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家族の木  作者: 恋音
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THE FIRST STORY 真一と梨花 < 父の親戚>

いきなり見せられたアルバムには父に抱かれた僕の写真があった。何が何だかわからないけれども、この家の人は僕の存在を喜んでいるようだ。


「似すぎなんよ。鼻の形。耳の形。首の太いとこ、皆、聡と同じやもんね。梨花とも顔の形にてるしね。あなた、副鼻腔炎あるでしょ?うちは皆副鼻腔炎なんよ。ほんで、口呼吸するから、唇凄く乾くでしょ。遺伝なんよ。」 ママは占い師のように僕の体質を言い当てた。


「まあまあ急にいろんなこと言うてもわからへんわね。とにかく、いっぱい飲みなはれ。」固辞する気力もなかった。少し酔いが回って気分が落ち着いたところで、この家の由来や父との関係をきいた。


この家の本家は東京だった。本家の長男が僕の父で次男がママのお父さんだった。次男であるママのお父さんが大阪で不動産業を立ち上げて今のこの家の家業になっている。東京の本家は旧家で代々土地持ちだった。父はその家の長男だった。


東大の理学部を出て、ある島の自然環境の研究に私財をつぎ込んだそうだ。そのせいで東京の本家は逼塞してしまった。しかも、父は研究者でありながら常に愛人がいたらしい。その最後の愛人が僕の母だったというわけだ。年若い愛人の間にできた幼い息子を残して僕の父は逝ってしまった。


本家には娘が一人いたが、今はイギリス住まいだそうだ。僕に姉がいることは母から聞かされて知っていた。その姉は夫が不動産業で成功していて、日本に帰る予定はないらしい。


「せやから、結局、田原の本家は途絶えた状態になってるのよ。貴方のお父さんにしてみたら、幼い一人息子、ホントに気がかりやったと思うのんよ。お母さん、ずいぶん若かったらしいしね。」


「祖父母に育てられました。母親は水商売でしたから。」「そうお、おじいちゃんとおばあちゃん可愛がってくれはったんやね。」母のことは聞かれなかった。ひょっとしたら知っているんだろうか?さすがに、少し嫌な気分がした。


「寂しいことやったねえ。おじいちゃんとおばあちゃんは?」祖父は僕が高校生の時に、祖母は僕が警察官になったその年に亡くなっていた。

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