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異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ。  作者: 伊達教宗
第4章 海上自衛隊 西へ・・・・・・・・
99/462

41話 自衛隊西方への大遠征。発動!輸送艦隊護衛大作戦・・・・・・なのです!  11

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午後17時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・アルガス公国・グラバラカス州・グラダマ市・グラダマ市行政総合長舎周辺地域・グラダマ市迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 日は傾き、間も無く夜を迎えようとして居たグラダマ市。


 置鮎竜次郎一佐等を始めとする自衛隊幹部等は、同市を防衛するアルガス軍のグラダマ騎士師団とグラダマ市の歓迎会の招待を受けている為、夕方に成ると晩餐会に赴いて居た。




 出席した置鮎一佐達は、それぞれ自衛隊の礼装で迎賓館に到着し、ズラリと居並ぶ騎士と兵士達が異世界の軍隊式の礼を取りつつ、二つの剣の重ね合わせ、赤い絨毯の道を彩っている中を通り抜けて行く。



 その先には銀髪の髪色をしている一際目立つ女騎士が、其処に立っていた。



「アルガス公国軍、ヘスティア遊撃騎士団の団長して居ります。クリスティーナ・マケッンジー少佐です。」 




 置鮎一佐等は目の前の歳若い騎士の挨拶に戸惑いながらも敬礼をして、挨拶を交わした。




そう、先に話に有ったアリスの双子の姉のクリスだった。クリスは、その可笑しな体質から身を守る為、アルガス公国軍に入隊していた。



 軍に入って居れば、少なくとも国民から命を狙われる心配が少ないからだった。


 本当は地方騎士警備隊への配属を希望して居たが、その可笑しな体質を利用と見の安全を図る為にも、独自の騎士団を国から与えられ、様々な雑用任務をする日々をしているクリス。



 アリスが叔母の家に養子に出てからは、その目立ち敵を引き付ける体質も何故か強く成って居て、アリスと一緒に居る時だけ安定して居た。



 アリスも姉と一緒に居る時だけは、その姿を周囲から気に掛けて貰えて居た。



クリスは周囲の者達から自身に対して敵愾心がなければ普通に暮らせると言う条件下での暮らしを余儀無くされる事が原因で、常に好意的に振舞えて尚且つ人の役に立って居れば、平和で居られる職業は特に限られて居る。


 其処で両親と同じ騎士に成っていれば、人助けも出きるし、そして配属希望先として、本人と両親共に安全な後方勤務を望んだが、公王であるブレックスは体質を知って居るので何かに付けて、クリスを利用して居たりする。



そのクリスは、前線であるブラキュリオス湖の様子を偵察任務を終え、ブレックスに状況の報告をした後、自衛隊の出迎え命じられ、此処に居るのであった。



 クリスの式典の参加は、帝国の偵察任務が発生する以前に決められて居た事で、出席には、問題なく間に合う事が出きた。




「ダバード・ロード王国への派遣艦隊及び自衛隊派遣部隊総司令の置鮎竜次郎一等海佐です。」



「副司令及び陸上自衛隊の部隊司令の井上一彦一等陸佐です。」



「ニホン軍の来訪を心より歓迎を致します。」



「皆様、此方の方へどうぞ。」


「晩餐会場で、グラダマ騎士師団とグラダマ市職員の皆様がお待ちです。」



クリスに促され豪華な造りの迎賓館に入る自衛官達。



「置鮎司令官殿、一佐とは大佐で宜しいのですか?」



「ええ、そうです。やっぱり分り辛い?」



「いいえ、聞きなれないので、他の者に聞かれた時に説明をするの為の確認です。」



苦笑しながら後ろに続く置鮎。



 自衛隊の階級章は翻訳すれば、どの国とも共通の意訳の物に成るのだが、日本国内では法律の関係と旧軍体制を嫌う世論も有ってか、軍事的な呼び方を避けている。



 それなので、初めて聞く外国の人からすれば、とても変わって要るし、言い辛いかも知れない事なのだ。


 ぶっちゃけて言えば、自衛隊の階級章呼び方は、戦後の日本国民への国としてのけじめと言い訳に近い物がある。



 況してや異世界の人達が聴いても変だと感じる頷ける事でも有るのだった。



「いいや、君がそう思うのも変な事では無いからね。」



「以前いた世界でも外国の人から言われたり、一部の国民からもそう思われてるから我々としても気にしてはいないよ。」



「?」



「その辺の話や日本に興味が沸いたら、国交が結ばれたら日本に来て見ると良いよ。」


「殆んどの日本の事や我が国の歴史や軍史関係の本は図書館で見れるからね。その辺り経緯は分って貰えると思うよ。」


「はぁ?」



 クリスは置鮎一佐の言う事が良く分からなかった。



 そして、日本と切っ掛けが、クリスと妹のアリスの双子姉妹の人生を大きく変え、彼の地にて余生を過ごす事に成ろうとは、この時の彼女は想像すら出来なかった。


 特にアリスは嫁ぎ先の男には、ぞっこんであり、クリスはツンデレ程度の反応だった。


 クリスの結婚は、親友達と妹に付きそう形での結婚だった。


 だか、その後半生は存外悪く無いと感じて居る。



 大戦末期には、妹を取られて居た事に焼きもちを焼いて居た相手の事を半ば敵視居た事が実は、羨んでいた事に気が付くと、更にツンデレを拗らせてしまう一面を見せる様に成って行く。


 その嫁ぎ先こそが高見家であった。


 そんなクリスとアリスは、二人そろって双子姉妹を出産すると言う幸福に恵まれ、実家の家名の存続も成されて幸福な人生を過ごして行く事に成るのだった。




 置鮎一佐とクリスの両名は、簡単な他愛の無い話しをしながら、廊下を進んで行き、5分くらいで晩餐会場に着いた。



 豪華な装飾のドアをメイドの女性によって開けられると、中では沢山の騎士団と市庁舎関係者が居並んで拍手で出迎えてくれた。



「ニホン国軍海軍艦隊司令官殿と二ホン国軍副司令官殿、各戦闘艦の艦長殿、陸軍の部隊長殿らのご入場です。」



会場の中で自衛隊幹部の入場を告げられると一斉に拍手が挙げられた。



 それは盛大に、この会場に訪れた軍の関係者とグラダマ州の長官と官僚とグラダマ市の市長と幹部職員からはち切れんばかりの拍手であった。


 それらの代表としてアルガス公国の宰相であるルオ・ウオーミングと言う眼鏡を掛け、口元から出っ歯を出している怪しげな感じをしている男が前へと出て来た。



「ようこそ!アルガス公国へ!改めてご歓迎いたしますぞ!私はアルガス公国の宰相のルオ・ウオーミングです。」



「司令官の置鮎一等海佐です。こちらこそ。短い滞在ですが、お世話に成ります。」



「ささ、こちらのお席へどうぞ。」



 皆がそれぞれ指定された席に着く。クリスがルオに小声で囁く。



「ルオ宰相閣下、ニホンの皆様は軍の規定でお酒類は控えたいと言って居ります。」



「おお、さようか。では果実汁でも振る舞う様に使用人達等に伝えよ。それにしてもニホン軍は酒を嗜まないのか?」



「いいえ、敵に不意を突かれたとき酔って戦えないのは不味い上に、飲酒での乗り物の運転は軍規処か一般の法律でも禁止されて居るとの事です。」



「なるほど・・任務遂行の妨げなる事を避けたり、様々な事故を未然に防ぐのが狙いか。これは我が国でも一向の余地が有る考え方だな。それならば仕方があるまいて。」



日本では当たり前の飲酒運転の禁止に加え、勤務時間内での飲酒も当然禁止なのは、この世界では珍しい事である。



 昔ならではの士気を高めたり、休養の意味で飲み食いの席での酒を飲む事は、決して珍しくない事だった。


 そして、ルオは日本の厳しい法律と軍規を聞き、関心する事と成った。



 参加者に酒とジュースが配られた後の事である。



 突然、司会をして居る者が立ち上がり、ある事を言うのであった。



「本日、特別なお方をお招きして居ります。」



「お忍びなので拍手の方は、お控え頂きたいと思います。」



「アルガス公国の公王、ブレックス・ファーミラ公王陛下のご入来です。」



 これには自衛隊幹部ら驚いていた。



 まさか逗留地域の国家元首が、この晩餐会にやって来るとは予想外の事であった。 


 ブレックス公王の見た目がリンカーン大統領と凄く似て居る渋いオヤジと言うのが自衛隊幹部の感じた感想と印象だった。


 それに短い滞在・・・それも各艦の燃料の給油と隊員の休息の為に立ち寄っただけの訪問である。


 本来なら行政の長や軍の地方司令官に挨拶するだけで済む話が、かなりの大事に成って来て居る事を、この時の置鮎らは感じていた。



「もしかして、これは・・・やれたかもしれない。」



「ええ。」



 と置鮎一佐と井上一佐は小声で言い合っていた。



 これはアルガス公国側の企みの一環で、ダバ派遣艦隊の一同は、公王が置鮎一佐を始めとする自衛隊と面会する為に嵌められた事だと言う事に・・・・・・・・




「ルオ宰相閣下、これは一体どう事ですか。今日はあくまで我々の歓迎の晩餐会と聞いていましたが、まさか公王陛下が来れられるとは・・・事情を伺いたい。」



「そっ、それは・・・」



「置鮎殿、ルオを責めんでくれ。わしが不意打ちで此処に来たのだ。」



 図星を付かれて、狼狽するルオに対して、助け舟出したブレックス。その真意は・・・・・・・・・



「陛下、最初にお断り申し上げておきますが、我々は日本の国家使節団では有りません。」



「承知して居る。」



 さっきまで温和な髭を蓄えたオジサンだった表情は、真剣な顔立ちに成った。



「続けて申し上げるなら、この地への寄港は、各艦の燃料の補給と食料の買出しと休息が目的です。」


「この晩餐会も本当ならご辞退を申し上げる所です。ですが、日本政府との協議で、地方州レベルとの交流なら不公平な外交を避けられると考え、ひして両国の将来の事を鑑みて、こうして晩餐の席に出席させて頂いて居ります。」



「うむ。その方らの事情も、ニホン国の外交的立場にも配慮して居る。」


「此処での事は、一切記録はしないし、わしは此処には居ないし来ても居らぬ。それがこの世界の道理と思ってくれまいか?」



 どうやら何か有るらしい。此処は一旦、引き下がった方が良い様だ。



 言うべき事は言ったし、これ以上の事は、外交官のや政府間の話し合いに発展してしまうので、置鮎一佐らは引き下がった。



「分りました。此処はそう言う事にして置きましょう。」



「置鮎さん。」



井上一佐が何か言いたい様だったが、黙り込んだ。



「井上さんも此処は・・・・・・・・」



「分った。」



「では乾杯を・・・ニホンとの交流とこの世界の発展と平和を願って、かんぱーい。」



  会場にいる全員が杯を上げて乾杯をとっていた。


 ブレックスはクリスを呼びつけると小声で話しを掛けていた。



「クリス、先ほど続報が入った。南の帝国軍に更なる動きが有る様だ、晩餐が終わり次第、ファン・ブランク市の方へと部隊を集めろっ!」



「現地の騎士師団には、既に戦時体制の召集を掛けて居る。」



「はっ、では私の騎士団の手配をして置きます。」



 どうやらブレックスが来た理由は、自衛隊の者達に会いに来たのと帝国への対応の為でも有ったらしい。



 この動きに自衛隊の派遣艦隊は否応なく巻き込まれ様として居るのであった。



 そして、晩餐が始まって暫くした後に、ブレックスは、密かに置鮎一佐と井上一佐を呼び出したのである。




 二人は防衛省から連絡が有ったと言う事にして、別室での通信機器による通話をすると言って二人は席を外した。



 二人が会場を去るのを見送るとブレックスはワインを1杯飲み終わると、お忍びゆえこれにて退席すると言い残し会場を後にした。



 別室に集まった3人は、ある事に付いて話をするのであった。



「不味い事態が起ころうとしている。」



「不味い事態?」



険しい顔の公王を前に、まだ置鮎と井上の二人は状況が全く分らないまま、話を続ける。



「貴公らがこれから行く先に、ブラキュリオス湖と言うこのシベリナ地方でも最も大きな湖の一つが在る。」



 「その湖の中央にレジェンダリア諸島と呼ばれる島が在るのだが、此処は我が国とシベリナ連合にとって重要な拠点でもある地。」



「今日入った最新情報に由れば、帝国軍は何某かの作戦を行う為に、シャッポロ川を北へと移動を開始した様だ。」



 ブレックスの話を聞いた二人は、ようやく合点が行き、この先の事態を重く受け止めていた。



 海自と陸自の司令である二人は、目を見合って頷く。



「では陛下!早晩、アルガスと帝国はぶつかると仰るのですか?」




口火を切って聞いてきたのは置鮎一佐である。



 ブレックスは一瞬だけ目を伏せると一つ間を置いて、それに答えた。



「彼の帝国が、何を考えて世界制覇等と言う妄言を掲げて居るのかは、今は誰にも分らぬ。」


「この度の帝国の北への侵攻もまた然りだ。」



「だが、何らかの作戦を意図している事だけは確かだ。」



「帝国は東方地域の制圧、反帝国同盟の主力国家が点在するシベリナ連合を何としてでも、討ち滅ぼそうとして居る。」


「その一番手柄を狙って居る帝国諸侯や将校に方面軍の各司令官も多い。」



「そして、謎の国家と思わしき二ホン国が東の海に現れた。奴らはどんな手段に打って出るのかも分からん。」


「これから先の道筋で、貴公らを襲うやも知れんのだ。」



今の日本国近海は、緊張状態が続いて居る。



 帝国の勢力圏との境と成った龍雲海、日本の東シナ海と西側半分の海域をの事を指して居る海域。


 この世界でも太平洋と呼ばれて居る海の東側、ヨーラシア大陸の東の果ての海たる極東地域沖に出現した日本。



 後の政府交渉の後に共同議決された物の中に新地域名が在る。


 日本近海では日本の希望通りの名前が付けられるのである。


 日本海、東シナ海等である。



 東シナ海と龍雲海は地図上で大陸海域側と沖縄県海域側に対して、それぞれ半分に分かたれて呼ばれる事となる。



 正確な線引きは日本の衛星観測等の技術を使っての結果で正式に決まる事と成るのである。



 

 井上一佐が、この状況から導き出される事を言う。




「それで、陛下は・・・・我々自衛隊に助力をと考えて居られるのですか?」




「貴公達が、そう言うのも当然であろうな。」



「だが、わしは、そして、我が国は、敢えてニホンへの援兵を求めないと言おう。」




「何故ですか、我々自衛隊の援兵は喉から手が出るほど欲しいものではないのですか?」




 置鮎一佐が、不思議そうに感じながら聞く。




「そう、確かに欲しいものだが、これは貴国の立場を踏まえたものなのだ。」



 そう、ブレックスに言われた二人は、日本特有の事情が頭に浮かぶ。


 「確かに。」と口を揃えてしまっていた。当たり前だが二つの事情が有り、此処に居る両者に難しい判断を迫られていた。



 一つ目は、まだ、両国が国交を結んでいない上に、同盟や相互防衛等の条約を締結して居ない事。


 今は防衛協定と言う形で、本当に困った時だけ共闘すると言う文言の取り決めがシベリナ連合各国との間で取り決められて居るが、簡単には助ける訳にも行かない。


 かもしれないだけでは戦線の拡大に加担する訳にも行かず、ダバ派遣艦隊はダバード・ロード王国に向かうのが主任務だからと言うのが大方の理由を占めていた。


 そして、もう一つの理由である二つ目は、日本が専守防衛と言う事を国家の基本として法律で決められている事である。



 この世界の日本は、2030年までに法律を幾つかの改正に至って居るが、敵地の破壊と国境付近での領海と領空の侵犯した戦闘兵器や工作戦またはグレーと思しき船舶の威嚇と拿捕、或いは抵抗か従わない場合には撃沈も可能とある。



 航空機の場合は威嚇か交戦すると思わしき動作をした場合に可能と書かれて居た。



 こんな法律と防衛力の見直しをしなければ成らなかったのは、2016年までに起きた世界情勢、南方の海にちょっかいを出したり、占領政策を海洋進出を続ける赤旗大国とミサイルと核が大好きな北の将軍様の国らが、大法螺砲(法)を撃ちまくる傍迷惑な大国の大統領の国が影響していた。



 その大統領が日本の貿易や日米同盟を見直すと恫喝して来ても居たからだった。



傍迷惑な近所と脅しを掛けてくる取引先の会社の両方を日本は相手にして居る様な物だ。


 しかも日本が相手にして居る両方の関係も最悪なもので、下手すれば21世紀の初頭の大戦は、赤い旗と星の旗がぶつかる戦争とアジアやヨーロッパのメディアでは言われていた。


 日本は赤旗の国からは、自国の国民の不満を敵討ちや対日批判で改称させようとするサンドバック政策が徐々に不味い方向へと向っている。



 更には日本を滅ぼせとか、日本なんて国は元々無いとか、先祖代々、我が国からドロボーを続けて発展してきた国と言いがかりを付けて、手が付けられ成っても居た。


 今や政治と軍人や一部の市民団体を中心に日本占領目を論む団体等が出て来る始末である。



星のマークが輝く旗の国の大統領からは、日本製の商品が売れ過ぎて居ると言い掛かりを付け、今まで仲良くやって来た関係を悪い悪いと風潮し捲って居る。


 更に他国よりも駐留経費を負担して居る軍の費用を負担して居ないとまで言って来て居た。



 日本はキチンと負担をして居ると反論すると全額負担や日本の全商品に関税と同国内で生産される日本製品に税率を上げると反論する暴論まで言い出したのである。


 此処まで言われると流石に不味いと感じた日本政府は、国防に関しての政策を一部転換せざるを負えなかった。



 それが空母の保有と交戦規定の見直し、最低限の迎撃ミサイルと弾道ミサイルの保有と友好国に対しての売買専用の日本兵器の開発研究。



 領海内に入る外国公船から密漁船、工作船等の日本に対して害があるか許可のない行動とる乗り物に関して厳しい処置をとる法案を国会で通す事と相成ったのである。


 そんな厳しい安全保障問題が取り巻く環境の中で、更にはウクライナへのロシア軍の侵攻である。


 この特別軍事作戦と称する明らかな宣戦布告無き侵略戦争は、世界情勢と世界経済に強烈な打撃を与えると共に、世界中から様々な物資と軍事支援を受けたウクライナの勝利に終わり、敗者と成ったロシアは弱小国へとコロコロと転がり落ちて寝たきり状態と成る大怪我を負ってしまう。


 そうした国際法を含めた枠組みをのらりくらりと言い訳をしながら無視すると言う蛮行が起きてしまう事を知った地球世界の国々。


 このままでは滅茶苦茶な政策を取る世界の国々の争いに巻き込まれると考えた日本国内にも大きな衝撃と変革が巻き起こる。



 独自の安全保障の未来を見据えた政策を打ち出し、突き進んで行く事を決めた瞬間でもあったのだ。




 世界の警察を辞めると言う国との同盟を維持しつつ、隣国の3カ国と敵対を余りしない態勢を取り、経済や技術力が劣っている友好的な南方の国々に条約に基づいたジャパンブランド製の防衛装備品を売って上げる。



 そして、その技術指導や訓練指導を日本の自衛隊が行うと言う異例の方針である。



 日本式の平和とは何かを他国に指導と喧伝すれば、警察で行った人材交流の成果である交番などのやり方が海外で、根付く可能性も有るだろう。



 それがこの世界の日本が取った新防衛政策だった。



 それでも太平洋戦争での敗戦のショックは抜け切れて居ないのが、我が国の性かも知れない。



ブレックスは更に話を続ける。



「コヨミ皇国駐在大使から送付されたニホン国の紹介冊子は目を通した。」


「専守防衛か・・・我が国も含めて殆どの国が戦争行うが、理由無しにはやる国が殆ど無いだろな。」


「帝国との関係を持たない国を除いてを付け加えるならばな。わしも他の者から見たとしても憲法に置いて自国から手を出さないと明記するなど正気の沙汰ではない言うだろう。」



「まぁ、そうでしょうね。」



 二人は自嘲的な顔付きに成って居た。



「だから敢えて言おう、此度は援兵は頼まない。理由とその建前は、既に述べた通りだ。」



「では、如何なさるお積りなのですか?」



井上一佐が改めて王に問う。



「それは貴公らが決める事だ。」



「我々がですか?」



置鮎一佐が聞き返す。自衛隊の二人は互いを見合うと公王の答えに、少々困惑している様だった。



「そうであろう。此処からは貴公らが決め、貴公らが行く道だ。そうだな、年配の経験者としての助言を与えよう。」




「此処から先のブラキュリオス湖での戦は、貴公らが戦を避ければ戦には巻き込まれない、これは確かであろう。」


「だがな、帰りになれば、同地にての交戦は避けれず、アルガスはレジェンダリア諸島をニホンの援助無しでは永久に取り戻す事は叶わないであろう。」



「そして、此処から西へと向い、オローシャ帝国・ダバード・ロード王国・アセリナ王国、それと我が国へ続く交易水路が使い辛くなる事も付け加えて置く。」



「それって行きも帰りも戦うなら、行き掛かりにやったほうが楽と言われてる様なものでは?」



井上一佐が溜息をついて、呆れた表情で言う。



 行って帰っても交戦するし、何もしなければ、日本に取っての通り道であり、通商で使う貿易路が大変だぞと、ブレックスは言うのだ。



「ははははっ、たが、それでもわしは援兵を頼まない。後は貴公らが決めれば良い。」


「それに今日、貴公達に会いにきて良かった、思わぬ収穫でも有ったしな。」



「今日は誠に不快な思いをさせた。公王として謝罪する。済まなかった。」


「そして、貴公達の任務の無事を祈って居る。」



 ブレックスはそう言い残しつつ、笑顔で立ち去って行った。



 残された二人は困った顔付きで、今後をどうするか考えあぐねていた。



「はぁ~、あの雑用大臣の奴は、この事を知って居たんじゃないのか?」


「どう思う井上さん。」



「そりゃ、考え過ぎた。この事に付いては、恐らく高見君は、予想はして居るが、何が起きるかまでは、何も言って居なかった。」


「これに付いては、俺達の考えが甘かったと言うべきだろうし、相互防衛協定程度なら結んで居る。」


「これはダバ派遣艦隊の安全の為に、結ばれた物であった筈だ。」


「それを理由に強引に共闘をしなければ成らないのも、彼の公王は強かな御仁と言えるな。」



「それにしても、この世界が此処まで荒れて居るとはなぁ~・・・・・・」



「ああ、全くだ。けどね、置鮎さん。俺達に最低限の装備を持たせて派遣してくれる彼は、国会の先生方よりは、物凄く理解が有ると思うぞ。」



「それがオタクでなければ、もっと良かったがな。」



「くくっ、違いない。」



二人は笑いあい晩餐に戻って行く。



一方、竜史は夕食の席で「ヘックション」とくしゃみをし、「あれ、風邪かな」と首を傾げていた。



 ブレックスは自衛隊との面談の帰り際に秘書にある者の行方を聞いていた。



「で、エリン様との連絡は付いたのか?」



「いえ、別荘にて休息中との事です。」



「はぁ~、あの御仁らしい。」


「毎度、気まぐれなのは何時もの事だが、あの御方が一暴れして下されば、わしも気が楽なのだが・・・たが、打てる手は全て打った。」


「あとは天の采配と言う所か・・・・・・・・」



 まさかブレックスも打った手だてが、両方とも上手く行き、オマケとお釣りが付いて来る結果に成るとは、想像すらして居なかったのである。



 アースティア大戦末期の初頭の激闘と言われる。


 ブラキュリオス湖畔紛争の開戦まで、数日前の事であった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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