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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十二章「今、刃を携えて」
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第67話「これはデフォルトモード・ネットワークというものだ」

意識が遠のき始める。

 僕はそれを必死で堪えようとした。

 意識を失ったら負けだ。

 いくら痛みに勝っても戦えなくなる。

 だが脳はもはや目の前の事象を認識していない。

 瞼の裏に映るのは何の脈絡もない訳の分からない記憶のみ。

 いや、この感覚は夢に近い。

 嫌な記憶ばかりが流れてくる。

 子供が騒がしく、どうしても成立しない授業の夢。

 高いところから落ちる錯覚。

 巨大なビルが自分に向かって倒れてくる映像。

 体は恐怖で脱力している。

 もう僕は死ぬ。

 絶対に折れないはずの心が折れかかる。

 記憶を、夢を制御できない。

 だが、これは脳の活動。

 記憶と記憶をつなぎ合わせる活動。

 僕は思い出した!

 これはデフォルトモード・ネットワークというものだ。

 脳のアイドリング状態。

 ネガティブな記憶ばかりが連鎖する暴走状態になることがあると聞いたことがある。

 制御は可能だ。

 マインドフルネスの状態になれば。

 そうだ。

 意識を今へ向けるのだ。

 僕はできるはずだ。

 僕は意識的に呼吸する。

 「今」に意識を向けるためだ。

「過去」じゃない。「今」だ。

 深くゆっくり呼吸する。

 そして、瞼の裏に無尽蔵に映し出されていた記憶がだんだん穏やかなものに変わっていった。

エイタはデフォルトモード・ネットワークを制御できるのか?

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