表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人権ドゥラメンテ  作者: タナカ瑛太
第二章「端末の中の暗殺者」
10/73

第09話「僕がこの世界に風穴を開けてやる」

 自分はなぜこんなにも何もできないのであろうか?

 そんなに無力なのだろうか?

 なぜ、ことごとく何も通用しないのか?

 分からない。

 分からない。

 勉強ならば結果を出すことができていた。点数が取れた。人並み以上だった。いや上位五パーセント以内だっただろう。

 この先、何をしてもうまくいくことはないのだろうか?

悔しい。無力感で満たされ、抜け殻のようになった体は風が吹いただけで飛んで行きそうだった。

 今回はなす術もなかった。

 弱者が虐げられても何もできない。

 誰も助けない。

 おかしいとも言えない。

 おかしいと言えない雰囲気が巧妙に作られているのだ。

 まるで虐げられている人が悪いことをしているみたいだ。

 正義の名の下に行われるから容赦はない。

 歯止めは効かない。

 僕は考える。

 弱者は虐げられるしかないのか?

 人権が発明されても、ルールを強者の側が決めることは変わりはない。

 人権が発明されたが、それを堂々と主張できない立場の人間が存在する。

 主張することを巧妙に妨げている人間が存在する。

「空気を読め」などと言って。

「空気を読める」とはそれを言う人間にとって都合の良い褒め言葉だ。

 強者の利益のために。

 悪は正義のふりをするのだ。

 それが世界というものなのか?

「だったら」

 戦うしかない。勝つしかない。

 いつだって人類はそうしてきた。戦えば血が流れる。代償を払わない者に何かを変える力などないのだ。そう考え、僕は、虚空を睨みつけた。

 国道を走り、流れる景色を見ながら考えた。この世界の建前では弱者に優しくとなっているが、何もかもがそうなっているわけではない。人類は自由獲得のために長年戦ってきた。それは弱者達の団結による革命の繰り返しであったと僕は思っている。人類が弱者達に優しくする理由は社会の安定にある。大雑把に言えば優しくしないとうるさいからだ。逆にうるさくなければ優しくしない。する必要もないのだ。その証拠に声を上げられない弱者達は虐げられたままである。だったら、

「僕がこの世界に風穴を開けてやる」

エイタの決意。怒り。それらはどう具現化されるか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ