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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十章「河越城決戦」
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第52話「バラバラになったQWERTYキーボードの残骸が落下するのがスローモーションの映像となって僕の脳内を巡った」  

後方で全体の戦況を見守っていた河上先輩が姿を現した。

 予想していなかった単語が飛び出したことに僕は眉をひそめた。

 だが、これで、戦況は完全に不利になった。自軍を上回る兵力に挟撃されるのだ。ひとたまりもないだろう。

 しかし、そういった危険がないように河上先輩や山中先生が根回しをしているはずではなかったのか?或いは想定外の何かが起きたのか?僕には分からなかった。

 トモエが向かってくる。

 とんでもなく速い。

 今まで力を隠していたのか?

 閃光のような斬撃を浴びせてくる。

 対応できない。

 耳障りな金属音が目の前で鳴り響く。

 僕の前に立っていたのはベリー。

 彼が彼女の斬撃をナイフで受け止めたのだ。

「エイタ。リュウジの言う通りだ。撤退だ。ここは私がやる」

 言いながらもベリーの胸の流血は止まらない。このままでは出血多量で死んでしまうだろう。

 そして、その瞬間はすぐにやってきた。

 ベリーが倒れ、今度は後方からの悲鳴。

「うぐぁっ!」

 振り向くのが怖かったが確認しないわけにはいかない。

 河上先輩を切り倒したのはトモエだ。

 信じたくないが河上先輩も死んでしまうかもしれない。

 血を流して倒れている河上先輩を見て、視界がぼやけ、全身が脱力した。

 そこへ木材谷の鉄槌が振り下ろされた。

 ガードが僅かに間に合わず、衝撃で後方へ飛ばされる。

 同時に僕が手にしていた端末が宙を舞っていた。

 そこへ再び振り下ろされる鉄槌。

 ゴールドベリー端末は大破していた。

バラバラになったQWERTYキーボードの残骸が落下するのがスローモーションの映像となって僕の脳内を巡った。

 ベリーが倒されたこととゴールドベリー端末の破壊は、最強の暗殺者ベリーの完全な死を意味している。

 立て続けに起こった仲間二人の死を僕は受け止めきれなかった。

 折れない心を手に入れても悲しみの感情は僕にまだ残っていた。

 それでも…。

 急に発生した地面の尋常ではない揺れに僕の意識が鮮明さを取り戻した。

 河越城までもがはっきりと揺れていることが目視できる。

 震度は七を超えているのではないか?僕は直観した。

 僕が意識を失う直前に見た物は振り下ろされる鉄槌と崩壊したゴールドベリー端末。そして、崩落した地面から遠ざかっていく青過ぎる空だった。


大破した最強の武器ゴールドベリー。エイタ。そして仲間達の命運は?

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