泡立たせていく。


 ふわふわの泡が出来るように揉み込んで揉み込んで、マシュマロホイップと呼ばれるフワッフワの泡を作ると、いなりの背中にそっとタオルを当てた。


「んっ」


 なんだその声は。


 タオルを当てた瞬間、いなりが何かを堪えるような色っぽい声を漏らしてその瞬間に固まる。


 訴えられないよな? と、更に不安を加速させつつも、ゆっくり優しく、小鳥を撫でるかのように背中に泡を伸ばしていく。


「あっ……気持ち……いい……」


 背中を洗ってるだけなんですけど。


 いなりにとっては背中を現れるのが気持ち良いみたいで、すごく小声で呟き身体をピクリと震わせる。


 その一挙一動が本当に心臓に悪い。


 それからも泡をのばす度にいなりの声が漏れて身体を震わせ、その度に俺の心臓が大きく鳴る。


「んんんっ……ふっ……うっ……」


 尻尾に触れた瞬間、いなりは今までで一番震えて悶えるように息を荒くした。


 なんなのさっきから。心臓に悪いし、なんかエロいんですけど。


 艶めかしく響く吐息まじりのいなりの声に、俺の理性は戦い続けていく。


 心頭滅却。火もまた涼しくなる。大丈夫。俺なら落ち着けば大丈夫。


 理性が崩壊しそうになる中、ぐっと堪えていなりの背中から尻尾まで満遍なく洗いあげていく。


 終わる頃には、仕事の後よりぐったりした俺と、走ったのかなと言いたくなるくらい息を荒くしたいなりがそこにはいた。



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