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ある共産主義国家の記録  作者: HTTK
大陸の革命政権
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ロマリア外縁調査団4

 −‐1月14日、市内で起きた食糧暴動を同盟国軍と共同で鎮圧したらしい。(判別不能)市は、市内に軍需工場があることから比較的優先して食糧供給を受けられている筈だが、長引く戦争と異常気候による食糧不足が市民のモラルを低下させつつある。


 1月16日、遂に本土でも一部主要食糧の配給制が始まったらしい。共和国軍は、多額の戦時国債と税収によって過去最大規模の常備軍を揃えた。……それでも、戦争を終わらせる事も出来ていない。

敵の通商破壊や航路封鎖、ゲリラ戦は日に日に巧妙化している。

こちらの痛いところを付くところから、敵に寝返った軍人が居るという噂は本当なのだろう。

私達は、この戦争に勝てるのだろうか。


1月18日、軍が敵の首都前面に迫っている事をラジオニュースが伝えていた。

昨年の夏の敵本土強襲に伴い行われた(判別不明)沖海戦において共和国海軍は敵の海軍主力を撃破し、今や世界の海は共和国の手中にある筈だ。

しかし、現実として各所で補給線は襲撃され、共和国の商船は多大な損害を受け続けている。


1月30日、久々の朗報。

月面開発機構が月面における完全循環型施設の実験に成功したらしい。

細々だが、宇宙開発では久々の朗報が聞けた。

追記、夜に軍の部隊が敵首都へ突入したというニュースが入ってきた。戦争は終わるかもしれない。


 2月19日、軍は敵の首都を制圧するも、敵は政府をどこかに移したらしい。

(判別不明)において共和国軍と共産党が国内を売国奴から奪還したと国営放送が発表していた。

(判別不明)政府は、自国の方面における戦況が不利になっている事から敵に対して単独講和を持ち掛けたらしい。


 2月28日、軍より月面第二基地への出向命令を受領する。少なくとも、(判別不能)やロマリア、(判別不能)に比べてマシな場所だろう。今や、この星で安全な場所など本土かボヘミアくらいしか無いのではないか。伝え聞く限り、敵も酷い有様なのだ。

(判別不能)は、農具よりもゴーレムを作りたがって居るのだろうから、お似合いかもしれないが。


 3月16日、(判別不能)空港において(判別不明)による破壊工作。搭乗予定だった便を含む空港施設が破壊される。

我々が、彼らに近代的な技術を教えたところまでは良かった。しかし信仰を残したのは失敗かもしれない。


 3月19日、陸路で港湾地区へ到着。

共和国と同盟諸国が作り上げた鉄道網は、長引く戦争と内戦に近い国内情勢から機能不全に陥りつつある。

列車や設備の老朽化、人員不足による交通の遅れやテロや暴動による遅れは日常茶飯事になっている。

追記 夜に海路で宇宙軍基地へ到着。


 3月23日、交通遅延や物資の到着の遅れから、打ち上げが3日程遅れる。

ここ最近は高高度も安全ではなくなり、(判別不明)の攻撃を受けるようになっている。

生きて月面に辿り着きたいものだ。

追記 夜に軌道上のステーションに到着。

敵の攻撃によりシャトルの一機が撃破され、どこかに不時着したらしい。

積載された幾つかの物資を下ろして、翌日には月面に着く予定。


 3月25日、(判別不明)に基地が出来てから今まで、我が国は宇宙開発において敵よりも圧倒的な優位に立っている。少なくとも、敵は惑星軌道に満足にロケット1つ打ち上げられないのだ。

私がここに派遣された目的の1つである実験が成功すれば、我が国は戦争に勝利出来る。

3日後には、実験が始まる。……3日後が楽しみだ。


 3月26日、遂に敵が戦略魔法を本土周辺に対して行使したらしい。

本星との連絡が途絶えた事から、急遽実験を本番へと移行するよう基地司令から命令が下る。

追記 夜の準備中に、速報が入る。……敵の主要都市に対して軍の報復核攻撃が行われつつあるとの情報。


(日付不明)(判別不明)すまない(判別不明)。


 「現在判明している日記の内容の一部です。残りの部分については、解析に回し、正確な分析を行っています。」

現地から回収された日記を分析していた担当官が、幾ばくか震えた声で報告を戦争指導会議に行う。

「この内容が本物だとするなら、かなり衝撃的な内容だが……。」

多忙の中集められた官僚の一人が絞り出すように発言する。

「推測で構わない。いつ、どのようにして日記のような状態になったのかの推察を聞かせて欲しい。」

内務委員会の官僚が担当官に尋ねる。

「現段階で判明していることは、日記が本物かどうかもわからない事です。本物であると仮定した場合、彼らは数十年後の未来からやってきた事になります。……そして、そう仮定した場合、我が国は敵の戦略魔法で壊滅的な打撃を蒙り、敵も戦略核兵器で吹き飛ぶ事になります。」

「惑星規模の戦争に、月面や軌道上のステーションか。そして、実物は海の向こうにあると……。」

「どうやら、技術供与も大規模に行われていたらしいな。鉄道網に軍需工場か、技術の流出が未来の我が国に破滅を齎したとは考えられないか?」

「いっその事、今のうちから戦略核で我が国以外の人口密集地帯を焼き払うというのは?」

「惑星の探査も行っていないのに?敵の技術や戦力もわからないまま行動するのは愚策だ。取り敢えず、地域の探査を行ってからでも遅くはないはずだ。」

戦争指導会議の面々が騒ぐ中で、国防委員会の官僚が感情の篭もらない声で発言する。

「……我々は、これに対して何らかの措置を取る必要があります。」

それを聞いた統合参謀本部長が発言する。

「措置について考える前に、この件に関しては箝口令を敷く事を提案したい。まずは、書類や機器を確認、分析しよう。それからでも対応は遅くないはずだ。」

それに対して、各所から応答があった。

「内務委員会としては、箝口令について賛成します。ここで国民に事態を報告することは市民生活に大きな影響を与えることに繋がります。」

「科学技術委員会も同様に考えます。現地での機械の分析は、宇宙開発事業団に行わせましょう。日記が本物と仮定した場合、彼らが適任でしょう。」

「内務委員会も同じです。遺体については、民警の鑑定にやらせましょう。遺体の状況や死亡原因の推定はうちが適任かと。」

それぞれの委員会の調査領域が決定した後、彼らはその他の検討すべき話題に移った。


 後に、調査結果が戦争指導会議に報告された時、彼らはその内容と北日本が辿った未来に対して恐怖した。

端的に言えば、この星は北日本という異物を排除しようとしたのだ。

それに北日本は全力で抵抗した結果、惑星全体における戦争とその後の破滅を齎すことになった。

そして、その運命を回避すべく北日本はありとあらゆる手段の確保に狂奔することになる。

その帰結として勢力圏の確保や宇宙開発、魔導技術の分析に多額の予算が割かれる事になり、破滅を避けることに全力を投ずることになった。

又、北日本はこの星の更なる探査を行うと共に、勢力圏におけるを統治政策を変更することにした。

つまりは、それまでの経済的進出以外にも思想や文化の輸出を積極的に推し進め、産業革命まで彼らの文明を強化する方針に切り替えたのだ。

北日本は、技術の強化により自国が滅ぼされる可能性よりも、自国の思想や勢力を広げる道を選んだのだ。

戦争指導会議は滅ぼされる前に、彼らを自らという「異物」へと変化させようと考えたのだ。

実際、統治政策が変更されてからは、ロマリアには北日本の指導の下でインフラ開発や工業化が開始され、世界各国には北日本の思想や宗教批判※1と共に、大量の兵器を「共和派ゲリラ」や友好的社会主義国家に供与することになる。


※1 北日本の宗教批判や思想の輸出は、文明が発展している列強ほど大きな影響を齎すことになる。

後に、各国には多様な武装組織が誕生し、それを北日本や「友好的社会主義国家」が支える事になる。

それと同時に、北日本や所謂「友好的社会主義国家」に反発する組織や個人を列強が支える事になり、後に全世界でテロや暗殺が多発することになる。

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