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第十八話 カバ王子【タンポポ亭】に行く

「人力車♥ 人力車♥」


 カバ王子は上機嫌で人力車に乗り込む。

 隣にメレデアが座る。

 うん。美女と野獣カバだと愛梨は思った。

 こんな美人で多分頭も良いご令嬢がカバの婚約者なんてこの世界の神は残酷だと思った。

 それとも笑いを取る為なら親でも売るタイプの神なんだろうか?

 後の騎士も人力車に乗り込んだ。

 愛梨とアボスとミュウミュウとゴーレム騎士ナイトは手を振ってカバ王子とメレデア達を見送った。

 アボスは【タンポポ亭】に居るメイドゴーレムにカバ王子達の事を伝えて出迎えるように指示する。

 ゴーレム達はテレパシーの様な物で繋がっているらしい。

 携帯代金いらなくて安上がりだな~と愛梨は思う。

 愛梨は思い出してポスターをミュウミュウに差し出した。


「ミュウミュウさんよろしければこのポスターをギルドに貼ってもらえないでしょうか?」


「ええ。良いわよ」


 あっさりミュウミュウは承諾する。

 愛梨に恩を売っておけば頼み事もしやすくなる。

 例えば塩漬けになっている依頼とか。

 ミュウミュウは頭の中で、塩漬け案件を幾つかピックアップした。


 愛梨はミュウミュウに頼んでギルドに【タンポポ亭】のポスターを貼って貰うと。


「後は広場と門の近くと掲示柱が5ヵ所」


 ミュウミュウにポスターを貼っていい所を聞いていた。

 広場には広告柱と言う広告宣伝に使う柱がある。

 柱には宣伝の他に尋ね人や質問が張り付けられていた。

 質問はどこの酒場が安いかだとか。宿屋のランクだとか。

 あの踊り子や歌姫はどこの劇場や酒場にいるのか? だとか軽い物から重いものまで様々だ。

 個人の家の壁に貼らせてもらうことも出来るがお金を取るらしい。

 愛梨とアボスはテクテクとダンジョン都市の中をポスターを貼りながら歩いた。

 ゴーレム騎士ナイトは悪目立ちするのでアイテムボックスの中に帰ってもらった。

 明日には冒険者やカバ王子の護衛でダンジョンに潜ることになるからアイテムボックスの中で英気を養ってもらう。

 ポスターを張り終えたらダンジョンに潜ってカレーの材料を取りに行こうと決意する愛梨であった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 カバ王子side


(どう思う?)


 人力車の中でカバ王子はメレデアの手に文字を書く。

 高速筆記は普通の人が見たら手を繋いでいる様にしか見えない。


(そうね。彼女の称号は【一般人】スキルは【おしゃべりなアイテムボックス】と【生活魔法】だけだわ)


 メレデアは【鑑定眼】のスキルを使って愛梨を見たが、辛うじて見えたのが【一般人】と【おしゃべりなアイテムボックス】と【生活魔法】だけだった。


(隠匿のスキルを使っているのか? 或は魔道具で隠しているのか?)


(何とも言えないわ。【ゴーレム使い】のスキルは無かった。 噂どおりなら彼女の祖父がゴーレムを与えたそうよ)


 割と愛梨の噓の経歴は皆に広まっている。

 どこぞのギルドマスターの声がでかいから。


(彼女の爺さんは召喚された勇者だと思うか?)


(その可能性は高いわね)


(ふむ。何処かの国が勇者を召喚してその事実を隠した。勇者は家族を人質に取られ国の言いなりになっていたが逃げだし。森の奥に隠れ住んだ。祖父が亡くなり彼女は森から出てきた。祖父が創ったゴーレムを従えて)


(良くできたお話ですわ)


(作り話だと思うか?)


(ゼルビス王は勇者を召喚しました)


(ゼルビス王が召喚した勇者ではないだろう。彼女には【異世界の勇者】の称号が無いだろう。勇者にしては絶望的なぐらい貧弱だ)


 カバ王子は【おしゃべりなアイテムボックス】の真の実力を知らない。

 まさかアイテムボックスが人格を持ちゴーレムの体を作りほてほてと歩き回るとは誰も思わないだろう。

 それどころかアイテムボックスの中に城を作り。爆発的に様々な自分の分身をも作り出していると、だれが想像できただろう。

 ある意味、魔王の存在よりも質が悪いのだ。


(確かにダンジョン41階まで攻略した者のスキルやレベルでは無いわ。噂では勇者達は既にレベル100を超えているとか。魔王を倒しに旅立ったとか)


(魔王か……難儀だな……)


(もっと難儀なのは人間ですわ)


(王族や貴族はプライドを刺激して操ることができるが……あの娘はどうだ?)


(平民の娘ではありますが……育ちが特殊ですしもっと観察しないと理解出来ませんわ。それにあのアボスと言うゴーレム。多分主人至上主義だと思います)


(あれが一番の厄介者だ)


(ええ。ゴーレム故に道徳や宗教や常識に縛られる事は無いでしょう)


(つまり?)


(王族何それ美味しいの? 状態ですわね)


(権力に組しない?)


(あの少女に危害を加えた瞬間宣戦布告とみなして国を滅ぼすでしょうね)


(奴らにそれほどの戦力があるのか?)


(何でも41階で起きたスタンピードをゴーレム騎士ナイトで止めたとか。2・3万匹の魔物を20体やそこらの数で滅ぼしたんですよ。しかも数時間で。小国の軍隊に匹敵しますわ)


 本当は1時間もかかってないのだが。まだ詳しい情報は部下が集めている最中だ。

 うむとカバ王子は考え込んだ。

 疲れ知らずのゴーレム騎士ナイト。さっき床から現れたのには驚いた。

 あれだけの数をやすやすと召喚して彼女は息切れも魔力枯渇にもなっていない。


(何処かの国が彼女を欲しがるでしょう。王妃として迎え入れる国があっても可笑しくは無いですわ)


(そうだなあり得るな。小国に匹敵する戦力。ゴーレム軍団。味方につければ頼もしいが、敵にはしたくないな)


(どうです。我が国の王妃に迎えては?)


(お前はどうするんだ? 王妃教育が無駄になる)


(国の為なら側妃でもかまいませんわ)


(止めとくよ。俺はロリコンじゃないからな。それにお前ほどのいい女を手放せるはずないじゃないか)


 カバ王子は愛梨とそれほど年が離れていないことを知らない。

 メレデアがクスクス笑う。


「愛しているメレデア」


「まあ王太子様」


 二人は見つめ合い唇が重なろうとした。


「いらっしゃいませ~~♥」


【タンポポ亭】の玄関の前に20体ものゴーレムメイドと女将がカバ王子一行を出迎えた。

 いつの間にか【タンポポ亭】についていた。


「まあ残念、到着してしまいましたわ」


 メレデアはクスクス笑う。

 カバ王子は苦虫を嚙んだような顔をした。

 車夫ゴーレムが差し出した手を取ってメレデアは人力車から降りた。


「女将、また世話になる」


 カバ王子は女将さんにそう言った。


「ようこそお越しくださいました。フルスプ・フェーアト・ドメスティコ王太子様。今度もお忍びでございますか?」


「ああ。レベ上げでダンジョンに潜る。その間よろしく頼む」


 実は王太子と女将は顔見知りだ。

 10年ほど前に王太子が家出してこの【タンポポ亭】に泊まった事があった。

 因みに家出の理由は妹が産まれてみんなが妹をちやほやしたせいだ。

 俺様至上主義のカバ王子には我慢出来ない事だった。

 直ぐにデオスに連れ戻されたが。


「あら? 殿下はここに泊まった事がございますの?」


「ふっ……若さゆえの過ちって奴さ……」


「馬鹿さゆえの過ちでは?」


 デオスが茶々を入れる。

 帰らないと駄々をこねるカバ王子を馬車にほり込んで国に帰ったのは笑える思い出である。

 馬車から脱走して肥溜めに落ちたり、川に落ちたり、崖から落ちたり。

 よく落っこちる割には神の加護のせいで大した怪我も無いカバ王子。

 魔獣に噛まれたり、暗殺者に襲われた癖にピンピンしていた。

 本当に神の加護は凄いな~~~~とデオスは遠い目をした。


 【神の道化師】


 そのスキルを欲しいとは思わんが。

 あれはカバ王子が6歳の時だった。

 城の階段から転がり落ちて高速スピンで城の壁をぶち抜いて城下に爆走したことがあった。

 高速回転で酒場に突っ込んだ時は生きた心地がしなかった。

 何人死んだ?

 酒場は崩壊して中にいた反乱軍が壊滅した。

 はぁ?

 何がどうしてそうなった?

 惨事を引き起こしたカバ王子は「痛いの~~」と言いながら無傷で瓦礫の山から這い出てきた。


「王子!! 何やっているんですか!!」


「せやかて爺や。俺様は悪くない。階段から転がり落ちただけだ」


「階段から転がり落ちただけなのに!! 何故酒場が崩壊するんですか!!」


「デオス騎士団長!! こいつら指名手配の反乱軍です!!」


「何だと!!」


「恐らく王都に潜伏して王族を人質にして王都を潰すつもりだったのでしょう。ここに王子誘拐の計画書があります」


「善良な市民ではないんだな」


「はい。反逆者です」


「王子偶然にもお手柄です」


「なんだその不服そうな顔は?」


「王子偶然ですよね」


「……いや分かっていたぞ。俺様はちゃんと分かっててここを潰したんだぞ」


 王子は明後日の方角を見ながら嘯いた。

 勿論カバ王子はたまたまここに突っ込んだだけだ。

 何処かの名探偵のように「あれあれ? おかしいな~」と言いながら大人にヒントを与えて誘導した訳ではない。

 ただ【神の道化師】のスキルのせいか良くこんな事が起きた。

 本当にこの世界の神はいたずら好きだ。

 そのいたずらで国が栄え、国が滅びる。

 魔王や勇者の件もそうだ。

 魔王を倒した勇者が次の魔王になったり、笑うしかない。

 勇者は諸刃の剣だ。

 召喚した国が亡びるのは自業自得だが、とばっちりで幾つもの国が滅びた。

 本当に勘弁願いたい。

 暇つぶしで世界を玩具にするのは……

 そうみればカバ王子も神の犠牲者なのだろう。

 魔王も勇者もカバ王子も神を退屈させない為の道化師なのかも知れない。

 デオスがあれこれと考えているとカバ王子が女将に話しかける。


「女将。随分様変わりしたな」


「はい。アイさんのゴーレム大工が改装してくれたんですよ」


 ニコニコして女将が答える。


「うむ。確か貴族用の食事の個室があったが……遊戯室になったのか?」


 辺りを見渡してカバ王子は答えた。随分様変わりした。


「はい。色々と様変わりして冒険者向けの宿となりました。色々助けてもらって本当にアイさんには感謝しているんですよ」


「そうか」


 カバ王子御一行様は最上級室に案内された。






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 2019/3/16 『小説家になろう』 どんC

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最後までお読みいただきありがとうございます。

感想・評価・ブックマーク・誤字報告本当にありがとうございます。

仕事で書くのが遅くなっておりますが、頑張って書きますので気長にお待ちください。

しかし人が辞めていくので残業多くなってきたな~~。

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