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第十五話 タンポポ亭は改造中

 とんかんとんかん


 大工ゴーレム達がタンポポ亭を改造する。

 広い庭の東側にはお風呂が作られた。

 露天風呂も作られ男女に分かれている。

 宿泊客はタダで利用でき、宿泊客以外だと500ベベル払うと利用できる。

 因みに食堂はバイキングになっていて、宿泊客以外でも利用できるが2000ベベルで少々お高い。

 お風呂とバイキングセット料金で2200ベベルで検討中だ。

 ダンジョンの各層にはゴーレム騎士ナイトと鳥と犬のゴーレムが索敵して何処に何があるのか情報をアボスに提供している。

 この前は一直線にダンジョンを突っ切って行ったから植物や素材の取りこぼしがかなりあったのだ。

 砂ミミズやあわあわ草などがそうだ。

 ダンジョンの中で見つけたあわあわの実で石鹼を作り。

 シャンプーは例の花で作った。

 馬小屋は半分に縮小され。代わりの竈が3台作られている。

 これでパンやピザが作れる。

 食堂も貴族専用の個室があったが、潰されダーツやチェスのゲームが置かれた遊戯室となり。

 魔物関連やこのあたりの地図やダンジョンの本が置かれた小スペースの図書室になっている。

 調理室の裏庭にはダンジョンから取れたハーブが植えられていて、椅子やテーブルもあり、ちょっとした従業員用の休憩室になっている。

 冒険者向けの部屋は一人部屋が10部屋、二人部屋が15部屋、3人部屋が7部屋、6人部屋が5部屋に改造された。無論部屋は足りないので地下3階まで掘られた。

 地下一階は運動場ぐらいあり冒険者が剣の稽古やランニングする訓練用の場所だ。木剣なども置かれている。

 宿泊客はただで利用できる。

 地下2階は1人部屋が5部屋と2人部屋が5部屋がある。地下なので部屋代も安い。

 地下3階は食料庫と物置部屋と洗濯室だ。

 因みに女将さんと子供達の部屋は宿屋の隣に増設された。

 30体の大工ゴーレム達は見る間に仕事を済ませ、一週間で改築工事を済ませた。

 メイドゴーレムとボーイゴーレムが部屋にベッドや家具を運び込んでいる。

 最初女将さんと子供達は目を丸くして見つめていたが、3日もしない内に慣れた。


「アイ姉ちゃんこれは何?」


 トウスは宿屋の前にあるそれを指さした。


「人力車よ」


「人力車?」


「そう冒険者の送迎や買い物や観光に使うのよ。取り敢えず乗ってみましょう」


 2人は人力車に乗った。


「これもゴーレムが引くんだね」


 愛梨達が乗り込んだ人力車は2人乗りだ。

 1人乗りと2人乗りとが10台ずつある。後ろには荷物を置く台も取り付けられている。

 馬車と比べて小回りが利き何より馬や魔獣と違って糞をあちこちにまき散らすことが無い。


「ギルドまでお願いね」


 車夫ゴーレムは頷いた。


 カラカラカラカラ


「うん。都の中だと石畳のお陰で揺れが少ないわね」


「わあ~~早い早い!!」


 トウスは燥いでいた。


「で……アイ姉ちゃんギルドに何しに行くの?」


「ん……リニューアルした【タンポポ亭】のポスターを貼らせてもらうのよ」


「ポスター?」


「これよ」


 愛梨はバックの中からポスターを出した。

 ポスターには【タンポポ亭】の外観と各部屋の絵と料金表が書かれていた。

 それにお風呂の絵も描かれている。


「この絵アイ姉ちゃんが描いたの? 上手だね。まるで絵描きさんみたいだ」


「えへへへ頑張ったよ」


 愛梨は絵も得意だった。

 二人は冒険者ギルドに着いた。

 かなりの冒険者が好奇心丸出しで見ている。

 愛梨がゴーレム使いだと知っているので誰も絡んでこない。

 見られる事に慣れたな~~と愛梨は思った。

 一ヶ月ほど前の愛梨だとかなりびくついていた事だろう。

 人間何度も死にかけるとクソ度胸が付くんだろうか?

 いや単に諦めたのかも知れない。

 アボスと歩いていて目立たないはずが無い。


「ギルドの裏で待っててね」


 車夫ゴーレムは頷くと人力車を引っ張って裏に回った。


「偉く変わった乗り物ですね」


 ミュウミュウが出てきて人力車を眺める。

 目ざといな~~~と愛梨は思う。


「馬車の代わりにお客様を送迎する乗り物よ」


「そうなんですか。あれを送迎に使うのですか」


 ミュウミュウの目がギラリと光っている。

 なんかこの人も金儲けの匂いに敏感になったな~~~


「二階の会議室にギルドマスターと3パーティがお待ちしています」


「トウスはここで待っててね。あっ!! おばちゃんトウスに桃花林ジュースお願い」


 愛梨はギルドの1階にある食堂でジュースを頼んでトウスを座らせた。

 そしてミュウミュウの案内で二人は二階の会議室に向かう。

 そこにはダンジョンの探索を終えた【青き焔】と【宵待草】と【狐火】のパーティが椅子に座ってタンポポコーヒーを飲んでいた。

 アボスは先に来ていた。

 朝から見当たらないなと思っていたらこんな所にいたのか。

 3パーティーの後ろでゴーレム騎士ナイトが控えている。

 心なしかドヤ顔をしていると愛梨は思った。


「貴方がゴーレム使いのアイさん?」


 若い女が立ち上がる。


「はい。初めまして。アイです」


「もう~~ゴーレム最高!! 素晴らしいゴーレムをありがとう。お陰でサクサク進んで50階まで行けたわ。レベル上げまで出来ちゃった♥ 私のパーティはここんとこレベルが上がらなくって悩んでいたのよ」


 愛梨に抱きついて高速スリスリをしたのは【宵待草】のリーダーシイナである。


「いや~ん。この子可愛い♥」


 盗賊アリアンも愛梨にスリスリしている。


「ご飯最高~」


「おやつ最高~」


 親指を立てたのは魔女っ子ルキアとジェニーである。


「本当に素晴らしいゴーレムをありがとう」


 愛梨の手を握りしめてブンブン振っているのは【青き焔】のリーダームエンだ。

 彼は泣いていた。

 ダンジョン帰りとは思えぬほど小ざっぱりとしている。

 普通ダンジョン帰りだと臭い。

 兎に角臭い。死ぬほど臭い。

 おっさんが5人も居るパーティは目に染みるほど臭い。

 殺人兵器程の臭さだ。

 ギルドの受付嬢が2・3人倒れた事がある。

 それ以降【青き焔】がダンジョンから帰ると受付嬢が笑顔でマスクをする様になった。

 心が抉られて、おっさん達は泣いた。

 仕方が無い話ではある。

 ダンジョンの中では水は貴重だ。

 無論ダンジョンの中に海や川や湖はある。

 しかしその中には魔物がいてゆっくり水浴びする暇も、下手をすると体を拭く暇も与えられない。

 魔物避けの香を焚いても風や雨で効きが悪いことがある。

 ダンジョンの中はいつも死と隣り合わせだ。

 だが……愛梨にレンタルしてもらったゴーレムで色んな問題は解消された。

 ダンジョン帰りに皆に白い目で見られ肩身の狭い思いをしていた【青き焔】のメンバーも今日は違った。

 そんなに臭いんならギルドによる前に風呂屋に行け!!

 と思うかもしれないが、余りの臭さに風呂屋から出禁を食らった事があり仕方なく川で体を洗ってから風呂屋に行くのだ。

 大荷物を持って都の外や風呂屋に行く事は出来ず。ギルドに寄って依頼の報告や報酬を受け取るしかなかった。みんなの白い目が痛かった。

 だが、それも過去の話だ。


「本当に君のゴーレムには感謝している」


 泣きながらおっさんは愛梨に感謝する。


「私のゴーレム達が皆さんのお役に立ててとっても嬉しいです」


 愛梨は微笑んだ。

 おっさん達はロリコンでは無かったが愛梨が天使に見える。

【狐火】のリーダーもやって来て愛梨に感謝の気持ちを述べた。


「本当に君のゴーレムには感謝しかない」


 愛梨は彼を見て固まった。

 うわ~~~!!

 獣人だ!! 耳がぴくぴくしてる!!

 触りたい!! モフモフの尻尾だ!!

 本当にいたんだ~~!!

 この人子供とかいないかな?

 流石に夫婦者とみられるおっさんの尻尾を触らせろとは言えない。

 愛梨はおっさんの尻尾に触って牢屋行きは流石に嫌だと思った。

 愛梨がうんうん考えているとモフモフおっさんは喋りだす。


「【狐火】として長期のゴーレム騎士ナイトの貸し出しを頼みたいのだが……」


「あっ!! うちもうちもお願い」


「ワシの所は一ヵ月でお願いする」


【青き焔】のリーダーは良い笑顔で答えた。


「あ~うちらの所は二週間でお願い」


 冷えたビールを忘れないようにお願いねと【宵待草】のシイナは親指を立てた。


「私の所は15日でお願いする」


 ケモ耳奥様は鍛冶の道具と恋愛小説も持っていきたいわと旦那に言う。


『はいはいっす。一ヵ月と二週間と15日っすね。ではこの精霊契約書にサインお願いするっす』


 アボスは商魂逞しく各リーダーにサインをさすと半額のお金を前金で貰った。


「ああそれと料理を提供している【タンポポ亭】が今日から冒険者向け宿としてオープンします。宜しければ泊まりに来てくださいね」


 愛梨も商魂逞しく皆にポスターを見せる。


「これはお風呂? 大きいのね」


「はい。大勢で入れます。月を見ながらお酒やアイスクリームも食べれます」


「何ですと!! アイスクリームとは王様や貴族が食すると言う!! あのアイスクリームですか?」


 何故か魔女っ子ルキアよりおっさん魔導師の方が食いついてきた。


「はいそうです」


 おっさんの勢いにたじろぎながら愛梨は答えた。


「バイキング形式の食事?」


「好きな料理を好きなだけ食べる形式です。コーヒーや紅茶はサービスですがお酒は別料金です」


「う~ん。酒は別料金か~えっ? ワインにビールを部屋に持ってきてくれるの?」


 貴族相手の高級宿なら持って来てくれるが、冒険者向け宿屋だと自分で取りに行かないといけない。


「はい。ルームサービスでご夫婦や恋人達が二人っきりで過ごしたい時はお部屋に料理やお酒をお持ちいたします」


 愛梨は皆に説明する。


「人力車で送迎もしているんですよ」


「人力車?」


 魔導師と魔女っ子ルキアが首をかしげる。

 物知りの魔導師や魔女でもさすがに知らないのだろう。


「ゴーレムに車を引かせるんです。ダンジョンまでの送迎や買い物や観光にお使いください」


「凄い!! 凄い!! 見てみたい!! いいでしょリーダー!! ここに泊まろう」


 魔女っ子はシイナにおねだりする。

 とても微笑ましい。

 魔導師もリーダームエンにおねだりしてるがこっちは鬱陶しい。

 そしてみんなが【タンポポ亭】に泊まることに決まった。


「トウスお客様よ。18名様ご案内~~~♥」


 食堂で待っていたトウスにみんなを案内させる。

 愛梨はアボスにギルドの前に人力車を召喚させた。

 様に見せかけた。


「おお~~!! これが人力車!!」


「なるほど2人乗りなのね。わあ!! すわり心地いいわ♥」


「馬や魔獣ではなくゴーレムが車を引くのか。餌や水がいらないな」


 ワイワイガヤガヤ言いながら3パーティーは人力車で【タンポポ亭】に向かった。


「う~ん。【タンポポ亭】の旗を作った方がいいかしら?」


 愛梨はアボスを振り返りながら尋ねる。


『そうっすね。お揃いの半被もいいんじゃないっすか』


 ごほん


 愛梨とアボスの後ろで咳払いをする者がいた。


「お前ら散々わしを無視しおって。わし泣いちゃうよ」


 いい年をしたおっさんが拗ねていた。

 ギルドマスターの事をすっかり忘れていた二人であった。




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 2119/2/18 『小説家になろう』 どんC

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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特に誤字報告は本当に感謝しています。

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