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1987   作者: MASATO
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1/1

♯0 <無題>

いつでも、その気になれば、此処に帰って来れると思っていた。

来年こそは・・・と、毎年思いながらも、あれから、かなり時が経ってしまった。


科学の進歩とは凄いもので、自分が住んでいた場所を検索して、

まるで、その場所に本当に来たかの様に地図上を歩ける様になった。

実際にはこの30年間、一度も、育ったあの場所には帰っていないけれど、

ボクは事あるごとにバーチャルであの場所を歩いた。


僕はマサト。

今年で42歳になる。

京都の福知山という所で育った。

父は元・自衛官だ。

所謂「転勤族」というやつで、

僕が12歳の時に、母親の地元でもある北海道に越してきた。


福知山出身・・・と言いたい所だが、生まれは北海道の苫小牧市。

生後八カ月の間だけ北海道で育った。

だから、京都出身と言って良いものなのか、北海道出身と言うべきなのか、いつも迷う。

今では北海道生活の方が長くなってしまい、再びあちらに住みたいとは思わなくなったけど、

それでも事あるごとに思い出すのは、少年時代を過ごした福知山の12年間の数々だ。


1987年に福知山を去って、今年でちょうど30年になる。

そんな事もあって、今年こそは一度訪れてみようと思っていた。


「人生の心残りは、京都の墓参りに一度も帰っていない事だ。」

71歳になった父が口癖の様に云う。

そんな大げさな・・・

いつでも行けるじゃない!

「だったら、一緒にいこうよ! お盆時期は飛行機が高いからアレだけど、10月とか狙い目だよ!」

ボクがこう告げると、父が静かに微笑んだ。



-2017年・初春-

父が亡くなった。





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