第三話 崖から突き落とされてからがテンプレです ①
朝食堂の前にメイド長はいてニッコリ笑う。
私は既に水くみを終えている。
「今日は洞窟に薬草を取りに行って貰います」
「薬草ですか?」
「そう。姫巫女様の髪を洗うために特別な薬草を使うのよ」
私達は二人乗りの馬車に乗って城の外に出た。
バギーと呼ばれる小型の馬車だ。
二時間ばかり行った所に洞窟があり。
メイド長はランタンを出すと明かりを点けさっさと中に入っていった。
私は慌てて後を追う。
中は暗く。遠くで水音がする。
しばらく歩くと崖下に地下水が流れている場所があった。
地下水の周りに紫色の花が咲いていた。
「ここは王族と僅かな者しか知らない場所なの。紫の花は薬草でもあってね。上級ポーションを作るのに使うのよ」
「凄い!! この花綺麗!!」
私はほのかに光を放つ紫の花に見とれた。
その花畑は幻想的で美しい。
「さあ。花を摘んで頂戴」
私は渡されたハサミで切ると籠の中に入れた。
こう言う薬草は余り大量に摘まない物だ。
多分ここ以外では育たないんだろう。
「きゃあぁぁ……」
私はメイド長に崖から突き落とされた。
私の体はクルクル回ってざぶんと水の中に落ちた。
メイド長は私が地下水に飲み込まれていったのを確認すると踵を返して入口に向かった。
ここは王族の秘密の薬草園だ。
王と僅かな家臣しか知らない。
だから……愛梨と言う名の少女が何処に消えたのか。
メイド長しか知らない。
「うっ……」
目を覚ますと屋根裏部屋に置かれたベットの中だ。
うわあぁぁぁぁぁ~~~!!
火サスの様な嫌な夢を見たな~~~。
メイド長に崖から突き落とされる夢だった。
あの婆!! 私に何の恨みがあるんだ!!
突き落とした顔には、後悔も罪の意識も無く。
清々しく笑っていやがった。
兎に角。二度寝して忘れよう。
夢だしな。
「夢じゃないっすよ」
アボスの声がした。
声の方を見る。
岩がある。しかも何だか人型だ。
岩を適当にくっ付けてロボットを作ったようだ。
「ひぃやあぁ!!」
変な声が出たのは仕方ないことだ。
「落ち着くっす。アボスっす」
「あ……アボス? 何でその姿は……あ……昨日アイテムボックスに入れた岩?」
「そうっす。あの岩を使って簡単なゴーレムを作ったっす」
「ゴーレム? そんな物が作れるの?」
「分身体っす。いざとなったら愛梨を守れるようにしたっす」
「……私メイド長に崖から突き落とされたのね。でも何故?」
「多分。愛梨は邪魔な恋敵っす」
「恋敵???????? 誰の??????」
「四条君が可哀想っす」
「( ゜Д゜)ハァ?」
「マジで気付いていないっすか?」
アボスゴーレムはハンカチで涙を拭くふりをした。
芸が細かいな。
ふと私は気付く。
「アボスここどこ?」
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