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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十二章「今、刃を携えて」
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第68話「さて、この絵は何をしているところですか?想像してお話を書きましょう」  

今、瞼の裏に映し出されているのは他愛もない日常風景のようなもの。

 いや、また、嫌な記憶に切り替わり始めた。

 失恋記憶。

 体験していないはずの交通事故の記憶。

 怪我をした記憶。

 嫌な記憶のオンパレードだ。

 僅かでも意識を「今」へ向けることを止めるとすぐにこうなるらしい。

 制御は簡単ではない。

 再び「今」、つまりはその代表である「呼吸」に注意を向ける。

 しかし、雑念というやつはなかなかにしつこい。

 どうしても今必要のない情報が勝手に引き出されてくる。

 邪魔だ!

 脳内で罵っても意味はない。

 やるべきことは変わらない。

 すなわち「今」に注意を向けること。

 「過去」でもなく「未来」でもなく。

 僕はゆっくりと呼吸した。

 いや、ただの呼吸だ。

 それに意識をむけるだけだ。

 いつもと変わらない呼吸だ。

 勝手に浅くなったり、深くなったりしていないだけの呼吸だ。

 やっと呼吸に集中できた気がした。

 だんだんと映像が変わっていく。

 そして、あるものを鮮明に映し出し始めた。

 これは確かに見たことがある。

 いや、やったことがある。

 あまりうまくはいかなかったが。

 あの記憶が今現れ、そして、現実と重なり合う。

 僕は目を開けた。

 まだ立っていた。

 鉄槌はまだ脳天にあった。

 あれから時間は経っていないらしい。

 痛くなく、意識ははっきりしている。

 精神が肉体を超越したのだ。

 そして、意味不明な言葉が僕の口をついて出た。

「さて、この絵は何をしているところですか?想像してお話を書きましょう」

エイタの意味不明な言葉は何を示しているのか?

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