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人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第十章「河越城決戦」
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第47話「だが、降りかかる火の粉は振り払わなければならない」

 ベリーはプロ意識の塊のような奴である。

「分かったよ」

 僕は言った。

そして、入り口に向かって走り出す。

 そのまま、問答無用で刃を放つ。

 ある種の人間にとっては単純すぎる攻撃。

 それはあっさりと光の障壁によって防がれた。

 もう確定だ。

「エイタ。君は『分かった』と言った」

 ベリーの抗議。

「分かったさ。ベリーがプロとして仕事をきっちりこなそうとしていることは」

 そして、僕は続けた。

「でも、僕には僕の意志がある」

 やはり、ベリーの表情は読み取れなかった。しかし、僅かながら口元が緩んだようにも見えた。

「君はウエスギを消し、タニオカを退けるのにも一役買っている。戦力に数えるのは当然のことだな。承知した」

 空間を埋め尽くす殺気に僕は戦慄した。

 殺気の主はあの男。

「相談は済んだか?」

 攻撃はその台詞よりもむしろ先に来た。

 いや、速過ぎてそう錯覚しただけだ。

 何かの物理攻撃が僕の腹に突き刺さったのだ。

 正確には腹のオーラにだが。

 だが、衝撃は伝わり、痛みも感じた。

 これは僕の『ディライヴ』を上回る攻撃力だ。

それとほぼ同時にベリーのオーラを纏ったナイフの柄が彼の後頭部にヒットしていた。

 そこでやっと僕を攻撃してきた武器が鉄槌だと知る。

 木材谷はのけぞったりしなかった。しかし、動きが止まる。ダメージはゼロではない。

 僕はその隙を見て距離を取った。

 ベリーは僕の傍らで隙の無い構えをとっている。

 そして、僕は思い出していた。この男はベリーが度々暗殺していたはずである。

 暗殺は成功しており、死亡確認まで行ったにも関わらず、次の日には涼しい顔で職場に現れていた。

「エイタ。奴は殺してもまた、復活するかもしれない」

 僕の思考を呼んだようにベリーが横で囁く。

「だが、降りかかる火の粉は振り払わなければならない」

 僕は言った。

「その通りだ。とにかく、全力で奴を殺る」


決戦の時

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