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いなりさんちょっぴりこわれる

尋分ジャンキーは、尋分不足するとこうなります。

 電気屋の袋をぶら下げて意気揚々と帰宅。


 購入したのはシムフリーのスマホと格安シムの二つ。


 これでいなりと会話できるぜ、ルンタッター。


 ご機嫌すぎて自分作詞作曲の鼻歌なんて歌いながら、扉の鍵を開ける。


 喜んでくれるかな? 喜んでくれるといいなあ。


 いなりの笑顔を思い浮かべて、思わず笑みをこぼしながら、鍵の空いた扉を開いた。


 その瞬間の事だ。


「おっそいのじゃー!」


「ふぐぅ!?」


 まるで、ラグビーのタックルのような素早い動作で、俺の腹のあたりにいなりが飛びついてきた。


 完全に気を抜いていた為、緩み切っていた土手っ腹にいなりの頭がめり込んでいく。


 やばい、昼に食べたコロッケが出ちまう。


 痛みに悶絶しつつ、今俺が倒れこむといなりも倒れてしまう為、頑張って堪える。


「尋尋尋ー! すーはーすーはーすーはークンカクンカ、尋分補給じゃ!」


 いなりは、手を俺の腰に回してガッチリホールドすると、自分の顔を俺のお腹のあたりに擦り付けた。


 そして、なかなかにクレイジーな発言をしながら荒い息を繰り返していた。


 そのあまりにもなクレイジーっぷりに、尋分って危ないものなのかといささか不安になる。


 俺もいなり分不足だと思ってたし、仕事終わったらいなりに会えるとウキウキしてたがこれほどまでとは。


 まだまだいなりの愛には勝てない。


「た、ただいまー」


「おかえり! ああ、幸せじゃ……」


 いなりは、俺の挨拶に返事をしながらうっとりとした声を漏らした。


 その顔は恍惚としており、だらしなく口が開いてヨダレがちょっぴり溢れていた。


「遅くなってごめんな」


「そうじゃ! 尋がいつ帰ってくるかわからないからずーっと待っておったのじゃ! 寂しかったのじゃ!」


「すまないな。でも、良いお土産を買ってきたんだ。それで許してくれるか?」


「それはどうかのう? 内容次第じゃな。まあ、お土産には期待するとして、ご飯出来てるのじゃ。 一緒に食べよう」


 機嫌を損ねていたいなりに謝罪をして、お詫びに買ってきた袋を見せる。


 いなりは、意地悪な笑みを浮かべて俺の謝罪を一旦保留にした。


 でも、そんなに怒ってはいないのだろう。


 一緒に、ってとこを強調していなりは意地悪な笑顔からニッコリ笑顔に変わった。


 こんなにも尽くしてくれるいなりに喜んでもらえるといいな。


 そう思いながらダイニングの方へ向かった。


 ダイニングテーブルの上には、所狭しと並んだ料理の山。


 今日は唐揚げメインの食卓で、お腹がくうと鳴った。


 今すぐにでもかぶりつきたいくらいだ。


 手を洗う時間すら惜しい。そんな事を思いながら少し駆け足で手を洗う。


 もう待ちきれない。


 部屋にリュックを持って行く事なく、椅子の足元に置いて席に着いた。


「じゃあ、尋仕事お疲れ様なのじゃ。頑張って作ったから召し上がれ。いただきます」


「いただきまーす」


 いなりの合図とともに、俺といなりは手を合わせて食べ始める。


 いなりの唐揚げは言うまでもなく美味しくて、一緒に食べるからか幸せを感じていた。


 今、いなり分補給が出来てる。なんて考えながら二個目の唐揚げを口にした。



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