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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十章「河越城決戦」
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第49話「僕には見えていた。具現化されたその力の実体が」  

あれを使うには「溜め」が要る。

 が、次の瞬間に僕が目にしたのは右膝を地面についたベリーであった。

 ベリーの右足のスーツが破れ、大量の出血が見えた。

 ベリーに傷を負わせた!?

 その事実そのものの衝撃がまず、僕を襲った。

 ベリーが傷を負ったのを見たのは初めてだ。

 彼に手傷を負わせるほどの実力。

「ベリー!」

 咄嗟に呼びかける。

 よく見るとベリーのスラックスの右下部分が約五センチメートルほどが粗く切れ、右足から出血している。かなりの量だ。

 そして、危機感がやってきた。

 ベリーが殺られる。

 そう思った僕は何の考えもなく前進していた。

 できることなどないのかもしれないが、反射的にそう動いていた。

 そして、思いとどまった。

 その理由は何となくベリーがダメージをあまり受けていないように見えたからだ。

 僕はある準備に入った。

 そして動向を見守った。

ベリーがダメージにより動きが鈍ったと判断したのか、木材谷が一気に間合いを詰めてきた。

僕には見えていた。具現化されたその力の実体が。

 その刃は鋸だ。

 木材などを切るには有効だが、人を切れば不規則な治りにくいをつけることだろう。絶対に受けたくない刃だ。

 しかし、その刃がベリーに届くより先にベリーのナイフが木材谷の左足にヒットしていた。 

 深い。クリティカルヒットだ。

 如何に不死身でも腱が切れれば一時的には動けないはず。

 もう準備はできている。

 僕は直観した。ベリーの視線が「エイタ、やれ」と語っている。

 まともにバランスを崩した木材谷に向けて僕は放った。

「ブラスト・スルー」

 光の槍は木材谷の心臓を貫いた。

「やった!」

 声が思わず出た。

 だが、これだけでは喜べない。

 これで一度殺せただけだ。

 僕が殺せたのはこれが初めてであるが、ベリーは何度となく殺し、そして再び生きて現れた。

 光の槍が消える前に手ごたえが消えた。

 木材谷の体が無数の光る粒子になり、霧散した。

 僕はこれを何度となく目にしていた。

 彼ではなく、ベリーで。

 そして、悟った。木材谷が何度殺しても目の前に現れた理由を。 

不死身の理由を悟ったエイタ。戦略は?

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