表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十一章「L・G・A」
57/73

第55話「貴様にお父さん呼ばわりされる謂れはないわ!」  

もう仲間になったと決めつけられているようである。。

 彼に高い知性を感じていた僕は加藤がホームレスであることに違和感を覚えていた。そして、どこかで納得もしていた。今や大卒でも容易にホームレスになってしまう時代だ。

 加藤の言うように、僕には戦闘経験ならある。

 しかし、PERデバイスとベリーの存在あってのこと。

 今の僕に何ができるというのか?

 だが、敵は待ってはくれない。

「隠れろ!奴らが来たら三人で袋叩きだ」

 この狭い通路なら、それは有効かもしれないと僕は考えた。

 僕たちは廊下に置かれた粗末な本棚などの物陰に隠れた。

 相手が戦闘経験の浅い体育以外の教諭兵で、デバイサーでなければ。

 さすまたを持った教諭兵が通路を突進してきた。

 まだ僕と同じくらいの若い奴だ。

「今だ!」

 加藤が木刀を振り下ろす。木刀は肩口にヒットした。

 呻き声を上げてさすまたを握る手の力が緩まる。

 そこに井下さんの木刀が振り下ろされた。

 だが、正面から向かって行ってしまったため、さすまたで防がれてしまう。

 更に僕はこの機に木刀を脳天に向かって振り下ろした。

 木刀は頭部の中心を捉え、鈍い手ごたえが伝わってきた。

 敵はその場に昏倒した。

「冷静だな。やるじゃねえか」

 加藤の賞賛の声。

 僕は実は一番前にいたが、攻撃したのは最後。お陰で敵の後ろに回り込むことができたのだ。

 まだ安心はできない。敵を一人減らしただけである。

 しかも、この手が次も通用するかは分からない。

「き、来た!」

 井下さんが悲鳴のような声を上げた。巨体の割に気の小さい男である。

 だが、物理攻撃なら彼が一番威力が高いだろう。

今度の敵は彼の一刀の元に叩き伏せられた。

 更にやってくる敵。

 今度は様子がおかしい。

 気配はするが、こちらまで踏み込んで来ない。

 まさか!?

 そのまさかだった。

 現れたのは衝撃波。と言っても飛行場で発生するような大規模のものではないが。

 木製の本棚が破壊されていく。

 デバイサーが敵の中にいる。

 こちらはPERデバイスを使えない。

どうにか隙を作り、三人がかりで武器攻撃によって袋叩きにするしかない。

 衝撃波がよく見えない。ゴールドベリーを持っていた時はエネルギーの動きを僅かながら視ることができていたのだが、丸腰同然の今では衝撃波が起こした事象からコースを予測していくことにした。

 だが、それは甘い考えだとすぐに思い知らされた。

「ぐぁはぁ!」

 衝撃波を腹に受けて井下さんが倒れたのだ。

 加藤はどうにか衝撃波を交わして攻撃の機会を窺っていた。

 僕も少しずつ前進をしていた。そして、その顔を見てしまった。

「お父さん!」

 思わずそう叫んだ僕に、

「貴様にお父さん呼ばわりされる謂れはないわ!」

 即座に一括してきたその人物は元彼女の父、つまりは、東京都教育庁粛清課の課長である小野澤キヨシであった。

敵将である元彼女の父現る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ