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おしゃべりなアイテムボックス 閑話 ある冒険者達の呟き

【青き焔】のリーダームエンサイド


 やばい!!


 そのムエンは思った。


 やばい!! やばい!! やばい!!

 なにこれ……なにこれ……

 やばすぎる。

 男の目の前にゴーレム騎士ナイトがいた。


【青き焔】のメンバーは男ばかりだ。

 しかも髭面づら強面でむさくるしい。

 宿で休んでいると、ギルドマスターに呼び出しがあった。


 そして……

 そのゴーレム騎士ナイトに初めて会ったのは冒険者ギルドの会議室でだった。

 3体ものゴーレム騎士ナイトとアボスと名乗るゴーレムを紹介された。

 【青き焔】【宵待草】【狐火】の3パーティーがギルドマスターに呼ばれギルドの二階の会議室に集まった。。

 話はダンジョンのスタンピードの事だと直ぐに分かった。

 ゴーレム使いの少女からもたらされた情報。

 41階のスタンピードの確認。

 3パーティーに一体づつゴーレム騎士ナイトを貸し出してくれるとのこと。

 3パーティーのリーダーは互いの顔を見る。

 1日10万ベベルは安くは無い。

 しかもギルドが1週間貸し出してくれるのだ。

 不安と期待で皆の顔は紅潮した。

 あの少女は1日で41階まで踏破したのだ。

 転移石を使えば30階まで転移出来る。

 自分達こそはダンジョンを踏破してみせると息巻いている者たちだが。

 今の成果は思わしくない。



 40階。


 そこが彼ら【青き焔】の限界だった。

【青き焔】のリーダームエンはどこぞの戦闘民族の様にワクワクしていた。

 行けるかも知れない。

 限界突破。


「頼むぜナイトさんよ~」


 盗賊のヨナもペタペタとゴーレム騎士ナイトに触る。

 その硬い体が盾として頼もしく感じた。


「それじゃいっちょ行って来るぜ」


「行ってらっしゃい」


 ギルドマスターとアボスとミュウミュウに見送られて3パーティーはダンジョンに向かった。

 転移石で40階に着く。

 この前は食料と水を消費し泣く泣く断念した。

 このダンジョンは魔物の数が多いのだ。

 激しい戦闘が終わったと思ったら次の魔物が現れる。

 体力の低下に武器の劣化。

 倒した魔物の素材。

 いくらアイテムポーチがあっても追いつかない。

 ボス部屋に行く前に魔物の群れに襲われた。

 40階は砂漠で砂ミミズがいる。

 この砂ミミズは全長40m程で兎に角しつこい。

 硬い岩の上に逃げてもしつこく襲ってくる。

 倒せない相手ではないが攻撃すると直ぐに砂の中に逃げて回避する。

 砂ミミズはガリガリとこちらの精神を削り。

 鬱陶しくイラつかせる天才だ。

【青き焔】のメンバーはいつもの様に岩の上に逃げるが、砂ミミズは岩の周りをぐるぐると回る。


『やっつけていいか?』


 ゴーレム騎士ナイトが黒板に文字を書きムエンに尋ねる。


「やっつけられるのか?」


『問題ない』


「じゃ頼む」


 ムエンはゴーレム騎士ナイトの実力を見るいい機会だと思い頷いた。

 砂ミミズを倒すのに30分はかかるだろう。

 ゴーレム騎士ナイトは頷くと槍を砂ミミズに向ける。

 砂ミミズは口を開き三重に並んだ牙をむき出し涎を垂らす。

 槍の先が光、砂ミミズ目掛けて雷が走る。


 ズドドドオォォンンンンン~~!!


 砂ミミズの頭が吹き飛び砂煙と共に地響きを立てて倒れた。

 ムエンは顎が外れるほど口を開けて倒れた砂ミミズを見る。

 他のメンバーも目ん玉が飛び出るほど目を見開いている。

 ゴーレム騎士ナイトはひょいと岩から飛び降りると砂ミミズを槍でぶすりと刺し収納した。

 ゴーレム騎士ナイト達は接触するとその物を収納・解体できるのだ。

 アイテムボックスの中で砂ミミズは綺麗に解体される。

 砂ミミズのステーキはかなり高級な扱いで。

 貴族が好んで食べる。

 砂ミミズの皮も丈夫な鎧が出来るがでかすぎて、ほとんどの素材はダンジョンに置いていくことになってしまう。


「すげえ」


 ヨナは呟く。


「これなら素材を捨てずにすむ」


 魔導師のゲルクもブンブンと頷く。

 普段は無表情なゲルクも興奮を隠せない。

 これまで泣く泣く素材を置いてきたが。

 このゴーレム騎士ナイトがいれば全ての素材を持ち帰れる。

 強くて役に立って寡黙(口が聞けないだけだが)。

 うん。男でもホレてまうやろ~~~!!

 それは収入アップであり1日10万ベベルのゴーレム騎士ナイトのレンタルも自分達で支払っても十分おつりがくるのだ。

【青き焔】のメンバーは神とゴーレム使いの少女に感謝した。



【宵待草】のリーダーシイナサイド



「ぷはああぁぁぁぁぁ~~~~~」


 シイナはおっさん臭くビールを煽った。

 風呂上がりのビールが冷えてて美味い。


「リーダー!! おっさん臭いよ!!」


 マリアンはカクテルをちびりちびり飲みながら枝豆を食べる。


「風呂上がりのビールは最高!!」


「ああ……幸せってこう言うことなんだな~」


 ご飯をもぐもぐ食べながら巫女ジェニーは涙する。


「硬いパンと干し肉から解放される喜び。しかもお代わり自由~~女神様ジェニーはジェニーは生きてて良かったです~~~!!」


「野菜が新鮮で嬉しい♡」


 魔女っ子ルキアはもぐもぐと野菜を食べる。

 たっぷりとドレッシングをかける。

 嬉しいことに3種類もドレッシングがあるのだ。

 ルキアは野菜好きだが、ダンジョンに潜ると干し肉と硬いパンと水だけの侘しい食生活が続く。

 その為便秘になってお腹がはる。

 ルキアは偉く不機嫌になるのだ。

【宵待草】のパーティはリーダーのシイナと盗賊のマリアンに魔女っ子のルキアそれと巫女のジェニーだ。

 後臨時で荷物持ちが入るが。

 この荷物持ちに問題がある。

 たいがい男が入るのだが。


「ひゃっほーハーレムじゃん♪」


「おっ♡ラッキーすけべあるかも」


「げへへへロリ魔女っ子可愛い♡」


 若い男はこんなのばかり。風呂場は覗くは、触って来るは、夜中に寝ていたら襲って来るし。

 夜中の見張りの時は五月蠅く口説いてくるし。

 中年のおっさんを入れればやたら説教してきて解体が遅い。

 馬鹿野郎!! 口より手を動かせよ!!

 魔物を倒しながらいつも思う。

 倒した魔物の血をかぎつけて魔物が来る。解体をしていると魔物が来る。

 休む暇もなく魔物が来る。

 おっさんはもたもたと解体して、もたついている間にさらに魔物が来る。

 魔物除けの香を焚いても強い魔物は寄って来るのだ。

 何度怒鳴りつけようと思ったことか。

 挙句の果てにぎっくり腰になる。

 おっさんはお荷物でしかなかった。


 勘弁してよ~~~!!


 だが今回のゴーレムは違った。

 女に欲情しない。だってゴーレムだもん。

 解体がスムーズだ。だってゴーレムだもん。

 イラン説教はしない。だってゴーレムだもん。

 ぎっくり腰にならない。だってゴーレムだもん。

 アイテムボックスが無限。だってゴーレムだもん。

 飯に酒が美味い。だってゴーレムだもん。

 ドームハウスを出してくれる。だってゴーレムだもん。

 ドームハウスには風呂トイレ付きしかもふかふかのベッドもある。だってゴーレムだもん。

 夜の見張りをしてくれる。だってゴーレムだもん。

 色々可笑しいが、十分に英気を養う事ができた。

 ああ……幸せだ。

 夢なら醒めないで。



【狐火】のリーダーマチスサイド


 マチスは嫁さんのエリーゼと顔を見合わせていた。


「何時ぶりかしら? こんなにゆっくりお茶をしたのは?」


 ずずず~とマチスはタンポポコーヒーをすする。


「そうだな。子供達が産まれてからはゆっくりした事がなかったな」


 マチスとエリーゼは狐の獣人だ。

 14歳の男の子を筆頭に3人の子供がいる。

 子供は弟夫婦に預けている。

 子供達は朝から晩まで農家(弟夫婦)の手伝いをしている。

 もうそろそろ金も貯まり弟の農場の近くに家を買おうかと相談している。

【狐火】は狐獣人夫婦とドワーフ夫婦と黒エルフのカップルと言うかなり特殊なパーティーだ。

 黒エルフにいたってはホモのカップルで。

 暇さえあればイチャイチャしている。

 二人(黒エルフ)のツインテールが揺れる。

 ツインテールは部族の証らしく男は皆ツインテールらしい。

 美意識はそれぞれだ。因みに二人共ニーソックスを履いている。

 それも部族のしきたりだとか。

 うん。何でこいつら仲間にしたんだろう?

 とマチスとエリーゼは首を傾げる。

 ドワーフの夫婦と黒エルフはまだまだ冒険者を続けるつもりの様だ。

 自分達が抜けた時穴埋めが難しいと思う。

 このカップルは冒険者としての腕はいい。

 だが……


 とんかんとんかん


 火花が散り。

 ドワーフ夫婦の歓声が上がる。

 夫のギイはトンカチを振るい、火花が上がる。

 妻のエタナはそれを水につける。

 じゅううぅぅ~

 水から蒸気が上がる。

 42階のダンジョンは鉱山の迷宮になっていて珍しい鉱石が所狭しと落ちている。

 例外に漏れずドワーフのギイとエタナも鉱石が大好きだ。

 歓声を上げながら拾っている。


「おい。二人共休憩しないか?」


 マチスはドワーフ夫婦にタンポポコーヒーをすすめる。


「もうちょっと」


 二人は喜々として剣を作っている。

 本来ならば鍛冶の道具の持ち込みは絶対許さない。

 ハンマーやらペンチやら持ち込む前に水と食料が優先される。

 帰りは魔物の素材や魔石でアイテムポーチがパンパンになるし。

 マチスは後ろのドームハウスを見た。

 ゴーレム騎士ナイトが出したハウスは4LDKで寝室には、ベッドが二つあり小さいテーブルと椅子が二つにクロウゼットが一つある。

 居間には暖炉もあり夜には暖が取れる。

 台所には別料金で回復ポーションが置いてあるし。

 武器が壊れた時は応急処置で武器も直してくれる。

 これまではドワーフ夫婦が居ても壊れた武器はダンジョン都市の鍛冶屋に持っていくしかなかった。

 何度も食料や武器やポーションの関係で長く潜れなかった。

 だがゴーレム騎士ナイトの貸し出しサービスでかなりな問題は解消される。

 マチスはクッキーを齧った。

 美味しい。

【タンポポ亭】の女将が作ったクッキーらしい。


「これクッキーだけ売ってないかな?」


「本当美味しいわね。【タンポポ亭】は貴族御用達の宿だったけど、今度泊まりに行ってみようかしら? ねえ。貴方子供達も連れて食事に行くのもいいわね」


「そうだな」


『【タンポポ亭】は冒険者用の宿として今リニューアル中です』


 ゴーレム騎士ナイトがそう言っていた。


「兎に角先ずは調査だ」


 マチスは背伸びをすると、テーブルに立てかけていた剣を取り結界の側に寄った。

 ゴーレム騎士ナイトに張られた結界がドームハウスを中心として21mほどはられている。

 結界の側にうじゃうじゃとジャイアントアントが群がっている。

 正直気持ちが悪い。

 こんなに群がって来られたら普通は逃げるしかないが。

 ゴーレム騎士ナイトのお陰でティータイムが取れる。

 そして結界の中から攻撃して倒す。倒したジャイアントアントはゴーレム騎士ナイトが回収してくれる。

 イチャイチャしていた黒エルフのカップルもイチャイチャを止めてジャイアントアントに攻撃をする。

 こいつら馬鹿ップルじゃなければ優秀なんだけどな~

 マチスはジャイアントアントに剣を突き刺しながら思った。

 鍛冶馬鹿のドワーフ夫婦もジャイアントアントに作ったばかりの剣を突き刺し剣の出来を見ている。

 本当何でこいつらとパーティー組んでいるんだろう?

 何度目かの疑問を思うマチスであった。


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 2019/1/28 『小説家になろう』 どんC

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