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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十二章「今、刃を携えて」
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第69話「荒々しくはっきりとな」  

 僕は自分の口から出た言葉をまるで他人事のように聞いていた。

 なぜ、こんな言葉が出てきたのか、一瞬分からなかったからである。

 しかし、すぐに思い出していた。

 意識が鮮明になる直前、脳内の記憶が形成したベリーの発した言葉の数々を。

 「君は人権を体現したいんだろう?」

 「君はイカれているな」

「君の心はしなることはあっても決して折れることはない」

「エイタ、君のやり方で遠慮なくやってみればいい」

「荒々しくはっきりとな」

 聞いた覚えのある言葉もあればない言葉もあった。

 しかし、最後の言葉が妙にしっくりきた。

 パズルの最後のピースがはまった。そんな感覚があった。

 そして、僕は自分の発した言葉の意味を理解した。

 僕の目の前にはデバイスによって形成された絵が浮かんでいた。

 僕の正面で直立不動の木材谷マサオミに向かって。

 その絵には泣いている子供が一人、その周りには泣いている子をそれぞれ違った表情で見る子供が3人いた。その他に遠まきに何か話している子供が2人いた。

「さあ、答えろ。人工知能MASAOMI」

僕は大声で回答を迫った。

「……」

 彼は答えない。

 そして、手にしていた鉄槌が滑り落ち、地面との衝突で金属音を奏でた。

 間違いない。彼は動けなくなっている。

 そして、言葉を絞り出した。

「田中エイタ、貴様は何者だ?」

「人間だ。さあ、質問に答えろ」

 そして、人工知能は語りだした。

「これは制裁の絵。泣いている子供は自らのリソースを属するコミュニティに供給できない者。社会が作り出したシステムにただ乗りしているために制裁を受けている」

 腸の煮えくり返る回答。

「不正解だ」

「人工知能MASAOMI」に雷が落ちた。

「…っ!」

 声にならない呻きが漏れた。

「さあ、最後のチャンスだ。これを見ろ」

 木材谷マサオミの前に新たな絵が現れた。

表れた新たな絵とは?

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