プロローグ
こんにちは。私の名前は柿崎愛梨と言います。
いや~~~(笑)マジ笑えないんだけどね。
異世界転移って奴。
やっちゃいました。
私モブ子でおかっぱメガネの平凡な容姿です。
本好きで図書委員をやっております。
その日は図書の当番で下校時刻になり図書館を閉めて帰ろうとした時に。
生徒会の連中と一緒に門を出たんですよ。
生徒会の連中も文化祭の予算や準備で遅くなったみたいで。
生徒会長の四条君も珍しくお疲れモードでしたね。
生徒会長の四条君はハンサムで頭もよく女生徒にモテモテなのに驕ったところの無い。
完璧男子だとよっちゃんが言っていたけど。
本当か~~~?そんな人間が本当にいるんか~~~?
でもハンサムで背が高いのは本当だな。眼福眼福。
ハンサムや美人は遠くから眺めるのが一番だな。
私は彼らの後に付いて歩いているといきなり足元が光り輝きました。
魔法陣?
これラノベに出てくる巻き込まれ転生ってやつや~~~~~~!!
あかん!! あかん!!
私は慌てて光り輝く魔法陣から抜け出そうと地面を蹴ったけど。
地面が無かった!!
私達は光に飲まれてこの世界から消えた。
「……だ……」
「い……い?」
「だれ……お……じ」
「い……? ま……スキル?」
誰かが喋っている。生徒会の連中かな?
頭がぐらぐらする。転移酔い?
私は冷たい床から起き上がり周りを見ると。
お約束の黒いローブを身につけた魔術師集団と物凄い美人の姫? 巫女? がいる。
それと茜色の鎧に緑のマントに槍を持った騎士の一団。
うん。頭が痛い。
「大丈夫かい?」
ふらふらしている私を支えてくれたのは生徒会長の四条綾人さんだ。
「あ……すいません……」
「顔色が悪い」
いきなり彼が私を抱きかかえる。
「ひゃあ~~~!」
「すまないが愛梨君が気分が悪いみたいなんだ。ベットか長椅子はないのか?」
やめて~~!!何てことしてくれるんだ!!
モブ子にはお姫様抱っこは荷が重すぎる~~~~!!
睨んでる!! 睨んでる!!
書記の伊藤香織と金髪碧眼ボンキュウボンのお姫様が、般若の様な顔をして睨んでる!!
心臓(違う意味で)バクバクやし顔色は二人の殺気で更に青くなった。
「重いでしょう。彼女は私がベットに運びましょう」
イケメン騎士さんが手を差し伸べて私を抱っこしょうとしたが、四条君はスッと騎士さんの手を避けると。
「いえ。僕が連れていきます。彼女は軽いですから」
と凄い目で騎士さんを睨んだ。
バチバチバチと頭の上で火花が飛ぶ。
後ろで副会長の富永康治がくすくすと笑っている。
何がそんなに面白いんだ!!
他人事だったら私も笑ってたさ。
取り敢えず私達は神殿から外に出て馬車に乗り城に向かう。
ゴトゴトと馬車はでこぼこ道を走り。
私は益々青くなり。四条君は私を膝の上に乗せてしきりに顔色を見てくる。
「大丈夫かい? 愛梨さん」
「大丈夫です」
貴方が放してくれたら直ぐに良くなります。
とは言えない。
生きた心地がしないとはこの事だ。
一時間ほどして私達は城に着いた。
窓は閉められていたから町の様子は分からない。
私達は城の一室に入った。王様と姫様と高官と騎士団を私達6人が入ってもかなり広い。
そこは応接室で椅子とテーブルと長椅子があり、私は長椅子に寝かされ毛布を掛けられた。
お医者さんぽい人が私の脈を取り。
「転移酔いです。暫くじっとしていれば治ります」
と言った。そしてさっぱりした飲み物をくれる。
王様が上座の椅子に座って皆に座るように命じ。
私以外は席に着く。
「ワシはこの国ア二レスの王。ゼルビス・ル・フォラスと言う。まずは我らの呼びかけに答えてくれて礼を言う」
「貴方が僕達をこの世界に転移したんですか?」
四条君が王様に尋ねた。
「いかにも」
「で……僕達をこの世界に呼んだと言うことは、魔王でも倒せと言うことですか?」
「察しが良くて助かる。そうだ魔王【黒狼】を倒して欲しいのだ」
「黒狼? 人型では無いのですか?」
「今回の魔王は人型では無い」
王様の説明によると毎回魔王は違うらしい。
数百何前の魔王は戦で死んだ王子に憑りついたという。
この世界では澱んだ魔力が死体に憑りつき魔王となるらしい。
「何故? 自分たちだけで魔王を倒さないんですか?」
「数百年前の魔王がこの世界に呪いをかけた。この世界の住民は魔王を倒せないと……」
「それで異世界召喚を?」
王様は頷く。
「あの僕達は帰れますか?」
「うむ。帰れる。魔王の核を使えばこの世界に来た時間に戻れる」
「あ~~どっちにしても魔王は倒さなくっちゃならないのか~~めんどい」
富永くんはガリガリと頭を掻いた。
「取り敢えず。称号とスキルチェックか?」
生徒会補佐の大塚和宏君が眼鏡をクイッと上げながら言う。
運動会や文化祭の忙しい時期にはお助けマンの補佐が3・4人着くんだ。
大塚君や大西君がそうなんだ。
何でそんなことに詳しいかと言うと。
幼馴染のよっちゃんがお助けマンで四条君に近づこうとしたけど断られたんだって。
女生徒は生徒会長の四条君にお近づきになりたいがために立候補するけど、仕事しないんだって。
そりゃ~~(笑)要らんがな。
「大塚。オタクっぽいよ~~(笑)」
同じく生徒会補佐の大西匠君が笑いながら大塚君を指さす。
そう言う大西君も何か嬉しそうだ。
皆さん落ち着いている。
私は別の意味でパニックっているのに。
そう言えば……王様呼びかけに答えてくれたって言ってたな。
「あの……質問よろしいですか?」
私はおずおずと手を挙げた。
「なんだ? 申してみろ」
「呼びかけに答えてくれたとおっしゃっていましたが……私知りません」
「えっ? 夢で声がしなかった? 魔王を退治してくれって」
「私も聞いたわ」
「俺達も聞いた。俺たちの他に2・30ほど夢の中で声を聴いた人がいて。ネットでも噂になってたよ」
「えっ? そうなんですか?」
ネットでも噂に……どんだけ王様声かけていたんだ。
「私……ネットは読者感想や新刊案内しか見ないんです」
「愛梨君は本当に読書好きだな」
四条君はニコニコして私を見つめて。
書記の香織がちっと舌打ちする。
お姫様は物凄い目で私を見て笑顔をうかべる。こ……怖い。
富永君はクスクス笑う。
大塚君と大西君が生温かく私を見る。
「完全に貴女は勇者様達に巻き込まれたのでしょう。ごめんなさい。きっと大したスキルもないんでしょう」
お姫様がさも気の毒そうにそう言ったが。その眼は馬鹿にしている目だった。
「いや。それは分からないよ。愛梨君も異世界人だし。兎に角。スキルチェックをしましょう。もし無くても君は僕が守るよ」
四条君は私を庇う様にそう言ってくれたが……嫌な予感しかしない。
戦うスキルがあれば魔王と戦う事に。
無ければ無能扱いに。
どっちに転んでも碌なことない。
神官ポイおじいさんが水晶を持ってきた。
「まずこれで称号とスキルチェックをします。その後自分でスキルを見ることが出来るようになります」
老神官は最初に四条君に水晶を渡した。
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2018/8/25 小説家になろう どんC
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最後までお読みいただきありがとうございます。